名神・新名神・名阪の巻き添え

昨晩は西日本で大雪ということで、事前に広範囲で道路の通行止めが行われた。

日本海と太平洋の間が狭いところはどうしても雪から逃れるのは難しい。

名神高速道路や東海道新幹線の関ヶ原周辺はその最たるものだが、

新名神も鈴鹿山脈周辺は雪に見舞われやすく、

名阪国道ルートも重なる部分はあるし、加太越区間など氷雪の影響を受けるところはある。


いずれのルートでも立ち往生が起きては除雪もままならないということで、

3ルートとも岐阜県・滋賀県・三重県・奈良県東部の広範囲で同時刻から通行止めが行われた。

高速道路だけ見れば名古屋~京都・大阪が全滅という状況になった。

で、そうなれば一般道に迂回すればいいじゃないかとなるが、

一般道も山越え区間、府県界などで通行止めが行われたのである。

これもすごく範囲が広かったのだが……


当然、これらの道路に並行する道路は軒並み通行止めがあり、

名神(中山道ルート)は国道8号線・21号線が通行止めになり、

新名神(東海道ルート)は国道1号線の鈴鹿越と甲賀エリアが通行止め、

名阪国道は国道25号線の一般道(通称:非名阪)もそうだけど、

現実的な迂回路は国道163号線で長野峠と三重県・京都府境が通行止めに。

このあたりまではなんとなくわかるのだけど……


Google Mapsで国道369号線が渋滞表示になっている画像を上げている人がいて、

なんでこんなところが? と思ったのだけど、

実は163号線の通行止めにあわせて、165号線と166号線も通行止め区間が出ていた。

この3路線はいずれも伊勢神宮への参拝道に由来する国道である。

163号線は伊賀街道とか大和街道とか呼ばれたルートである。

165号線は初瀬街道、青山越を除けば比較的緩やかなルートで、近鉄はこのルートに沿って走っている。

166号線は和歌山街道とか伊勢南街道と呼ばれ、高見峠を越える終始険しいルートである。

で、奈良県方面からのルートとしてはもう1つ主要ルートがあって、

それが伊勢本街道、険しいが最短ルートというやつで、現在の国道369号線(三重県内は368号線と重複)である。

ここは特に通行止めにならなかったので車両が集中したらしい。


なんで369号線を通行止めにしなかったのかはわからないけど、

そもそも厳密に伊勢本街道ルートに沿って走ろうとすると、

桜井市~宇陀市榛原の間は165号線を走る必要があるが、この区間は通行止めなので、

そこは別ルートに迂回しなければならない。

さらに大きな難所が仁柿峠で、現在バイパス工事中だが、1990年に着手して2033年完成予定という工事である。

険しい地形、長期の工事に理解を 県が仁柿峠バイパス見学会 三重・松阪 (夕刊三重)

現状は1車線区間が大半を占めるという状況になっている。

三重県としても重要ルートとは考えているのだが、大変厳しい区間である。

ようは実用性が皆無であるとみたわけだが、それでも突撃する車はいたと。


同様の事象は国道307号線でも起きていたそう。

新名神の大津~城陽がこのルートに並行して現在建設中ですが。

甲賀や湖東に向かうためにこのルートに突撃したんかね。

これも険しいルートで立ち往生する車が出ていたという。


近畿圏の高速道路というのはメッシュ状のネットワークになっており、

迂回路という点では様々選択肢があるものの、通行止めが生じると、

通行止めになっていない限られたルートに車が殺到するという側面もある。

名神・新名神・名阪と3ルートもあれば、1つダメでも2つ残ってるので、

なんとかなるケースも多いが、今回は全滅という想定で、全部一斉に通行止めにしたわけである。

この作戦自体は概ね当たりで、並行する道路もだいたい封じて実効性は高められた。


ただ、課題もなかったわけではない。

先ほど、滋賀県と三重県は高速道路はほぼ全て通行止めになったと書いたが、

大津・草津などの湖南地域については京都方面とは国道1号線で、

四日市・津などの伊勢地域については名古屋方面とは国道23号線で往来できた。

このルートに車が殺到して渋滞するという問題があったそう。

生活道路として確保したものの、高速道路がないのはやはり大変である。

さらに三重県でも伊賀地域は最重要ルートである名阪国道はおろか、

上記の国道通行止めにより、他地域との道路がほぼ全て通行止めに。

名阪国道の通行止め影響 伊賀市のスーパーに商品届かず (NHK)

迂回もできないなら諦めるしかないということなのだけど。


各ルートの除雪作業は順調に推移し、高速道路の通行止めは全て解除、

名古屋~京都・大阪間のルートは全て平穏な状況に戻った。

いろいろ犠牲はありましたけど、これが何よりの成果ということで。