来週末、アメリカのデルマー競馬場でブリーダーズカップが行われるが、
日本から19頭が11レースにエントリーしている。
第2希望で登録しているのもあるが、全員第1希望で出走できれば11レースになるんじゃないか。
ブリーダーズカップのG1レースは全部で14レース、ほとんどに日本馬がいるという。
特に今年は2歳戦に4レース6頭も参戦しているのが珍しい。
とはいえ、ほとんどは森秀行厩舎のアメリカ産馬なんですけどね。
でも他の厩舎からも2頭おるから、それだけで珍しい気がするな。
2歳からアメリカ遠征ですかと思うわけだけど、
芝1000mのジュベナイルターフスプリントは日本にはないタイプの2歳チャンピオン決定戦だし、
ジュベナイルフィリーズはダート1700mの牝馬限定戦だけど、これも日本にはないタイプだな。
(そもそもJRA所属馬の2歳馬が出走できるダートの牝馬重賞は1200mのエーデルワイス賞しかない)
ブリーダーズカップ参戦もダートと芝では意味が違うと思う。
ダートというのは事実上の世界チャンピオン決定戦に参戦するということである。
クラシック・スプリント・ディスタフを第1希望とする7頭はまさに世界チャンピオンを目指してのアメリカ入りである。
特にクラシックですよね。
昨年にドバイワールドカップを優勝、国内外でG1級4勝のウシュバテソーロと、
5連勝で今年のケンタッキーダービーに参戦し3着、ジャパンダートクラシックを勝ってアメリカに向かったフォーエバーヤングと。
当地でも注目を浴びているのではないかと思う。
一方で芝については地元馬が手薄という側面はある一方で、
この時期は国内でも大レースがあるなかで遠征するのはなにか意図があると。
ターフに出走するシャフリヤールは2400m前後では国内外で安定して強い。
日本ダービー優勝馬ならジャパンカップ出ろよとは思うけど、
ヨーロッパから強豪が集まるBCターフ優勝となれば、それはそれで名誉である。
BCマイルに出走するテンハッピーローズ、今年のビクトリアマイル優勝馬だが、
これは左回り狙いでのアメリカ遠征でしょうね。
アメリカの競馬場は必ず左回りなのでこういうのはわりとある。
ブリーダーズカップといえば2021年のデルマー開催のときに、
ラヴズオンリーユーがフィリー&メアターフ、マルシュロレーヌがディスタフを優勝したのが記憶に新しい。
ブリーダーズカップ初制覇であり、マルシュロレーヌは日本調教馬による外国のダートG1初制覇でもある。
(オールウェザー時代のドバイワールドカップをダートと数えない場合の話だが)
ブリーダーズカップというと森秀行厩舎がえらい気軽に挑戦する印象が強く、
今年にしても新馬戦勝ってBC行こうとか、メタマックスがOPクラス勝ってBCスプリント行こうとか、
オーナーの理解があるからこそなのだが、ようそれで行くなという感はある。
ただ、それも2021年を境に状況は変わってきているような気がしていて、
特にダートのチャンピオン決定戦に有力馬を送り込めるのは時代が変わったなという気がする。
ところでブリーダーズカップにはJRAによる海外馬券発売の対象レースがあるが、
対象はクラシック・ターフ・マイル・フィリー&メアターフの4レースのみとなっている。
スプリントは対象レースだと思い込んでたが対象外だった。
(ドバイワールドカップデーのドバイゴールデンシャヒーンと混同してたか)
当時、ダートの有力馬を様々なレースに送り込めるとは思ってなかったのかもしれない。
販売対象のレースが増えると売上が分散して不都合とかいう事情もあり、
1日せいぜい4レース程度に留めたい考えもあるのかもしれない。
(香港国際競走やドバイワールドカップデーも対象は最大4レースである)
スプリントとディスタフはかなり重要レースだと思うのだけどね。
あと、もう1つ気になったのがデルマー開催が再度回ってくるの早くね? ということ。
実は来年もデルマー開催で決まっている。
そもそもブリーダーズカップは持ち回り制でアメリカ国内の様々な競馬場で開催される。
ただ、これほどの規模のレースを開催できる競馬場はアメリカ国内でも限られ、
近年はデルマー、キーンランド、サンタアニタパーク、チャーチルダウンズに限られている。
2026年は現在改装中のベルモントパークでやりたいという話もあるが、
実現すれば2006年以来20年ぶりらしい。
日本のJBCの方が持ち回り制らしいよなとは思うけど、
これも3レース(当面は門別固定のJBC2歳優駿を除く)だからなんとかなってるのであり。
今年は佐賀開催、フルゲート12頭なのでJRA枠がかなり狭いのが悩みか。
そんな中でBC遠征で最上位クラスの馬が抜けて、
クラシックについてはチャンピオンズカップとの競合もあり、
なかなかメンバーの充実という点では苦しいところもあるな。
それが地方所属馬にとってのチャンスなのかはわからないけど。
というわけで今年のブリーダーズカップは1日目の2歳戦から注目レースが続くという話だった。
あと、これは日本馬の大挙遠征とは直接は関係ないんだけど……
『ウマ娘』サイゲームスがブリーダーズカップ協会とパートナーシップ締結。世界最高峰の競馬大会で冠レース“Cygames Breeders’ Cup Sprint”開催 (ファミ通.com)
なんと日本の会社がブリーダーズカップスプリントの冠スポンサーになったのである。
ウマ娘 プリティーダービーの英語版リリースに向けて知名度を高めたいという意図があるらしい。
スプリントは昔から日本から有力馬が挑戦してきたレースでもあり、
そういうレースに日本企業がスポンサーというのはおもしろい話だなと。
日本ではこういう形でG1レースに冠スポンサーが付くことはなかなかないからね。
新聞社の寄贈賞として長い歴史のある 朝日杯フューチュリティステークス、
公共放送がスポンサーのNHKマイルカップ、そしてジャパンカップのロンジンぐらいですよね。
G1以外ならいろいろありますけど、それでもデカデカとロゴが掲出されるのはジャパンカップが唯一かも。