退去強制手続の対象になった外国人の在留資格として、
最も多いのが短期滞在、次いで技能実習、その次が特定活動なのだが、
特定活動が多いといわれても何の特定活動なのかが問題である。
以前書いたことがあるのだが特定活動の在留資格について、
他の在留資格に似ているが何らか異なる事情がある場合に与えられることが多い。
ここでは技能実習や家族滞在で滞在する外国人の子の在留資格について、
家族滞在の定義からは逸脱するが、日本で生まれた場合は家族滞在類似の特定活動が与えられることが多いらしいと。
家族滞在の対象の在留資格(例えば留学)から対象外の在留資格(例えば特定技能1号)になった場合、
元々家族滞在で滞在していた配偶者・子も家族滞在類似の特定活動になることが多いそう。
また、家族滞在の外国人の親で扶養者が転出した場合など、
扶養者が祖父母になる場合は親子ではないので特定活動になることが多く、
日本での就学継続という名目で「留学」になれば、その保護者である親は特定活動になることが多い。
このタイプの特定活動は告示に定められていないもので、
告示外の在留資格は通常は上陸時の在留資格にならない。
ゆえに、すでに国内にいる外国人のみを対象とする場合は告示外であることが多いと。
ちなみに特定活動の中にはそもそも配偶者・子、場合によっては親の帯同が認められた区分があり、
この場合は特定活動の家族も特定活動ということになる。
では、様々な特定活動について、他の在留資格と比べて、何が違うのか調べてみた。
特定活動の告示はもちろん、告示外の特定活動も典型パターンをいろいろ調べてみた。
まず、特定活動の中で特異なグループが家事使用人である。
外交官・領事官や「高度専門職」「経営・管理」「法律・会計」で滞在する外国人の家事使用人ですね。
これらの在留資格から永住者に切り替えた場合、継続雇用の家事使用人は引き続き特定活動で認められる余地はあるが、
告示外なので新規に外国から連れて来るのは難しそう。
(永住者なら日本との定着性があるはずだから、わざわざ外国から連れて来る必要はないという理屈はありそうだが)
就労系の在留資格に似ているものから。
「外交」「公用」類似としては、台湾日本関係協会と駐日パレスチナ総代表部の職員とその家族がある。
正式に国家承認していないため「外交」「公用」の条件には該当しないが、
実態としては国と同様の外交関係を結んでいるため。
「外交」「公用」同様に在留カード・住民登録の対象外である。
「興行」類似としてはアマチュアスポーツ選手がある。
プロスポーツ選手は興行だが、名目上はスポーツで対価を得ないアマチュアスポーツ選手は興行に該当しない。
このような場合、本来は社業が在留資格を値するか問われるが、
国際大会出場者で日本のスポーツ水準向上に寄与する場合は、
社業の内容は問わず月給25万円以上であればよしとしている。
「医療」「介護」類似の在留資格としてEPA看護師・介護福祉士とその候補者がある。
告示にはそれぞれの候補者のことだけ書かれている。
候補者はまだ看護師・介護福祉士の資格がないが、それで認められる点は特別である。
なお、候補者については家族帯同を認めていない。
一方、告示には書かれていないが、資格取得後も特定活動の在留資格である。
告示に書かれていないのは候補者はすでに国内にいるためである。
他に告示外の特定活動として存在するのが、
介護福祉士の国家試験合格者・養成施設卒業者で登録証発行前の人。
登録証が発行されるまで「介護」の在留資格は認められないが、
学校卒業~登録証発行の間は特定活動で施設での就労を認めるというもの。
「特定技能1号」でもドライバーは免許取得や研修が必要なので、
研修期間は「特定自動車運送業準備」の特定活動になる。
バス・タクシーは新任運転者研修が必須なので設けられている。
後で出てくるがこういう隙間を埋める特定活動はけっこう多い。
「技術・人文知識・国際業務」(技人国)類似という点では、
まず外国人弁護士の国際仲裁代理である。
日本の弁護士資格(外国法事務弁護士を含む)がある場合は「法律・会計」だが、
それ以外の外国弁護士は日本の機関に雇われる場合は技人国の対象だという。
でも、雇われない場合は要件を満たさないので特定活動でカバーしていると。
次に日本の大学卒業者でN1以上の日本語力を持つ人。
サービス業では技人国の該当性を立証するのが難しい場合があり、そのような場合に活用されている。
「企業内転勤」類似という点では製造業外国従業員受入事業によるものがある。
企業内転勤というのは技人国の対象の仕事で外国からの転勤者に与えられる在留資格である。
ところが技術伝承のために外国工場から日本の製造現場に連れてこようとすると、
技人国の対象の仕事ではないので、カバーできないんですね。
無秩序には認められないのであらかじめ事業計画の認定が必要だが、
認められた場合には最長1年まで転勤して製造現場に入ることができる。
「技能」類似という点ではスキーインストラクターがある。
なんでスキーインストラクターが特別なのかというと、冬にしか稼働しないので、
技能の要件である10年以上の実務経験を満たしにくいかららしい。
告示外で「日本の食文化海外普及人材育成事業」「外国人美容師育成事業」がある。
これはいずれも留学からの切替を想定したもので、
日本で調理師・製菓衛生師・美容師などの資格を取得した場合、
認定を受けた機関で最長5年働いて実務経験を積めるものである。
従来は留学で調理・美容などの分野を学んでも、帰国しなければ活用できなかった。
しかし日本で継続して実務経験を積んでから帰国した方がよかろうということでできた制度らしい。
5年経過後の在留資格は基本的にはないので、ここで帰国になる。
定住を前提としたものではなく、留学の延長ですかね。
「経営・管理」類似という点では起業家がある。
事業活動が軌道に乗れば「経営・管理」の在留資格が認められるが、
その前段階で一定の条件を満たす場合は特定活動の在留資格が認められる。
外国人起業活動促進事業によるものと、日本の大学卒業者に認められている告示外のものがある。
「高度専門職」類似という点では特定研究等活動と特定情報処理活動がある。
そもそも高度専門職というのは技人国などの対象者で一定の条件を満たす人に、
在留期間の延長や複合的な活動を認めたり(他では資格外活動許可が必要になるケースが多い)、
親・家事使用人の帯同を認めたり、後で出てくるが配偶者の就労に優遇措置がある。
高度専門職は特定活動の一類型だった時代があり、その名残のような気がするが、よくわからない。
就労系の在留資格全般に関わるものとして、高度専門職の配偶者というのがある。
これは高度専門職の配偶者は技人国などの対象の職種で働けるというもの。
一見、他の在留資格でカバーできてそうだが、学歴や経験年数などの要件が外れる。
告示外のもので産前・産後・育児休業というのがあるそう。
就労系の在留資格で在留している人が産前・産後・育児休業に入る場合、
働かない期間が3ヶ月以上になる場合、在留資格の変更が必要になる。
働かないなら帰国しろともなりかねないが、元の勤務先に復職するのが前提なので、
このような場合は就労を目的としない特定活動の在留資格が付与される。
復職時には技人国などに戻すわけですね。まさに隙間を埋めるための特定活動である。
学業に絡むものとしては卒業後の就職活動や、
卒業から内定先への就職まで、大学院入学までの滞在などがある。
これらはいずれも「留学」からの切替を想定した告示外の特定活動である。
「未来創造人材外国人(J-FIND)」という外国の大学卒業者の就職活動のための特定活動もある。
この特定活動は就職までの生活費を補うための就労も認められている。
きちんと就職活動するのが前提だが、風俗営業などを除いて大概就労可能である。
「留学」の場合、資格外活動許可で週28時間までの就労が認められることが多いが、
就職活動で特定活動に切り替わっても通常は許可が得られるので、それと同じなんでしょうが。
「留学」でカバーできない就学のために特定活動が使われることがアリ、
具体的には定時制高校である。
告示外なので、元々家族滞在などで滞在していた人の救済措置でしょうね。
扶養する親が転勤などで転出しても、日本の学校に継続して在学する意志がある場合、
在学者には「留学」への切替が認められることが多いという。
ところが定時制高校は「留学」の対象外だと。でも従来通り通うならOKですよと。
学業に絡むといえばインターンシップですね。
外国の大学在学者が日本でインターンシップなど行う場合、
無報酬ならば「文化活動」だが、報酬が出る場合は特定活動になる。
というわけで「文化活動」類似の特定活動とでも言うべきものですね。
「短期滞在」類似という点では、やはり特定活動の典型としてよく言われるワーキングホリデーですかね。
1年以内で旅行資金を賄うための就労も可能というユニークな在留資格である。
短期滞在というには長いが、主な目的が観光などなので短期滞在のグループではないか。
就労という観点ではデジタルノマドというのがある。
最大6ヶ月までリモートワークを認めるもので、ワーキングホリデーに似てますね。
その家族も就労しない条件で帯同可能である。
3ヶ月超でも中長期滞在者に該当しないという規定がある。
期間という観点では 資産家とその家族の観光、医療滞在とその付添人、イギリス人ボランティアがある。
短期滞在ではカバーできない90日超1年以内の滞在は特定活動になる。
このあたりは就労は一切想定していない。
そんなこんなで長々書いてきたのだが、
おそらくここまでの特定活動で退去強制の対象になる人はそう多くないのでは? と想像する。
就職活動のための在留資格はちゃんと就職活動しているか問われるのはありそうだが。
おそらく退去強制の数量として多いのはこれ以外のグループではないか。それはまた日を改めて。