伊丹空港と神戸空港の着陸時にサークリングアプローチが使われている話を紹介した。
ILSの電波に従って着陸する方法は悪天候に強いが、片側にしか付いていない(付けられない)ことも多い。
最近は人工衛星の位置情報に従って着陸するRNPでILSが使えないパターンをカバーしていることが多いが、
伊丹空港では北側から着陸するレアケースでは必ずサークリングアプローチ、
神戸空港でも東側から着陸する場合は必ずサークリングアプローチとなる。
また、伊丹空港では南側から短い方の滑走路に着陸する場合、
ILSに従って長い方の滑走路に降下してきて、短い方に方向転換するサークリングアプローチもみられる。
で、神戸空港だが発着枠拡大に伴い、3月から離着陸経路が変更される。
従来は離着陸ともに明石海峡上空を通っていた。
離着陸の経路が重なるといろいろ制約が大きいため、淡路島上空を通る離陸経路を導入する。
新しい神戸空港の離陸ルートでは淡路島上空を3000ft以上で通過するとなっている。
淡路島の中では人口の少ない夢舞台上空を通る配慮はあるし、低騒音の小型機が多いというのはある。
これにより神戸空港の離着陸経路が分離されるわけだが、
てっきりこれで東側から着陸する場合のサークリングアプローチを使わなくなると思っていたが、
そんなことなくて今後も東側から着陸する場合はサークリングアプローチである。
AIS JAPANで3月20日からのチャートを見ると計器着陸用のものは、
ILS Z or LOC Z RWY09、ILS Z or LOC Z RWY09、RNP RWY09と、
いずれもRWY09=滑走路に東向きに着陸するものしかない。
このため風向きにより西向きからの着陸になる場合には、
これらの方法で明石海峡から空港西側に接近してからサークリングアプローチとなる。
今までとほとんど変わらないってことですね。
なんでかなと思ったのだけど、他の空港との関係で神戸空港は明石海峡上空を通って着陸するルートしか使えないので、
西向きに着陸するにも空港に近づいたところで南側にぐるっと回る以外の方法がない。
それならILSに従って接近してから、空港近くで滑走路を目視しながらぐるっと回ればよい。
これは他の空港の都合とは関係なく自由にやって問題ないわけだし。
伊丹も地形や他空港との関係から南側から出入りするしかないんですよ。
伊丹空港は短い方の滑走路へのサークリングアプローチはよくあるが、ぐるっと回るというわけではない。
本当にぐるっと回って北側から着陸するのは極めてレアケースである。
いろいろ調べたんだけどジェット機が発着するような空港で計器進入が一方向きしか設定されてないのは、
伊丹・神戸以外だと岩国と高松かね。(高松は地形の問題があるらしい)
ただ、サークリングアプローチというよりばビジュアルアプローチじゃないかな。
空港の横辺りに誘導されて、そこから目視で着陸するということである。
悪天候かつ風向きが合わなければサークリングアプローチもあるかもしれないが。
と考えると、神戸空港ほどサークリングアプローチを行う空港は日本に他にないんじゃないかと思う。
そしてそれは今後も変わらないということである。
神戸空港は今年4月から国際線チャーター便の受け入れを開始する。
神戸市内や播磨などを目的地とするツアーでの利用を期待しているんじゃないかね。
思っていたより人気っぽいが、時間帯によっては関空が忙しい中で、都合のいい時間に飛ばせる可能性があるのかも。
伊丹の国内線が忙しい時、関空の国際線が忙しい時をカバーしつつ、
神戸周辺を発着地とする需要を掘り起こしていくのが3空港の中での役目なのかな。
それ地方管理空港の役割か? と思うけど、神戸空港はそういう空港である。