通行止めではなく一方通行では?

旅行で沖縄に行っている人が、那覇の国際通りの写真をアップロードしていて、

で、これから一方通行になるというようなことを書いてあり、

ただ、そこにある標識は 二輪以外の自動車通行止め だった。

車のマークに赤の斜線が入った標識ね。


一体これは何なのか? と気になって調べてみた。

最近はゆいレールなんてありますけど、沖縄にとってバスというのは重要な交通手段である。

そのバスのスムーズな運行のため、那覇周辺にはバスレーンが設定されている。

バスレーン規制について (沖縄県警察)

朝は那覇市街へ向かう向き、夕方は那覇市街から離れる向きに規制が行われ、

第1通行帯をバス・タクシー・二輪の専用通行帯にするということである。

バスレーン規制もいろいろで、バスの中でも路線バス、通学・通園バス、通勤送迎バスと限るケースもあるが、

沖縄ではバスなら貸切バスでもよいし、タクシーも含めている。

二輪も全部バスレーンを走行できるんですね。これはわりとあるらしい。

そもそも第1通行帯に設定されたバス専用通行帯は、第1通行帯を走行する義務のある軽車両(自転車含む)・原付(特定原付・一般原付)・小特は当然走行できる。

で、一般原付がよいなら、バイク全部いいだろうという発想である。


ところが国際通りと県道222号線は片側1車線の道路にバスレーンを設定するわけで、

これはもはや専用通行帯ではなく、バス専用道路であると。

一定向きに通行できる車両は バス・タクシーと軽車両・二輪となる。

裏返せば二輪以外の自動車からバス・タクシーを除いたものが規制対象なので、

二輪以外の自動車通行止め に「バス・タクシーを除く」という標識が付くと。


なるほど、沖縄県警察の意図は理解できたと。

しかし、時間帯により一方の向きだけに規制を行うのだから、

反対向きには全ての自動車が走行できるわけですよね。

で、道路標識には車両進入禁止というのがあって、天下一品のマークに似ているやつである。

あれも車両が走行できないという点では通行止め標識に似ているのだが、

車が出てくる可能性のある一方通行の出口に付けるものだと言われている。

国際通りの通行止め標識はそこから一般車が出てくるわけですから、進入禁止を適用するべきところではと。


バス・タクシーなどは双方向で通行できる道を一方通行と言うのは変では?

というのも理解はできるのだが、厳密に一方通行という道路は少ない。

自転車レーンと中央線

一方通行(自転車を除く)の道路に中央線を引くと逆走する自転車の専用レーンになるという話を書いている。

自転車でも軽車両でも二輪でも何らか除かれている車両がある一方通行には対面通行のルールが適用される。

なので、バス・タクシー・二輪・軽車両を除く一方通行というのはルール上全く問題が無い。

ただ、そのような規制はあまり一般的ではないのも事実だが。


ところで一方通行規制というのはけっこう地域性がある規制だと言われている。

さっきも書いたが全ての車両が規制対象になることは稀である。

全国的には「軽車両を除く」「自動車・原付」の地域が多いのかな。

ちなみにこれは同じ意味である。(cf. 自動車・原付って記号で書けば)

それに次いで見られるのが「自転車を除く」で、東京都・大阪府・京都府などの都市部に多い。

なお、この自転車というのは普通自転車+特定原付という意味なので、

配送用のトレーラー付きの自転車は逆走できないことになる。

で、少数派ではあるが一定みられるのは二輪以外の自動車のみを対象とするもので、

この場合は「自動車(二輪を除く)」と書くか、車のシルエットのマークを付けることになる。

山梨県だと「二輪・軽車両を除く」なんて表記もみられるようだ。

これはこれでわかりやすいかもしれない。


規制の実質的な意味でも地域性があるが、標識の付け方にも地域性がある。

東京都の一方通行規制に関わる標識はいろいろおかしいのである。

さっき東京都では一方通行規制は「自転車を除く」であるのが普通だと書いたが、

青矢印の一方通行標識と「自転車を除く」のセットは東京都ではまず見ない。

というのも東京都では一方通行標識は規制の入口にしか付いていないことが多いのだ。

当然、一方通行の途中で交差する道路というのは存在するのだが、

その場合、交差する道路に指定方向外進行禁止、青丸に進める方向の矢印を書いた標識が付けられ、

一方通行規制にかからない向きだけ進めることを示して「自転車を除く」と書く。

で、この規制の理由が一方通行であることを示すため、その下に「一方通行」と書いて、

交差する道路の一方通行の向きを黒色の矢印で書いているのである。

一方通行の出口には進入禁止標識があり、それには当然「自転車を除く」と書かれている。

途中の交差点については指定方向外進行禁止で抑えているものの、

見落とした場合の対策か、一部には進入禁止標識がある。これも当然「自転車を除く」である。

一方通行の入口で一方通行標識を見ても、全車両が進めることに変わりは無い。

なので、ここの「自転車を除く」は省略されることが常であると。変だと思うんだけどなぁ。


ちなみに那覇の国際通りでも交差する道路にはバスレーン規制の向きに曲がれないことを示すため、

規制時間帯ごとに2つ標識を立てて「バス・タクシー・二輪・許可車を除く」としている。

(これだと軽車両まで曲がれなくなってしまうけど、二輪に含まれると解釈してほしいのか)

国際通りの場合、さらに日曜の昼にトランジットモールとして歩行者専用道路の規制が行われる。

歩行者専用道路というが許可されたバスは通行するので歩行者天国ではない。

このため交差する道路が歩行者専用であることを示すために

歩行者専用の標識に規制時間帯と「国際通り」と付けたものも存在する。

この道路自体が歩行者専用なのではなく、交差する国際通りが歩行者専用なのですよということである。


というわけでそんな変な交通規制もあるんだなという話だった。

そもそも 二輪以外の自動車通行止めの標識が単独であるのも珍しい。

この標識って踏切で使われることが多い標識で単独でも使うし、

「小特を除く」とか「軽・小特を除く」と付加されていることも多い。

ただ、それ以外となると車とバイクの両方を赤斜線の中に入れた標識が一般的で、

それは軽車両(特定原付を含む)だけが通行できることを示すためである。

(自転車歩行者専用+「軽車両を除く」でも同義なのだけど)

国際通りの規制にしても、沖縄のバスレーンは二輪が走行できるから、

それにあわせてこうなってるんだろうけど、珍しい気はしますね