銀行での送金手段と言われれば、そりゃ銀行振込だろと思うわけだが、
実はいろいろあって、小切手もその1つではある。
当座預金を持っている人が小切手を発行して、小切手を送付した上で、
受け取った人は小切手を取引先の銀行に預けたり、支払地の銀行に提出して現金化できる。
これも送金手段ですよね。
決済統計年報を見てみると件数が極端に少ない項目がいくつかある。
「送金」「代金取立」である。
「送金」というのは送金小切手を発行する送金方式で、公金のみで使用されていた。
ただ、それも今年に廃止されたようですね。
送金小切手が一般的な小切手と違うのは、遠方の指定された店舗ですぐ現金化できることで、
この目的のため地方税の還付金で使われることがしばしばあったらしい。
(銀行口座を指定して振り込んでもらう方法が第一選択とは思うが)
「代金取立」は手形交換所を介さずに小切手・手形の取立を行った場合に発生する取引で、
元々そんなに多くはないが、それでも2021年度は330万件あった。
ところが、2023年度には2.7万件まで激減している。
理由は2022年に電子交換所の運用が始まり、全国の金融機関の小切手・手形が手形交換所を介して行われるようになったため。
極端に少ないとまで言えないが少ないのが「文書為替・メール振込」で2023年度で271万件である。
銀行振込には電信扱いと文書扱いというのがあり、現在はほぼ電信扱である。
文書扱いは振込用紙自体を送付するもので電信扱いより時間がかかる。
昔は電信扱いの方が早いというので手数料が高い場合もあったのだが、
現在は郵送が発生するという理由で文書扱いの方が高額であることが多い。
(専用の振込用紙を使う場合でも「電信扱」と記載され、振込用紙そのものは送付しない方が一般的なようだ)
ちなみに電子交換所で2023年度に取り扱った小切手は1171万枚、手形1123万枚、その他(配当金領収書など)714万件となっている。
なんやかんやいってけっこう件数あるんだなと思う。
振込(給与振込は別勘定)が16億件とかいうのに比べれば少ないけど。
ただ、これらの仕組みがまだわりと残っている金融機関が1つある。
それがゆうちょ銀行である。
為替や振替払出証書というのは送金小切手そのものである。
ゆうちょ銀行のシステム上の情報と照合して窓口ですぐに現金化できる。
口座振込が使えない場合の還付金の支払手段として振替払出証書を使っているところもあるようだ。
文書扱いの振込だが、これは通常払込みがそうである。
通信欄に記載すると、その内容が受取人に確認出来るのは文書扱いそのもの。
実際には窓口でデータ化されて伝達されているのだが。
これらはゆうちょ銀行の中で閉じる話なので特に問題ないのだろう。
さっきちらっと出てきた配当金領収書も基本的にはゆうちょ銀行扱いだよね。
ゆうちょ銀行の為替・払出証書・配当金領収書を他行に持参して、
それを預けると、手形交換所を介して交換されるそうで、それの件数かな。
事務処理の一元化という点では効果があるかもしれないが、あまり効率はよくない。
郵便局自体は全国にあるわけだから、この方法も封じられる日がくるのかも。
昔は公金の支払いは窓口でしかできないことが多かったけど、
そもそも口座振替が推奨されているとか、払込用紙がPay-easy対応したとか、
コンビニ支払いができるとか、最近はeL-QRでスマートフォンで決済できたり。
ほとんどの送金が電子化されているのが実情ではあるわな。
送金小切手が廃止されたことは初めて知ったが、民間企業や個人はとうに使えなくなっていたサービスで、
銀行口座が確認出来ず住所宛に送金せざるを得ない役所特有のサービスだった。
それももうなくなってしまったわけだが。
銀行によっては送金通知書を送り、換金する手段を提供していることはあるけど。
(国税の還付金を指定した郵便局で受け取れる方法は送金通知書である)
だから実態はそんなに変わってなかったりするんですけどね。