昨日、東ドイツでAfDが支持を受けている話を書いたが、
CDU/CSUとかSPDとかAfDとか3文字の略称の政党がある中に、
GrüneとLinkeという1語だけの政党があった。
Grüneって緑って意味で、緑色がシンボルカラーなので緑の党だろうと。
じゃあ、Linkeってなんだ? 調べると「左翼党」とか出てくる。
緑の党はいかにもヨーロッパでありがちな名前の政党だが、
ヨーロッパにおける元祖が西ドイツの Die Grünen だという。
ドイツ語で形容詞を大文字で書き出すと○○な人という意味になって、
人の集まりなので複数形にして、定冠詞を付けて Die Grünen になるみたいですね。
ただ、投票用紙などに記載される略称は Grüne みたいですね。この差はなんだ?
なお、正式な名称は Bündnis 90/Die Grünen だそう。
これは東西統一後に東ドイツの緑の党(こちらは Grüne Partei で緑の政党という意味)と同盟90(Bündnis 90)を統合した経緯によるそう。
まぁ正式名称はともかく Die Grünen で通じるんでしょう。
Linkeというのも Die Linke という名前の政党の略称である。
こちらは link で「左の」という意味で、政治の世界では「左翼の」ということになる。
で、政党を表す Partei は女性名詞なので、そこに引きずられて、
女性名詞の定冠詞 die を付けて Die Linke となっていると。
ちなみにDie LinkeもAfDと同様に東ドイツ中心の政党である。
ルーツが旧東ドイツの独裁政党にあるという事情もあるようだ。
AfDは極右と言われ、Linkeは直球で左翼というのも極端な話である。
さすがにLinkeは東ドイツ地域だけ見ても第2党ではないですけどね。
ただ、この背景にはLinkeから一部メンバーが独立したBSW(Bündnis Sahra Wagenknecht: ザーラ・ワーゲンクネヒト同盟)の存在もある。
ザーラ・ワーゲンクネヒトというのは党設立の中心メンバーの名前で、
日本で言えば「生活の党と山本太郎となかまたち」みたいな命名センスである。
このBSWこそ極左政党だと言われ、先の選挙では5%ラインをギリギリ超えられず議席獲得はならなかったという。
そう考えると東ドイツ地域は右に左に極端というのもあながち間違いではないのかもしれない。
というわけで政党を表すドイツ語の話だった。
他にも議席獲得に至らない政党にはそういう命名のものがあるようで、
Die Freiheit(自由党)なんてまさにそういう命名だし、
“Feministische Partei Die Frauen” はFeministische Parteiでフェミニスト党となるが、
略称はDie Frauenなので、ここだけ見れば女性党みたいな意味になる。そんな変わらんか。
さらにすさまじい名前の政党が Die PARTEI で、Parteiは政党という意味である。
一応PARTEIはいくつかのキーワードの頭文字を集めたものだとなっているが、
あいうえお作文みたいな話でWikipediaには「風刺政党」と書かれていた。
まぁ日本にもふざけた名前の政党は時々ありますからねということで。