ふと気になって日本調教馬が今年1年、外国のG1で稼いだ賞金を計算した。
そしたらおよそ30億円と出てきて、すごい金額だなと。
しかし、2018年以来の海外G1未勝利である。なんだそれは。
確かに今年は悔しいレースが多かった。
2着・3着と日本式に言えば馬券に絡んだ馬も多かった。
その中でもJRAでの馬券発売対象レースも多かったわけだけど、
アイリッシュチャンピオンステークスでシンエンペラーが3着になったのは、
ヨーロッパの馬券発売対象レースでは史上初めてのことだそう。
高額賞金レースで上位に入れば賞金は相当な額であり、
サウジカップとドバイワールドカップでともに2着になったウシュバテソーロは計8.3億円を獲得している。
賞金的にはとんでもない金額だが、あまりに悔しい結果である。
それゆえか来年はこの2レース走ってから引退の意向だそう。
3月まで走って同年種牡馬入りというのはかなり珍しいことである。
日本の活躍馬が上位に入ることで国際競走としての価値が高まっているのは確かで、
その最たるものが香港競馬じゃないかなと思う。
春のクイーンエリザベス2世カップ、今日の香港カップ、
ともに優勝は地元の大将、ロマンチックウォリアーだが、2着・3着に迫ったのはどちらも日本馬である。
サウジカップデーとドバイワールドカップデーもそうですよね。
日本の国際競走の価値を高めているのも、実態としては外国に遠征する日本馬である。
今年のジャパンカップの2着はヨーロッパ遠征帰りのシンエンペラーとドゥレッツァ(同着)だし、
BCクラシック→東京大賞典の転戦ももはやおなじみになってきた感はある。
こういう行き来により、専ら国内を走っていても評価が付くようになってきている。
勝てなかったのは悔しいけど、たたえるべきは勝者でしょう。
ドバイシーマクラシックを勝ったレベルスロマンス、その後G1 3勝、
その1つはBCターフ、これも2・3着は日本馬じゃないか。
KYダービー3着、BCクラシック3着のシンエンペラーに対して、
KYダービー2着、BCクラシック1着のシエラレオーネこそすごいわけだし。
今日の香港国際競走では、ロマンチックウォリアーもそうだけど、
香港スプリントでカーインライジングという新チャンピオンを見届けたわけである。
来年もサウジカップデーを皮切りに日本馬の遠征は続くとみられる。
一方でJRAとしては国内のG1レースのメンバー充実を図りたいと言っている。
JRAが来年度G1の4競走で1着本賞金を3億円に増額 宝塚記念、天皇賞・春と秋、大阪杯 8000万円~1億円の大幅アップ (UMATOKU)
大阪杯・天皇賞(春)・宝塚記念・天皇賞(秋)の1着賞金を3億円に増額する。
さらに春三冠・秋三冠ボーナスも増額になり、
春三冠・秋三冠の6レースを通じて3勝してもボーナスが得られるように。
その意図としては「国内の一流馬の“流出”を防ぐ一方で、外国馬の積極的な参戦を促す」ということのようだ。
ただ、正直なところ賞金増額だけでは難しいのかなと思うところはある。
大阪杯はドバイワールドカップデーと時期が丸かぶりなのだが、
ドバイシーマクラシックが1着5億円、ドバイターフが1着4億円ほどと、
大阪杯の賞金増額にもかかわらずこちらの方が高額という。
この3つのレースは2000m, 2410m, 1800mと距離が少しずつ違うので、
距離などから適するレースを選んでいるのが実情である。
天皇賞(春)は同時期に香港のクイーンエリザベス2世カップがある。
クイーンエリザベス2世カップも高額賞金で1着3億円ほどある。
こちらも距離が3200mと2000mで、距離にこだわって選ばれることが多い。
天皇賞(春)は数年前は2勝クラスからの格上挑戦もあったことを思えば、
賞金増額に伴いメンバーの充実は進んでると言えるけど、期待するほどかはなんとも。
宝塚記念は来年から時期が早まるので、天皇賞(春)をスキップする流れは強まるかも。これは今さらか。
香港国際競走は典型だが、最近は距離にこだわって転戦する流れが強い。
日本のレース体系はそういう考えに必ずしも適していると言えないところはある。
そういうニーズに適しているからこそ、有力馬が行くんですけどね。
優勝しても不思議はない馬ばかり送り出しているのに未勝利という衝撃はあるが、
今日について言えば勝者がすごいとしか言えないね。