潜在的なインドネシア人

2026年に北アメリカで行われるサッカーワールドカップ、

この大会から出場枠が48チームとなり、新たに出場権を狙う国も多い。

その1つがインドネシアである。

アジア最終予選では日本と同組ということで試合が行われていた。


そんなインドネシアはオランダから国籍変更した選手が多くいるらしい。

選手の半分が国籍変更 サッカーインドネシア代表が逆手に取る歴史 (朝日新聞デジタル)

なんでオランダなんだろう? と思ったかも知れないが、

インドネシアはかつてオランダ領東インドというオランダの植民地だった。

この時代にオランダと現在のインドネシアを往来した人も多かったようである。

その結果「人口の10人に1人がインドネシアの血縁者だとの説もある」とのことで、

オランダには先祖をたどると現在のインドネシアに至る人がけっこういると。

その中にはサッカー選手もいるわけで、そういう選手を集めているわけである。


国籍の取得条件は国によって異なる。

日本では生まれた時点で両親のいずれかが日本国籍であることが重要である。

親が日本人なので出生時から日本国籍があるケースがほとんどだと思うが……

それにあてはまらず帰化が必要な場合でも、条件が大幅に緩和されている。

これ以外は日本人との血縁は帰化条件という点では役に立たない。

元日本人でも重国籍の解消などで日本国籍を失ってから生まれた子とか、

日本人の孫というのは、日本国籍を取得するという点では他の外国人と変わらない。

在留資格という点では日系2世・3世だと定住者になるので有利だが。


インドネシアでは親が潜在的にインドネシア国籍を取得できる人であれば、

国籍取得の条件が緩和されているっぽい。(詳細は不明)

こういう考えの国は結構多いらしく、イギリスのEU離脱前後で、

潜在的なアイルランド国籍者がアイルランド国籍の取得に走ったなんて話も。

とはいえ、インドネシアの国籍取得のフローには国会の承認など相当な時間がかかるものがある。

しかし、サッカー選手とならばかなりのスピードで承認されるそうである。


もちろん目先のワールドカップ出場枠を得たいという意図もあるのだが、

元々インドネシアではサッカーは人気スポーツらしい。

ワールドカップ出場に現実味が出てきたこともあり強化を推し進めており、

その呼び水としてオランダからの選手招致を進めているということらしい。

ゆくゆくはインドネシア出身者で世界と戦えるようになる必要があるが、

まずはオランダ出身者の力を借りて、ワールドカップを目指そうということである。


というわけでジャカルタで行われた 日本vsインドネシアは4-0で日本の圧勝だったとのこと。

やはりまだまだアジアトップクラスとの実力差は大きいということか。

というか、ここまでインドネシアは0勝2敗3分でグループ最下位、

出場枠が広がってもなかなか容易ではないようだ。


先ほど書いたように日本では親の親が日本人という条件が役立つのは、

外国人として日本に滞在する場合の在留資格である。

日本人の子として生まれた外国人は日本人の配偶者等の在留資格が得られるが、

そのさらに子の在留資格も何らか認める必要があるのは確かである。

そのため日系2世・3世は定住者の在留資格が与えられるが、

これで日本に渡ってきた日系人の在留には課題も多かったようである。


その反省として日系4世の特定活動では 日系四世受入れサポーター というのが必要になった。

この特定活動は「日本文化及び日本国における一般的な生活様式の理解を目的とする活動」という名目になっている。

これに付帯して風俗業以外での就労が認められるという形である。

この日本の生活様式への理解が深まるようにサポートする人は必置であると。

日系2世・3世の定住者は日本への定着という点で課題が多かったようで、

さらに日本との血縁・地縁が1代遠くなる日系4世はなおさらとなったよう。

なお、特定活動での滞在は最長5年だが、日本語能力などの条件を満たせば定住者への移行も可能である。

ただ、サポーター・年齢・日本語能力などの条件が厳しく、適用例はあまり多くないという。


実際のところインドネシアでもサッカー選手でなければこうはいかないのかもしれない。

インドネシアも日本同様に生まれながらの重国籍も一定年齢で解消を求める国だし、

届出や帰化で外国の国籍を取得した場合は国籍を失う規定がある。

いろいろ理屈はあるんでしょうけどね。