先日、退去強制の対象になった外国人の在留資格として、
最も多いのが短期滞在、次いで技能実習、その次が特定活動だが、
果たしてどんな特定活動だろうねという話を書いた。
家族滞在類似、就労系の在留資格類似、短期滞在類似など……
いろいろな在留資格に似ているものを紹介したが、おそらくこれではないだろうと。
おそらく多いのは定住者類似、あるいは出国準備ではないかと。
特に出国準備なんていうのは期間内に出国しなければ退去強制になると宣告されているわけで、
そりゃ多いだろうと思うわけだが、果たしてここら辺は何なのだろうと。
在留資格のグループの1つとして身分系と言われる物があり、
永住者・特別永住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・定住者が該当する。
これらの在留資格の特徴として就労制限がないということがある。
中長期在留者の4割程度がこのグループに該当する。
背景には日本に10年程度滞在し続けた場合、永住者となる条件を満たすことが多く、
特に就労系在留資格で滞在する人の子・配偶者にとっては重要である。
で、これらの類似した特定活動の在留資格もあるんですね。
告示にあるものでは日系四世、告示外では家族滞在で日本の高校を卒業した人が典型である。
そもそも、日本人の子として生まれた外国人は日本人の配偶者等の在留資格があるが、
そのさらに子、あるいは元日本人が日本国籍を失ってから生まれた子は該当しない。
しかしこれらも「素行が善良」であることを条件に定住者の在留資格が与えられる。
対象は日系三世の未婚で未成年の子までである。
ところがこうして日本にやってきた日系人には日本への定着に課題を持つものも多かったという。
一方で日系四世で先祖の土地である日本に行きたいニーズもあり、
そのために日系四世の特定活動が作られたという。
18~35歳で一定の日本語能力があり、日系四世受入れサポーターのサポートが受けられることが条件である。
このあたりは定住者で滞在する日系人に直面した課題を踏まえてそうだが、
これがけっこう厳しいので案外使われていないという話はある。
で、定住者との差の1つは風俗営業での就労はできないのがある。
でも、これを特定活動としている本質的な理由は子・配偶者の扱いのためではないかと思う。
基本的には日本人の配偶者等・定住者の配偶者・子は定住者の在留資格が与えられる。
しかし、この定住者類似の特定活動は現時点で外国にいる配偶者・子の在留を想定していない。
もちろん日本で生まれた子や、すでに日本にいる配偶者はその限りではないが。
この場合は告示外の特定活動が与えられる可能性がある。
この家族帯同の制限のために特定活動を使っているわけですね。
なお、この日系四世の特定活動は最長5年と規定されているが、
N2レベルの日本語試験に合格すれば、定住者への切替が可能となる。
こうなると外国にいる配偶者・子を呼び寄せたりできる。
家族滞在で日本の高校を卒業した人のうち、中学校・高校からの場合、
卒業後の就職内定をもって特定活動の在留資格が認められるとある。
さっきも書いたのだが、就労系の在留資格である程度長く滞在している場合、
子も永住者となっていることも多いのだが、そうでないケースもある。
本人が「技術・人文知識・国際業務」などの要件を満たせばよいが、
そうでないと親に永住許可が出るまで働けないということが生じ得た。
これは問題ということで、小学校からの場合は定住者、それ以降の場合は特定活動を認めることにしたと。
日本への定着性を測る1つの目安が5年なので、6年は滞在しているなら定住者になり、
それ以降の場合は定住者は与えにくいということで特定活動になっている。
これも同様に風俗営業を除くという条件はあるが、より本質的なのは配偶者・子の扱いである。
なお、この特定活動も5年経過すると定住者へ切り替わることが多いという。
で、おそらくこのあたりも退去強制の対象になる特定活動の外国人ではなくて、
他に定住者になりうる身分には難民ってのがあるんですね。
ところが日本では難民認定というのはそうそうなされないものである。
おそらく理由は難民と認めると一般に素行不良とされる行為も咎められなくなるからではないか。
例えば偽造パスポートを使おうものなら在留資格は認められないだろうが、
難民はパスポート偽造をしても罪に問うてはいけないと難民条約に書いてあるのである。
安易に難民認定しようものなら、日本における外国人の地位も危ういものになりかねないという危機感があるのだろう。
そうはいっても追い返すには申し訳ないという人もいるわけである。
そこでそういう人に特別に在留資格を与えることがあった。
2023年から補完的保護対象者として法制化されている。
それにもあたらない人にも特定活動の在留資格が与えられることがあるという。
これも風俗営業を除く就労が可能で、そして外国にいる配偶者・子の在留は想定していない。
事情が事情なので家族も同様に認められる可能性はありますけど、
正攻法としては認められないわけですよね。
難民と違って素行不良で在留資格で取り消されるのも現実的である。
上記のパターンも退去強制の対象になる人はそこそこいそうだが、
それより問題なのが難民申請中の場合である。
難民にあたるか真面目に判断するには時間がかかるので、
その間は就労可能な特定活動の在留資格を与えていたのだが、
そうすると他の在留資格を失った人が難民申請を繰り返す事態が多発、
これに手を焼いて難民申請中の特定活動をいくつかグループ分けした。
就労制限の対象となる難民認定申請者について (pdf) (出入国在留管理庁)
元々、技能実習・留学で在留していたような人はそもそも難民ではない可能性が高いが、
そうは断定できないので「一定程度の生活費を有していると考えられる」という名目で就労不可の特定活動に。
後で出てくるが出国準備の人が申請した場合は、出国することを確約して申請するのは理屈に合わないと、
こちらも就労不可の特定活動を与えるということが書かれている。
難民とか補完的保護対象者にあたる可能性がそこそこある人は就労可能な特定活動の在留資格を与えるとはある。
そして出国準備の特定活動ですよね。
在留期間中に事情が変化して在留資格の要件を失うことがある。
例えば、日本人の配偶者として日本にやってきた外国人がいて、
配偶者の日本人が死んだ場合、日本人の配偶者等の要件を満たさなくなる。
概ね3年以上滞在していて日本への定着性が認められれば定住者の在留資格になるし、
日本人の子がいる場合、その親という側面で定住者の在留資格が認められることもありうる。
ところが日本に来て間もないようなケースだと認められないことがある。
そうはいっても仕事の都合とかでちょっと待って欲しいとなれば、
出国準備という名目で従来通りの滞在が認められることがある。
ただ、こういう真面目なケースもそれもまた多くなさそうで、
だいたいは留学なのにまともに学校に通っていないとか、
元々在留資格を認められないような人に30日以内に出国すれば大目に見てやる、
という趣旨で与えられることが多いようで、ほぼ退去強制みたいなものである。
書類不備などを救済する目的で出る場合もあるようで、その場合は在留期間を31日に設定するそうである。
ともあれこういう事情なので期間内に出国せず居座るものが多いのではないかと想像する。
こういうのはその前の在留資格の方が重要な情報だと思うのだが。
このあたりはなんでもかんでも特定活動にするなよと思うのだけど。
ただ、難民申請も出国準備も個別の事情が多いことは事実なんですよね。
そういうところに柔軟に対応できるのは特定活動なんでしょうね。
実態に近いグループに分類し直してどんなもんなんでしょうね。
就労系、家族滞在類似、短期滞在類似、定住者類似と難民申請中・出国準備となると傾向はつかみやすそうですが。