来週から出張なのだが、出張前にあれやってくれ、これやってくれと、
もう1つのプロジェクトの方で想定外に動きがあり、
あれやこれやと対応してたが、一応はできたかなと。
今月末にもできないかもと予防線は張っていたが、
出張前に着手できたのと、意外とすんなり動いてしまったので早かった。
株式併合で少数株主を追い出すのはわりと一般的な手法である。
1名で90%以上の株式を保有できている場合は、特別支配株主の株式等売渡請求を行えば、
株主総会での議決などなくても少数株主を追い出すことができる。
しかし、90%取得できなかった場合、あるいは2名以上で保有し続ける意図がある場合は株式併合が使われる。
この株式併合というのは少数株主から買い取る端数の合計が1株以上にならなくてはいけないという制約があるそう。
以前、公開買付に応募したイオンディライトだが、イオンの持株比率は86.4%となり、2/3は超えるも90%には達しなかった。
この場合、株主総会の特別議決により株式併合を行い、2/3あれば可決できるので確実に成立するであろうと。
で、この株式併合というのが7,112,132株を1株に併合するもので、
全体で6株、イオン保有分は5.8株相当なので端数切り捨てで5株、
この差の1株を残りの株主(合計で0.9株相当)から裁判所の許可を得て買い取るというもので、
買取価格は公開買付価格と同額になるように申請するとのことだが、
端数処理によりわずかに差が生じることがあるかもねとは書かれている。
株式併合では併合後の端数の合計が1株以上にならないと、買い取る手続きができなくなる。
イオンディライトの例で言えば1000万株を1株に併合したとすると、
全体で4株、イオン保有分が4.1株相当で端数切り捨てで4株となってしまい100%となる。
それ以外の株主に生じる端数0.6株相当は単純に消えてしまってもよい。
しかし、そうすると少数株主は何も得られなくなってしまうので、
そのような株式併合は認められないはずである。
2名以上で保有し続ける意図がある場合は、端数の買い取りも共同で行うことが多いようである。
かつて上場していたLINE社、Zホールディングス(現:LINEヤフー)の親会社であるAホールディングスに作り替えられたが、
株式併合で全体で8株、NEVERが6株となるのはよいとして、
公開買付を行ったソフトバンクとNEVER J.Hubがそれぞれ0.53株相当で切り捨て、
それ以外の株主の合計が1.28株で、NEVER以外に1名で1株以上持つものはいない。
公開買付を行ったソフトバンクとNEVER J.Hubすら1株に満たないのか。
裁判所にはソフトバンクとNEVER J.Hubが共同で申立を行い、
それ以外の株主から公開買付価格と同額になるように買い取り、
結果としてソフトバンクとNEVER J.Hubは1株ずつ手にした。
その後、NEVER→ソフトバンクに3株が譲渡され、
ソフトバンクはAホールディングスの50%を保有し、株主間の合意によりソフトバンクの子会社となった。
あとは自己株式で買い取るという手段もあって、これも1株以上の端数が必要である。
株式併合により生じた端数の合計株式の取得、および公的資金一部返済に関するお知らせ (SBI新生銀行)
整理回収機構と預金保険機構に1株以上残るようにすると、
全体で10株、SBI地銀ホールディングスに5株、整理回収機構と預金保険機構に各1株、
残りが3株を買い取ると思っていたら、エスグラントコーポレーションが1株残ってしまったという事件もありましたが。
その後、エスグラントコーポレーションの保有分は買い取られたが。
それはさておき、このとき端数の2株を新生銀行自身が買い取っている。
なぜ新生銀行自身が買い取ったかというと、預金保険機構の端数処理を、
新生銀行自身の資金で行うことで、公的資金の返済として扱われるためである。
ちなみに昔は株式併合によるスクイーズアウトは一般的ではなかったらしい。
とはいえ、実質的には同じようなことをやっていたらしい。
かつて一般的だった方法はこのような方法である。
- 株主総会の議決で普通株式を全部取得条項付株式に変換する
- 全部取得条項付株式xxxxx株あたり、普通株式1株で買い取り、端数は現金で精算すると議決する
- 大株主の全部取得条項付株式は普通株式になる
- 少数株主は普通株式1株に満たないので全部取得条項付株式は現金で買い取られる
やってることは同じですよね。
全部取得条項付株式は現在も会社再建時には活用されている。
100%減資といわれる手続きの一環で行われることが多い。
既存株主から無償で株式を取得する、すなわち株主から追い出して、
そこから改めて新たな出資を受けるためである。
ただ、まっとうな会社の場合は何らかの対価が必要で、
全部現金で買うならともかく、大株主は株主に残したいので、
それは現在の制度では株式併合になるのが一般的なようである。