佐渡から羽田には行けない

先日、新潟を拠点とする新しい航空会社、トキエアが新潟~札幌(丘珠)線で運航開始した。

元々昨年6月に運航開始予定だったが、いろいろ手間取って半年遅れ。

その背景には既存航空会社との関係が薄いということがありそうだ。

このような航空会社の新規参入はフジドリームエアラインズ(2009年運航開始)以来か。


トキエアが導入した航空機はATR72、72人乗りのプロペラ機である。

日本で離島路線を中心に多く使われるようになったATR42の大型版で、

すでに日本エアコミューターがATR42と併用して使っている。

ATR機は鹿児島空港が日本における整備・訓練の拠点となっているところである。

比較的短い滑走路で運用できるため、丘珠空港を通年で使えるんですね。(cf. 丘珠空港に足りないもの)


トキエアは佐渡空港への就航を考えていると言われている。

てっきりATR72で佐渡に行くのだと思っていたがそうもいかないようだ。

というのも佐渡空港の滑走路は890mしかない。

この滑走路の短さも相まって、現在は定期便の設定がない。

この長さの滑走路だとATR72は難しいため、ATR42を導入するとのこと。

実はATR42にとっても890mという滑走路は少し短い。

このため座席数を減らす必要があるのが実情のようだ。

ATR42-600SというSTOL性能強化版ならば満員でも対応できるが、こちらは来年以降納入となっている。

いずれにせよATR72では佐渡に乗り入れることはできない。


佐渡発着の路線としては新潟と成田を考えているという。

なんで国内線なのに羽田空港ではなく、成田空港なんだ?

これには明確な理由があって、羽田空港には60席以下の飛行機は原則乗り入れができないという。

もちろん60席以上でも発着枠の調整が必要なので容易ではないのだが、

それ以前の問題なので、羽田空港以外で東京に近い空港ということで、選ばれたのが成田空港だったと見られる。


このような問題はすでに東京都内の離島路線でもあったことである。

調布飛行場の存在意義

調布飛行場は東京都港湾局が管理する空港で、名目上は離島のための空港である。

実際は同飛行場が国管理だった時代からいる自家用機の拠点でもあるが。

自家用機の事故もあり周辺地域からはよく思われていない飛行場だし、

羽田空港と比較すると交通アクセスの面でもかなり悪いのが実情である。

にもかかわらず、大島・三宅島・新島・神津島の路線が発着するのは、

羽田空港の乗り入れ規制のためだと言われている。

じゃあ佐渡便も調布にすれば……それは地元の理解が得られないでしょ。


もしもATR72ならば、60席超という条件は満たすことが出来る。

実際、同程度のジェット機、E170はJAL(J-AIR)便で乗り入れていたことがある。

(現在はクラスJのあるE190に代替されているが)

発着枠の調整は必要であるが、離島路線ということで特別枠もあるかもしれない。

一応、佐渡空港には2000m滑走路を作る計画があり、

これが実現すればジェット機の乗り入れも可能となる。ATR72も当然OK。


羽田空港の忙しさはわかるけど、それで離島空港の活用が難しくなってるのは残念ですね。

これが西日本だと伊丹空港にATR42も乗り入れていますからね。

なお、トキエアは新潟~神戸線を今後運航する予定、これはATR72でしょうが。

発着枠の都合か神戸になったが、神戸もそれはそれで悪くない。

将来的に佐渡~神戸とかもあるのかな。計画には書いてないけど。


でも、佐渡~成田でも今までになかった画期的な路線ではあるので、

成田空港へのアクセスを考えても、新幹線+高速船に比べてだいぶ早いでしょう。

成田空港もそれはそれで忙しい空港ではあるのだが、

羽田空港に比べれば柔軟性は高く、主にLCCの受け皿として機能してきた。

離島路線までそういう選択を強いられるのはどうかと思うけど、選択肢があって助かったことは事実である。

この路線の成否によって佐渡空港の今後は大きく変わると思うので期待している。