E5系の後継がE10系のわけ

東北新幹線で長い鼻して走っているE5系、そろそろ初期の車両は置き換えの時期に入るのだという。

当初は320km/h走行を生かせるはやぶさ号を中心に走っていたが、

今の東北新幹線は大概がE5系か、E5系に別の車両をくっつけて走ってるわけですからね。

その後継車両としてE10系というのが発表された。

次期東北新幹線車両(E10 系)を開発します(pdf) (JR東日本)

320km/h対応に加えて、荷物輸送やビジネス客用の座席など多目的に利用できる車両となるようだ。


E5系とE10系までだいぶ数字が飛んだなと直感的には思うが、

E6系ははやぶさ号とセットになる こまち号(当初はスーパーこまち号)用の車両で、

E7系は北陸新幹線用に作られた車両で、現在は上越新幹線もこれに統一されている。

E8系はつばさ号用の車両として作られ、E5系の連結相手になっている。

その次はE9系になりそうなものだが、飛ばしてE10系なのだという。


ちょっと変な気がするが、ちゃんと理由はあった。

E5系というのはE523形、E526形……といったE5xx形の総称を表すものである。

この理屈で言えばE9系が存在したとすれば E9xx形 の総称ということになるが、

それはすでに 検測車East-iのE926形、試験車両ALFA-XのE956形として存在する。

このためE9系が存在すると混乱の元と考えたのではないかとのことである。

E10系がどのような付番になるかは定かではないが、

おそらくE10xx形の総称ということで、桁数は多くなるけど丸く収まると。


700系→N700系→N700S系と東海道・山陽新幹線が700を使い続けている理由もそうなのかも。

700系の次に800系というのは、それは九州新幹線で使ってしまった。

そしてドクターイエローは922形(初代)、923形(2代目)で9xxは使っている。

N700系が登場した2007年頃の東海道・山陽新幹線の事情を考えて見ると、

のぞみ号はかなり700系になっていたが、500系は山陽新幹線で300km/h運転できる車両として活躍していたし、

のぞみ号以外では300系も走っていたし、山陽新幹線のこだま号は100系も走っていた。

他社だが200系、400系も現存していた時代である。

600系という選択肢はなくはなかったのだろうが、中途半端に数字が戻るのもなぁと。

結果として700系の進化形ということでN700系というのが選ばれたのだろう。

7xx形という形式としては700系とは違う数字を使っているので、そこは区別が付く。


N700系というのは、カーブの多い東海道新幹線で速く走れて、

山陽新幹線の300km/h運転に対応でき、九州新幹線の急勾配でも走れる。

まさに万能車両であり、500系はのぞみ号から去り、こだま号専用車に改造、

山陽新幹線のこだま号専用車として走っていた100系を代替した。

300系もN700系と入れ替わりで早々去った。

100系が去った今となっては、N100系みたいに数字が一巡してもよかったかなと思うところはある。

ただ、N700系の当時はまだ100系も現役だったんですよね。

さすがに0系はいなかったからN0系とかはできたかもしれないけど。

今だとリニア中央新幹線の初代営業車がL0系という想定で、

山梨実験線を走っているのはL0系の試作車という扱いで、そこに取っておきたい思いはあったかもしれない。


その後にN700S系のときに新しい番号を付ける考えもあったかもしれないが、

これはマイナーチェンジの範疇という考えも多かったのだろう。

700系→N700系は明らかに新形式という感じがあったけど、

ゆっくり変化している車両というのが正直なところではないか。

というので、7xx形から変わらず現在に至るというところか。


そういえば、近鉄の新しい一般車両が8A系と言われて、

8xxxという車番で現存車両と被らない番号を付けるのだと思ってたら、

まさかの 8A101 のような車番が振られてびっくり仰天なんて話はありましたが。

この付番の意図として先頭の「8」という数字を意識したというのがあって、

それは奈良線・京都線・橿原線の車両は「8」はじまりにしたかったと。

それで5桁になるのはともかく、そこにAを入れますかというのはある。

それと似たような話で「9」はじまりはやめておくというポリシーがあったと。


E10系についての発表の最後に「今後予定されている札幌開業に伴い運用する車両については、今回設計する車両をベースに別途検討いたします。」という記載がある。

そういえば北海道新幹線の札幌までの延伸ってのがあるんですよね。

寒冷地対応の強化など必要らしく、全く同じ車両というわけにはいかないよう。

それはE10系のマイナーチェンジで対応できるのかもしれないし、新形式かもしれない。

実際、そんなに違うのかなという気はするんですけどね。

いずれにせよE10系は東北新幹線で多目的に使われているE5系の後継に適した車両とは言えそうだ。

ただ、窓割りからグランクラスはなさそうで、最速達列車には入らないかな? という予想はあったが、真相はいかに。