今回、連休前に2日間の関西行きをすることになった。
なぜ連休にくっつけないのかというと、連休の前後には東京での用事があるから。
一方でこの時期に関西に行かないといけない理由があって、
それが万博の開幕券を買ってしまったということ。
では、いつ行くか。決め手は奈良博の「超 国宝」展である。
そんなわけで新幹線で京都まで。京都駅で下車したら改札口がひどい混雑。
中央口じゃなくて、八条口なら空いてる? とおもったらこれはこれで混んでる。
理由は大きな荷物を持った外国人客がどんくさいからだった。
東海道新幹線は高速鉄道なのに通勤電車みたいな本数が走ってるので、これはこれで大変である。
普段から自動改札機の使い方を補助する人はいるけど、なかなか間に合ってないみたいですね。
烏丸線に乗り換えるが昼間ということもあり、こちらも外国人客は多い。
昼食を食べて、岡崎公園へ。京都国立近代美術館で「若きポーランド」展に。
第一次世界大戦終結前のポーランドが分割されていた時代の芸術の話ですね。
OKパスポートで見られるから来たようなもんだけど。
面白い発見だなと思ったのが、日本の着物や浮世絵などが伝来したことで、
それに影響を受けた作品がいろいろ展示されていたが、日本の西洋画の黎明期を思わせる作品がしばしば。
いつものように東山二条からバスで東山七条まで。
この区間なら202系統を引ければ空いてていいが、少し空いてたので206系統で。
やはり祇園・清水道などでガサッと乗ってきて混む。
混み合うバスから降りて京都国立博物館「日本、美のるつぼ―異文化交流の軌跡―」展である。
これは明確に万博開催記念ということで、最初は博覧会に出展された工芸品からはじまる。
どちらかというと日本の美術史からすると異端な作品が多かったかもしれない。
舶来品に影響を受けた作品や、輸出のための工芸品などは、主流とは異なるところもある。
京都はヨーロッパとの往来もけっこうあったんだなと気づくところはあって、
祇園祭の山鉾には舶来品の絨毯やタペストリーを利用した飾りも使われていて、
大概においてイロモノということにはなるが、京都らしいのかなとは思った。
ただ、これがかなり駆け足になってしまった。
なんとか急いで七条駅に駆け込んで、京阪・近鉄と乗り継いで奈良へ。
奈良に着いてからも小走りで、16:20頃に奈良国立博物館に到着。
この時間はもう閉館間際だけど、入口には「賛助会員特別鑑賞会」という貼り紙が。
そう。昨年末に寄付して賛助会員に列せられたことで、特別鑑賞会なるものに参加できるようになったと。
今回はここに合わせて関西行きをぶつけたということである。
講堂ってのは初めて来るけど、180席のところ7割ぐらい埋まってる。
同伴者含めての参加もあるだろうけど、賛助会員全体で155人と考えると、
半分ぐらいが出席してそう。注目度が高い特別展とはいえなかなかである。
そりゃまぁこういうの参加したくて寄付するんでしょうけど。
やはり年配の人が多いですね。仕方ないね。
最初に館長からの挨拶ではうやうやしく賛助会員への感謝が述べられた。
引き続き担当の研究員から30分ほど今回の展覧会の意図や見所の解説があった。
「超 国宝」という展覧会、確かに出品物の8割が国宝、1割が重要文化財なのだが、
「奈良博の同窓会」という説明はとてもしっくりくる説明だなと思った。
開館130周年の奈良博で同窓会をやると国宝だらけになってしまうのである。
現在でも奈良博で保管されている文化財の多くは寺社からの寄託品だが、
そもそも奈良を中心とする寺社から文化財を預かることこそ奈良博のルーツである。
ただ、寺社に文化財の保管・展示に適した施設ができるにつれて、次第に帰っていったわけである。
過去に奈良博に寄託されていた文化財、あるいは展覧会のために過去に借りていた文化財、
これらが再集結したということが同窓会の意味するところである。
その中でも特に重要なものとなれば、それは多くが国宝、そうでなくても重要文化財であることは多い。
ただ、そんな中に「弥勒菩薩立像」(林小路町自治会蔵)という未指定の仏像がある。
これ、実は奈良博に130年間寄託されている像なんですね。近年修理されたこともあり綺麗ですが。
130年前の奈良博には館蔵品ってのがなかったんですよ。だからこれが一番古いと。
館蔵品では唯一の国宝彫刻「薬師如来坐像」とともに奈良博130年の歴史を物語る展示物なのかなと。
「超」には時代を超えたという意味とともに、国宝・重要文化財の枠組みを超えたという意味もあるそう。
そういえば奈良博には文化財保護の枠組みを超えた文化財が毎秋来てますよね。
正倉院宝物ってのは国宝ではないけど、それを超越するものである。
とはいえ、本物は持って来れないので模造品やスケッチでなんとか。
重要文化財(国宝)未指定の展示物が比較的多かったのが奈良博覧会についての展示で、
奈良博覧会といえば正倉院展の元祖みたいな意味で知られることも多かったが、
奈良博前史という側面もあり、常設の博物館設立の機運を高めたそうだ。
その奈良博覧会の再現展示みたいなこともやっていた。
この奈良博覧会の出品物のうち、法隆寺のものはその後に皇室に献納(実質的には売却)され、
現在は東京国立博物館蔵となっているものもある。そういうのも持って来ている。
この展覧会は仏教美術・神道美術にこれから触れる人に向けた解説もある。
というのも「ざんまいず」のキャラクタによる解説が一部の作品に付いている。
「ざんまいず」って「いのりの世界のどうぶつえん」のキャラクタね。
小中学生向けの解説といえばそうだけど、小難しいこと言われてもわからない大人は読んでみるとよい。
奈良博の同窓会という話に通じるけど、奈良博では仏教美術の体系立てた展覧会を何度もやっていて、
そういう展覧会の出品物で、特にハイレベルな作品を改めて集めたものなので、
仏教美術・神道美術の理解という点ではとても助けになる展覧会である。
国宝あるいは重要文化財になる文化財はまさにキーとなる文化財なのである。
そんなこんなでゆっくりと1時間ちょっとかけて鑑賞していた。
展示室では自由観覧ということだが、賛助会員だけなのでゆったりしていることは確か。
他の人もみんなゆっくり見てますからね。こういうのは賛助会員の特権ですよね。
展示替えもあるので、また改めて来たいとは思ったけど、機会はなさそう。
というわけで奈良博の「超 国宝」合わせの関西行きだったが、
ここから明日の万博につながるわけですね。
もっともあまり余裕はなくて明日のうちに家まで帰ってしまう。
連休前に休暇が続くのも考え物ということでこうも慌ただしくなった。