話題になっていたのですが……
京の東の玄関口 山科駅改良について ~特急「はるか」の山科駅延伸により京都市内アクセスがより便利に~ (pdf) (JR西日本)
関空~京都を結ぶ特急はるか号が1駅延長となり山科発着になると。
このためには山科駅の改造工事が必要で、ホーム増設も伴う大がかりなものである。
昔から新幹線などから東西線への乗換には山科駅を使うことが推奨されている。
京都市内発着の乗車券がなければ高く付くことも多いのですが。
京都市としても市内各所が観光客で混み合う中で、
山科・醍醐への観光客の分散を図りたいという話がある。
観光客、とりわけ外国人観光客の足として重要な はるか号を山科に延長することで、
主に東山方面への往来を山科経由にシフトさせ、山科・醍醐への観光客誘導を図りたいと。
ただ、山科駅の改造ってのはけっこう大変な話なんですよね。
そもそも はるか号は朝夕を中心に滋賀県内まで延長運転をしている。
滋賀県内の通勤客が利用することを意図してるんだけど。
滋賀県内までの延長運転を増やすことでも同じ効果は得られる。
とはいえ、1日中、京都~草津を延長運転すると所要編成数も増えてしまう。
京都~山科の延長に留めれば現状と同数ぐらいで対応できるのではと。
この計画には別の目的が隠れているのではと言われている。
それは京都駅の「はるかホーム」こと 30番のりば である。
現状でも滋賀県内発着便はここに入らないが、残りも山科発着になれば全く使わなくなる。
そうなるとこの乗り場はどうなるのだろう? と気になるわけである。
この乗り場をはるか以外で使えるのは嵯峨野線(山陰本線)に限られる。
(実際、1日1本だけ きのさき号 が使っている)
嵯峨野線の利用者は近年伸びている。
観光客の利用が増えていることが大きい。サッカー観戦とかもありそうだが。
その混雑をさらに激化させているのが京都駅の構造だと言われている。
京都駅西側に行き止まり式のホームなので、京都方の車両が混みやすいのである。
ただでさえ4両編成が多く混みやすい上に、その中でもだいぶ偏りがあると。
分散乗車を呼びかけているが、そうはいっても構造上難しいのが実情である。
このような問題にはホームの中間に通路を新設するという方法が考えられる。
過去にそのようなことが試みられたことはある。それが西洞院口である。
2007年に新設された改札で30・31番のりばの先端付近に出入口が作られ、
ビックカメラ店内に設けられた改札口につながる形になっていた。
しかしビックカメラJR京都駅店は2023年に閉店、閉鎖となった。
店の都合で改札口がなくなるとはひどい話だと思うかも知れないけど、
元々あまり効果的ではなかったのである。
直接、京都駅の外に出る人しか使えない上、30・31番はどちらも特急用、
混雑で問題なのは普通・快速だからどうやっても使えない。
そこで気づくのだ。「はるかホーム」が明け渡されれば30・31番を普通・快速で使ってもよいのである。
30・31番のりば の幅は比較的広いので、これだけでも混雑緩和効果がある。
さらにこうなれば西洞院口は日常的な利用には有用になる。
33番のりば自体なくすか、降車用ホーム(34番)を撤去して動かすことで、
幅が狭くて西洞院口への通路を作れなかった(と思われる)、32・33番も先端に通路を作れる可能性がある。
ここまで来れば嵯峨野線の専用改札としては十分役立つものとなる。
この他、京都駅西側に新設が予定されている橋上駅舎との関係を考えても有利である。
京都駅新橋上駅舎・自由通路の整備について~西エリアへの玄関口・動線の一体整備による機能強化~ (pdf) (JR西日本)
日本郵政・JR西日本は京都中央郵便局と隣接ビルをあわせて改築する計画を進めている。
この新ビルにつながる形で橋上駅舎を作り、そこに改札口を新設すると。
この図を見てみると、嵯峨野線と0番のりばへの接続は30番のりばの付け根になっている。
利用者の多い普通・快速の乗り場を30・31番に寄せた方が効果的だし、
この接続点を作るために30番のりばを西にシフトさせる必要があるので、
最大で9両編成になる はるか号 が来ないようにしたかったという事情もあるのかもねと。
というわけで壮大な計画の一歩がはるか号の山科延長のようだ。
ただ、これ自体もけっこう大がかりな工事なんですよね。
嵯峨野線の混雑は待ったなしだけど、山科駅の工事は4年はかかるんだよね。
なかなか即効対策とは言えないのが難しいところである。
余談ですが、少し前まで はるかホーム に由来して改札口があった。
京都駅の秘密の改札口がクリスマスに営業終了 元は空港関連の施設だった (鉄道コム)
地下中央口という30~33番のりばへの通路の途中につながる改札口が2022年まであった。
そう言われると便利そうだが、中央改札の地下あたりにつながっているだけで効果的ではない。
元々はこの地下中央口の前の地下空間には京都CATという飛行機の搭乗手続きができる施設があった。
初代はるか号には京都CATで預かった荷物を運ぶための荷物室が設けられていた。
京都CATで手続きして、人は地下中央口を通って、はるか号に乗るという考えだった。
ところが京都CATは保安体制の強化などもあり廃止されてしまった。
京都CAT跡地は荷物預かり所として活用されているが、特にここに改札口がある必要性はないので廃止されたと。