いにしえの写真付き切手

先日、知人に封書を送ったら「この切手変わってるね」と言われた。

その昔、祖父が作った「写真付き切手」である。

祖父が亡くなった後、あれこれと持っていた切手を両親が持ち帰ってきて、

その一部をもらったもので、大半は記念切手だが、なんと自作の切手もあったのである。


記念切手としていろいろな柄の切手が発売されることはあるが、

個人・企業がオリジナルの柄の切手を作るというのは制度的に難しいところがある。

一方でオリジナルの切手を作りたいというニーズは存在し、

いろいろ考えた日本郵政公社(当時)は2003年に「写真付き切手」のサービスを始めた。

プリクラ感覚でオリジナル切手シートを印刷 (Internet Watch)

あらかじめ決められた柄の切手の下に提出した写真が印刷されていると。

シール切手になっていて、切手と写真が一緒に貼れるようになっている。

(切手と写真の間にはミシン目が入っているが、切り離す目的ではない)


ただ、いかにも切手と写真という感は強く、2006年に「フレーム切手」のサービスが開始、

額縁状の切手の中に写真などが入っているという形になっている。

切手と写真の間にはミシン目が入っているが、切り離しを目的としたものではない。

これにより一見するとオリジナルの柄の切手を作れているように見える。

実際にはフレーム部分(柄は既製)が切手であって、その内側にある写真は制度上の切手ではないが。

なお、フレーム切手には額縁状のものだけでなく、写真の下に帯状に付くものも存在する。

従来の写真付き切手は切手が上、写真が下だったのが入れ替わったものとも言える。

ただ、切手部分のサイズが大幅に縮小され、写真がドンと目立つ形にはなっている。


写真付き切手の頃からそうなのだが、日本郵便自身が作ったフレーム切手もある。

例えば、オリンピックのメダリストが刷り込まれたフレーム切手がそうで、メダル獲得の数日後に早々発売されている。

記念切手の制作には時間がかかるが、フレーム切手ならすぐに作れるわけである。

他にもいろいろなコンテンツのフレーム切手が発売されており、

以前にコミックマーケットに日本郵便が出展していた話を紹介している。

ファンレターから手紙文化を根付かせる


ところで写真付き切手にしても、フレーム切手にしてもそうなのだが、

実用すると消印が写真部分にかかることがある。

昔の写真付き切手はそれを見越したが切手部分がかなり縦長で、

普通に消印が押されれば写真にはかからないようにしていたんだと思う。

ところでこのフレーム切手は額面80円なのだが、現在の郵便料金には30円足りない。

以前、30円切手(キタキツネ)を入手していたので、これを上に貼って、縦に2枚の切手を並ぶようにした。

こうなると機械で消印が押せなかったか、手押しの消印が押されていた。

「東京北部」の手押しの消印とかなかなか狙って押せるものではないが。

2枚の切手の間を狙って1個押されていて、これで両方潰れているのだが、

勢い余ったか、切手と勘違いしたか、写真のど真ん中に消印がもう1つ押されていた。

あーあ、という感じである。


写真付き切手はできるだけ消印がかからないようにという配慮もあったが、

現在のフレーム切手こそ消印がかからないのは難しいのではないかと思う。

郵便局の窓口で特に指示すれば写真にかからないように押してくれるだろうけど。

写真付き切手・フレーム切手の切手と写真の境目にミシン目があると書いたのはそのためで、

消印が切手部分のどこかにかかっていればよいので、そこを区別するための境界線である。


この写真付き切手の使い道というのはわりと困るもので、

せっかく高いお金出して作ったオリジナルの切手なのだから、

単に額面があればいいような用途で使うにはもったいなくて、

なにか祖父に縁がある人への手紙で使えればと思っていた。

その中ではわりとふさわしい人に送ったつもりだったが「何これ?」みたいに言われるとはまさか。

現在使おうとするとどうしても不足額があるのが煩わしいが、ふさわしい用途では消化していきたい。