いろいろ変だなぁと思ったんですが。
新たな米大統領専用機、27年に引き渡し ボーイングが計画か (CNN)
アメリカの大統領専用機が2027年に納入予定かという話なのだが、
当初は2022年納入予定と言っていたのが2029年に遅れると言っていたが、
それを巻き返して2027年ぐらいにはなるかなという話らしい。
なんでそんなに遅れてるのかと思うのだが、変なことが書かれていて、
引き渡しの遅れには数多くの理由がある。17年に当初の契約を締結した後、ボーイングは20年2月に2機の747型機の改修に着手した。これらは別の顧客向けに製造された機体だったが、顧客側が財務破綻(はたん)したため引き渡しに至っていなかった。今振り返ればこうした手順は、恐らくゼロから機体を製造するよりもコストがかさみ、時間もかかるやり方だったとみられている
すでに出来ている機体を改造するのに7年もかかっているのである。
でも、それならそれで新造する方向に舵を切ればよかったんじゃないか。
そう思ってしまうのだが、よくよく考えればそれができない事情があった。
それがボーイング747が2022年に製造中止になったことである。
旅客機としてのニーズはほとんどなくなってしまい、
貨物機としては多少ニーズはあったが、生産継続するには十分な量ではなかった。
今のアメリカ大統領専用機は1990年導入のボーイング747-200である。
先代の日本の政府専用機が1992年導入の747-400だったからそれより古くて、
航空機関士の搭乗が必要な人手のかかるタイプの機材である。
日本の政府専用機は2019年にボーイング777-300ERに代替された。
日本国内の航空会社が導入していて、長距離航行できて、広い機材ということで選ばれたそう。
ボーイング787も概ねこの条件を満たすと思われるが、
貴賓室など設けた上で、普通席を十分な数作るのが難しかったよう。
政府専用機は要人輸送とともに、邦人救助にも使われるためである。
なぜ次期政府専用機は777-300ERが選ばれたのか (Aviation Wire)
ちなみにボーイング777-300ERは2021年に製造が中止されている。
後継の777Xは日本ではANAが発注しているが、開発が遅延していて、
2026年から納入予定と延期されているが、果たしてこれもどうか。
2017年に大統領専用機の後継機を発注した時点で旅客機としての747の終焉は見えていたはずで、
にもかかわらず、面倒な改造を要する747を注文したのか。
これはアメリカ大統領ほど敵が多い人はいないということだろう。
空飛ぶホワイトハウスなんて言われることもありますが、
大統領専用機には様々な機能が求められており、747は唯一の選択だったのだろう。
実際、改造内容はかなりセンシティブなもののようで、
同氏が言及した要件の変更は、機密情報へのアクセスに絡む適格性審査の基準を空軍が「緩和」するというもの。機体の製造に携わるボーイングの従業員はそうした審査の対象となるが、これが計画の遅れの一因になっているとの見方が以前から出ている。
そんな理由で遅れるか? とは思うのだけど、かなり切実な問題なのだろう。
まさかアメリカ政府がボーイング以外から旅客機を買うわけにはいかないだろうけど。
でも、今のボーイングで長距離航行可能な機材っていうと実質的に787しかないんですよね。
確かにボーイング787はいい機材だと思うけど。
日本の航空会社は伝統的にボーイング機が多かったので、
操縦資格などの面ではボーイング機がよいとJALもANAも787を多く購入している。
一方でそこでカバーできない部分をエアバス機に求めているのも実情で、
大きい側ではJALが導入したA350 XWB、小さい側ではANAなどが導入しているA321というのがある。
アメリカともあろう国の大統領専用機がボロいってのはどうなんだよと思うけど、いろいろ難しい事情があるんですよね。
日本の政府専用機は日本製の部品が多く採用されているボーイング機がよいとは言われていた。
ただ、2代目政府専用機の検討が行われていた時点の状況では、
ボーイング777か787しか選択肢に入らなかっただろうなとも思う。
当然ボーイングだったんですね。
今だとどうでしょうね。ボーイングにこだわって787にするか、
JALによる運用が軌道に乗っているエアバスA350 XWBを選ぶか。