左側通行標識とロータリー

都道府県ごとに道路標識の付け方にはいろいろ差があって、

それはバイクを運んで各地で走っているとなおさら思うところである。

やっぱり東京都の標識の付け方、変だよなと思うところはあるし、

逆によそだとこういう付け方はしないよなと思うものもある。

そんな中で気になった左側通行標識の話。


今回の旅行でよく訪れたJR郡山駅東口だが、

通りかかって驚いたのは、ロータリーの中央に左側通行標識があったことである。

左側通行標識と言っているのは青地に左下向きの矢印を書いた標識で、

中央分離帯のある道路の中央に取り付けられていることが多い。

というかそれ以外の用途があることを知らなかった。

ただ、この標識の正式な名前は左側通行ではなく「指定方向外進行禁止」である。


指定方向外進行禁止は交差点で曲がれる方向を指示するのに使われる。

いくつかのパターンがある。

1つは信号のない交差点で右折など、他の車の通行の妨げになるから禁止というもの。

この場合は対向車線から左折するなど迂回することが求められる。

1つは鋭角方向に曲がる場合など、安全面の問題から禁止しているもの。

複雑な交差点でしばしば見られ、交差点の形に合わせた変則的な矢印の標識が使われることも多い。

1つは交差する道路が大型車通行止めなどの規制がかかっている場合。

「大型等」など対象とする車種を限った表示が行われる。

東京都で多いのが交差する道路が一方通行であることを表すためのもの。

他の地域でもあるとは思うが、交差する道路に一方通行標識を見せる方法で済ませることも多い。

東京都ではそれをやらないので、細い道路にも 指定方向外進行禁止 の標識がたくさん付いている。


話は戻って、左下向きの矢印で指定方向外進行禁止というのもよくわからない話だが、

この標識の左側にしか進めないという意味で、結果として左側通行を表す。

この標識は中央分離帯に付けられるのが用途のほとんどであろうと思う。

ただ、調べてみると、地域によってあまり付いていないらしい。

というか東京都がそうなのである。あまり意識してなかったが確かにない。

常識的に見てわかるだろうということなのか。


それが中央分離帯以外のところで使われてるとはねと。

確かにロータリーの中央島より左を通って、右に出るという意味では中央分離帯と同じような意味がある。

実際にはこれに加えて左には一方通行標識があるので、ロータリー内左回りであることはそこでもわかる。

ロータリー内一方通行の入口・出口を強め表記するためのものであろう。

同様の使い方は祝園駅・新祝園駅のロータリーでも見た。

わりと一般的な使われ方なんだろうか。


実は前々から気になっていたことがあって、それが玉川上水や千川上水を挟んだ道路のことである。

水路を含む緑地帯を中央分離帯のように使っているところがある。

ただ、中央分離帯ではないという認識らしく、それぞれの一方通行規制を行っているという扱いで標識が付いている。

このため反対向きの道路には進入禁止標識で入らないように規制し、

他方には一方通行標識を付けて一方通行の入口であることを表している。

なお、中央分離帯と実質同等という性格から「自転車を除く」とはなっていない。

こういうところこそ左側通行標識があったほうがよいのでは? と思っていたが、

実際にはないので、進入禁止標識だけが目立つというのが実情である。


それがロータリーを表すようなところで使われているのを見て、

こういうところも使える標識なら緑地帯を挟んで左側通行にも付ければいいのにと思ったのだった。

ただ、さっきも書いたように東京都ではそもそも中央分離帯にこの標識を付けていない。

そう考えると中央分離帯同様の処理をしていないというよりは、

そもそも付ける習慣がないというのが正しかったのかもしれない。


余談だが、左側通行標識とロータリーと調べると、こんなゲテモノが出てきた。

上賀茂神社前ロータリー (のの字な道)

なんとロータリー注意と左側通行標識を団子にして中央島に置くことで、

ロータリー内左回りを表しているという。それは一体なんなんだと。

公道だけで五叉路で、さらに神社との出入口もある複雑な構造になっている。

上賀茂神社発着のバスは神社内でバスが折り返すようになっている。

環状交差点の制度を適用したほうがよさそうだが、神社との出入口でもあるからかそうはなっていない。

環道に入る道にはすべて「止まれ」を付けているから、特に必要ないのかもしれない。