聖蹟桜ヶ丘ってなんだろう

京王線に聖蹟桜ヶ丘駅というのがある。

知っている人には当たり前の多摩市の代表駅……と思っていたのだが、

今の時刻表上の代表駅は京王多摩センター駅らしい。

それはそうとして、なんでこんな駅名なんでしょうね。


駅周辺の町名は関戸で、開業時の駅名も関戸だったという。

それが開業早々に改名されてこの名前になったのは観光客誘致のためだという。

で、聖蹟というのは明治天皇が行幸で訪れた土地で、こういうのは全国各地にあるが、

特にここのことを多摩聖蹟といい、桜ヶ丘公園内に旧多摩聖蹟記念館というのがある。

名前の通り、このあたりは桜の名所でもあるので出かけることに。


というわけで電車に揺られてやってきたのは京王永山駅である。

なぜ永山かという話だが、ここも桜ヶ丘公園の最寄り駅であることと、

ここから聖蹟桜ヶ丘駅へ向かえば全体的に下りで楽じゃないかと思ったから。

多摩ニュータウン内にある駅の1つである。昼前だったので弁当を買って歩いて行くことに。

ここから住宅地の中を歩いて行けば桜ヶ丘公園に向かうことが出来る。

公園西側の町名は聖ヶ丘、これも聖蹟にちなんだ名前である。


公園内に入って「旧多摩聖蹟記念館」の案内に沿って急な階段を上がっていくと、黄色い建物が。

これが旧多摩聖蹟記念館である。中には明治天皇騎馬等身像がある。

なぜ明治天皇はここを訪れたかというと、兎狩りのためである。

30代の頃に4回訪れており、連光寺村御狩場なんて呼ばれていたらしい。

今にしてみれば信じられないことだけど、昔はそんな遊びもあったと。

で、昭和5年にこのことを記念して作られたのが旧多摩聖蹟記念館である。

当初は財団法人の所有だったが、現在は多摩市が管理している。

で、明治天皇も訪れた地というので、当時はハイキングなどで人気のスポットだったらしく、

関戸→聖蹟桜ヶ丘と駅名が改められたのも観光誘致のためだったらしい。


桜ヶ丘公園(東京都管理)と連光寺公園(多摩市管理)は連続してあり、

奥まったところに行くと、鳥の鳴き声がいろいろ聞こえてくる。

今は住宅地に囲まれてしまったが、かつて兎狩りをしていた頃もこんなのだったのかも。

そんなこんなで連光寺公園側から出て、少し公園外の道路を歩いて行く。

その中で道路の向かい側にある柵に「WARNING」と書いてあるので、

何だ? と思って双眼鏡で読んでみると、柵の向こうはアメリカ軍の施設だという。

え? と思って調べてみたら、ゴルフ場だった。どうも福生の横田基地の付帯施設らしい。

確かに公園の駐車場の向かいにゴルフ場の入口があったが、一般的なゴルフ場ではなかったようだ。

元は日本軍の火薬工場で、当初はアメリカ軍も火薬庫として使っていたらしい。

ただ、その後にゴルフ場に転用されたという経緯があるそう。

東京都としては返還を求めているが……道路拡幅のためにごく一部返還されたそうですが。


そうして歩いてたどり着いたのは桜ヶ丘公園の ゆうひの丘 である。

このあたりまで来ると聖蹟桜ヶ丘駅から来た人が増えてくるのだが……

名前の通り、ここら辺からの眺望がよいことが理由なのだが、

それだけではなく、アイドルマスターシャイニーカラーズの舞台の1つであることも理由である。

この作品の舞台となっている283プロダクションは聖蹟桜ヶ丘駅近くにあるとされている。

そんなこともあり作中で描かれている背景はだいたいその周辺にあるという。

で、ちょうど昨日からTVアニメの放送もスタートしたこともあり、訪れる人が多くなっていたようだ。

このあたりは都市的な景色と公園の桜が共に楽しめるところである。


そこから住宅地の中を通って坂を下っていき、多摩川沿いへ向かう。

聖蹟桜ヶ丘駅近くの多摩川河川敷は せいせきカワマチ として多摩市が占用して、

レクリエーション目的で利用できるようにしている。

キッチンカーの駐車スペースがあり、許可を受けて利用できるらしく、ビールを売ってる人がいた。

こんなところで酒? という気もするが、聖蹟桜ヶ丘駅から近いんですよね。

だから電車で来て河川敷でのレジャーを楽しむ人も多いようである。


ということは聖蹟桜ヶ丘駅のすぐ近くまで来てたってことだ。

そこら辺にある町名表示は「関戸1丁目」と確かに関戸である。

「聖蹟」とか「桜ヶ丘」とか付いた建物が多いのが実情なんだけど、

本来の聖蹟は連光寺地区だし、桜ヶ丘は町名としては駅の南側である。

それも聖蹟桜ヶ丘駅の駅名にちなんだもので、そのルーツも桜ヶ丘公園のある連光寺地区である。

当初、聖蹟桜ヶ丘という駅名にしたときは観光開発を重視していたが、

後に住宅地の玄関口としての性格が強まるが、その筆頭が桜ヶ丘住宅地だったという。


「せいせき」という看板が付いているのは、京王聖蹟桜ヶ丘ショッピングセンターのこと。

このあたりは京王の施設がいろいろあるのだが、実は京王電鉄の本社もある。

こういう本社って都心のターミナル駅近くにありそうなもので、

確かに1988年までは京王の本社は新宿三丁目にあったという。ってあれ?

京王の新宿駅とは離れているが、戦時中に短縮されるまでは新宿三丁目まで路面電車として走っていた名残である。

あまり納得感のない本社だったのか、鉄道・バス・不動産・商業施設と京王グループで埋めたここに本社を持って来たようだ。


やたらと人が多いが「せいせき桜まつり」というイベントをやっていたため。

それにちなんで、せいせきA館にシャイニーカラーズの舞台となった風景が、

写真とイラストの対応が取れるように展示されていたり、キャラクタのパネルが設置されていたり。

人が多いのは主には地元の人や、桜を観に来た人たちなんだろうけど、

作品の舞台となった土地を見てみたかった人も一定いたんだろう。


そんなこんなで帰宅。いい散歩になった。

ちなみに今日こうして出かけることにした動機としては、

職場の食堂で使っているSuica残高がこのままだと尽きてしまうが、

東京は来週出かける用事があるからあえて行くことはないし、

別方面でなんかいい行き先はないかというので思いついたのがここだったって話。

Suicaオートチャージをするには電車に乗るしかないから。

まぁSuicaチャージだけならモバイルSuicaを使えばいいんだけどさ。