自転車なら万博に直行できる?

来年の大阪・夢洲での国際博覧会、

一般客で夢洲に直接乗り入れられるのは自転車と電動キックボードだけだそう。

自転車でご来場の方へ (EXPO 2025 交通インフォメーション)

「夢洲自転車駐車場 600台 利用料金 500円」ってやつがそう。

500円もかかるのかと思うけど、唯一会場まで乗り入れるというのは特徴的である。


このページには特に電動キックボードと書かれていないが、

この先にある駐車場予約ページに詳しいことが書かれている。

四輪は夢洲・尼崎(尼崎東海岸出入口近く)・堺(三宝出入口近く)の3箇所、

自動二輪・原付は夢洲に駐車して、そこからバスとなっている。

四輪の駐車料金は5000~5500円、二輪の駐車料金は2000円が基本で、

これに対して日・時間帯・阪神高速の利用状況により加減がある。

バスは駐車料金に含まれているが、会場に直接乗り付けられない割には高いなと思う。


これに対して「自転車・電動キックボード」は夢洲に直接乗り入れられて、料金500円である。

「夢洲自転車駐車場を利用できる電動キックボードは、特例特定小型原動機付自転車に限ります。」とあり、

一般原付・原付二種に該当する電動キックボードは利用できないことはわかる。

キックボード形でない特定原付が利用可能なのかはよくわからない。

あと「特例特定小型原動機付自転車」って書いてあるけど、これって歩道モードって意味だよね。

なんでわざわざこんな書き方をしているのかはさっぱりわからない。


とはいえ、自転車・特定原付での来場は大変である。

夢洲は夢舞大橋で舞洲と、夢咲トンネルで咲洲と結ばれているが、

夢咲トンネルは自動車専用道路だから、夢舞大橋も現状は自転車・歩行者での通行は想定していない。

ただ、夢舞大橋には歩道があり、開会までには開放されるとみられる。

本線は軽車両通行止めの規制がかけられ、自転車・特定原付は歩道の押し歩きになる。

これは想定の範囲ではあるのだけど、さらに問題なのは舞洲への渡り方で、

普通に考えれば桜島方面につながる此花大橋を使うのだが、拡幅工事のため歩道がつぶされている。

このため自転車が利用できるのは常吉大橋に限られる。こちらも車道は軽車両通行止めだが。

こちらは歩道部は自転車通行可のようで「歩道斜路部押し歩き」となっている。

此花大橋を使えれば天保山渡しで港区方面に渡れたり、選択肢も増えるのだが、

常吉大橋を使うとなれば、伝法あたりまで此花通をひた走るしかない。


他の交通手段に対して優位性があることは確かだが、そうはいってもねという感じはある。

万博へのアクセス手段として自転車という話が言われているのは、

主要なアクセス手段である地下鉄中央線と桜島駅からのバス、

どちらも輸送力的に苦しいという事情がある。

中央線は会場まで直接鉄道で乗り付けられるので最も輸送力が多いが、

こればかりに集中するとひどい混雑になるのは目に見えている。

このため、桜島駅ルートへの分散も必要で、新大阪~桜島の直通列車の設定で、

新幹線での来場者を中心に利用してもらう想定はあると思う。

ただ、こちらはバス乗務員の確保に苦心しており、想定ほどの本数は出せないようである。

他のバスに比べると距離が短いので、増発するならここなのだが、それすら厳しいと。


少しでも鉄道・バスの輸送力を補えるなら、自転車・電動キックボードでの来場も……

ということらしいのだが、果たしてどれぐらいの効果があるのか。

かなりタフではあるのだが、上記のような交通機関の混乱も予想されるところである。

来場日時・時間帯を決めて事前予約することで、ある程度分散できることは期待しているが、

そうはいってもルートによって偏りはあるでしょうからね。

そういうところであまり考えなくてもよい自転車というのも一考に値するのかもしれない。

もちろん駐車場の予約は必要なので、自転車もそれはそれで考えることはあるが。

memset関数の意味

Cの標準ライブラリ関数にmemsetというのがある。

というのを最近まで知らなかったんだけど。

移植作業をしているプログラムではわりと見るので知ったんだけど。


memset((void*)&foo, 0x00, sizeof(foo));

構造体を全部0x00で埋めて初期化するというのでこんな書き方がある。

こういう書き方をすることは知らなかったけど、なるほどなと。


配列を0埋めするという使い方が多いのかと思ったのだが、

構造体に対して適用されている例が多い印象はあった。

ちょっと変な使い方としてはこんなものあって……

memset((void*)&foo.reserved2, 0xFF, 6);

構造体のメンバーreserved2を含む6byteを0xFFで埋めるという内容。

6byteを埋めるならmemsetを呼び出す理由もわからなくはないが、

ところによっては1byteとか2byte埋めるだけにmemsetが使われているところも。

それはもはや foo.reserved3=0xFFFF; と書いた方がよいのでは?

他のmemsetと表記を合わせたかったのだろうか。


memset関数というのは内部的には2byte, 4byteアクセスなどに変換しているとみられる。

シンプルに言えばmemsetというのはこういう処理ではある。

unsigned char* p=s;
for(size_t i=0; i<n; i++){ p[i]=c; }

ただ、1byteずつポロポロと書き込みを行うのは効率が悪いので、

上記でpが4バイトアライメントされていて、かつnが4の倍数とすれば、

unsigned int cx4 = (c<<24)|(c<<16)|(c<<8)|c;
for(size_t i=0; i<n; i+=4){ *((unsigned int*)(p+i))=cx4; }

のような効率化が可能ということになる。

そういうのを内部的に判断してやっているという点で価値があるのかもしれない。


実は移植作業の中でmemsetは数を減らしていく方向ではある。

というのもバイトオーダーの差などで従来通り適用できないケースがあるため、

少量であればバラして表記する方が確実性が高いという判断である。

初期化サイズが大きいところでは従来通り使うとは思うが、

サイズが小さい場合はあえてmemsetを使うメリットも少なくて、

冒頭に書いた例にしてもfooの構造体メンバーが3つならば、

foo.a=0; foo.b=0; foo.c=0;

で特に問題ないという理屈である。

パディング部分も含めて初期化することを狙っているケースもあるが、

そういうのもよく検討すれば問題にならないのではないか。

海外G1で賞金を稼いでも勝てない

ふと気になって日本調教馬が今年1年、外国のG1で稼いだ賞金を計算した。

そしたらおよそ30億円と出てきて、すごい金額だなと。

しかし、2018年以来の海外G1未勝利である。なんだそれは。


確かに今年は悔しいレースが多かった。

2着・3着と日本式に言えば馬券に絡んだ馬も多かった。

その中でもJRAでの馬券発売対象レースも多かったわけだけど、

アイリッシュチャンピオンステークスでシンエンペラーが3着になったのは、

ヨーロッパの馬券発売対象レースでは史上初めてのことだそう。


高額賞金レースで上位に入れば賞金は相当な額であり、

サウジカップとドバイワールドカップでともに2着になったウシュバテソーロは計8.3億円を獲得している。

賞金的にはとんでもない金額だが、あまりに悔しい結果である。

それゆえか来年はこの2レース走ってから引退の意向だそう。

3月まで走って同年種牡馬入りというのはかなり珍しいことである。


日本の活躍馬が上位に入ることで国際競走としての価値が高まっているのは確かで、

その最たるものが香港競馬じゃないかなと思う。

春のクイーンエリザベス2世カップ、今日の香港カップ、

ともに優勝は地元の大将、ロマンチックウォリアーだが、2着・3着に迫ったのはどちらも日本馬である。

サウジカップデーとドバイワールドカップデーもそうですよね。


日本の国際競走の価値を高めているのも、実態としては外国に遠征する日本馬である。

今年のジャパンカップの2着はヨーロッパ遠征帰りのシンエンペラーとドゥレッツァ(同着)だし、

BCクラシック→東京大賞典の転戦ももはやおなじみになってきた感はある。

こういう行き来により、専ら国内を走っていても評価が付くようになってきている。


勝てなかったのは悔しいけど、たたえるべきは勝者でしょう。

ドバイシーマクラシックを勝ったレベルスロマンス、その後G1 3勝、

その1つはBCターフ、これも2・3着は日本馬じゃないか。

KYダービー3着、BCクラシック3着のシンエンペラーに対して、

KYダービー2着、BCクラシック1着のシエラレオーネこそすごいわけだし。

今日の香港国際競走では、ロマンチックウォリアーもそうだけど、

香港スプリントでカーインライジングという新チャンピオンを見届けたわけである。


来年もサウジカップデーを皮切りに日本馬の遠征は続くとみられる。

一方でJRAとしては国内のG1レースのメンバー充実を図りたいと言っている。

JRAが来年度G1の4競走で1着本賞金を3億円に増額 宝塚記念、天皇賞・春と秋、大阪杯 8000万円~1億円の大幅アップ (UMATOKU)

大阪杯・天皇賞(春)・宝塚記念・天皇賞(秋)の1着賞金を3億円に増額する。

さらに春三冠・秋三冠ボーナスも増額になり、

春三冠・秋三冠の6レースを通じて3勝してもボーナスが得られるように。

その意図としては「国内の一流馬の“流出”を防ぐ一方で、外国馬の積極的な参戦を促す」ということのようだ。


ただ、正直なところ賞金増額だけでは難しいのかなと思うところはある。

大阪杯はドバイワールドカップデーと時期が丸かぶりなのだが、

ドバイシーマクラシックが1着5億円、ドバイターフが1着4億円ほどと、

大阪杯の賞金増額にもかかわらずこちらの方が高額という。

この3つのレースは2000m, 2410m, 1800mと距離が少しずつ違うので、

距離などから適するレースを選んでいるのが実情である。

天皇賞(春)は同時期に香港のクイーンエリザベス2世カップがある。

クイーンエリザベス2世カップも高額賞金で1着3億円ほどある。

こちらも距離が3200mと2000mで、距離にこだわって選ばれることが多い。

天皇賞(春)は数年前は2勝クラスからの格上挑戦もあったことを思えば、

賞金増額に伴いメンバーの充実は進んでると言えるけど、期待するほどかはなんとも。

宝塚記念は来年から時期が早まるので、天皇賞(春)をスキップする流れは強まるかも。これは今さらか。


香港国際競走は典型だが、最近は距離にこだわって転戦する流れが強い。

日本のレース体系はそういう考えに必ずしも適していると言えないところはある。

そういうニーズに適しているからこそ、有力馬が行くんですけどね。

優勝しても不思議はない馬ばかり送り出しているのに未勝利という衝撃はあるが、

今日について言えば勝者がすごいとしか言えないね。

R-18タブの臨時メンテナンスの先

少し前にBOOK☆WALKERで「R-18タブ内の臨時メンテナンス」というので、

R-18区分の電子書籍が買えない期間が1週間ほどあった。

詳細な説明がないまま1週間も買えない本があるというのは異常事態だが……

メンテナンス明け後は「カートに入れる」ボタンが消え、「コインで購入」ボタンだけになっていた。なんだこれ?


この時点で詳細な説明はなかったのだが、意図としてはクレジットカード決済を封じたかったらしい。

【2024年11月15日に実施した変更内容】
■対象作品
R18作品
■購入方法について
カート、および予約のご利用がいただけません。
コインでの単品ごとの購入となっております。(略)

【2024年12月中旬以降(「14周年コイン大還元祭」終了後)の変更予定】
■対象作品
R18作品および、アダルト表現等の要素を含む一部作品
■購入方法について
以前のようにカートがご利用いただけます。ただし上記の対象作品がカートに含まれる場合、クレジットカードでのお支払いは出来ません。他のお支払方法をご利用ください。
また、以前のように予約も可能となります。ただし上記の対象作品につきましてはコイン決済モードのみでの予約となります。

突貫工事でクレジットカード決済を封じるためにコイン購入専用にしたが、

それに伴ってカートに入れてから決済する方法が使えなくなり、

クレジットカード以外の決済手段まで封じられてしまったが、それは意図と違うということらしい。


ただ、BOOK☆WALKERのコインというのはクレジットカードでの購入が可能である。

というかメインの購入方法はクレジットカードでは?

ということはコインでの購入のみに制限しても、実態としてはクレジットカードでの購入が可能である。

購入時の明細にR-18区分の商品が載らなければよいという理屈か。

あと、BOOK☆WALKERの決済手段としてはPayPal, Amazon Pay, d払いなど間接的にクレジットカードが利用できるものも多い。

そう考えると果たして実質的な意味は? となるけどどうなんでしょう。


BOOK☆WALKERにとってR-18商品というのはさほど重要ではないとみられる。

KADOKAWA自身はそういう本はほとんど出していないわけだし。

ただ、取引先の出版社にはそういう本を出しているところはある。

そういう取引先のことを思えば安易にR-18商品を撤去するわけにもいかず、

なんとか上記のような段階的な対応で乗りきろうとしているということか。


よりR-18商品の割合の多いストアはそうもいかないわけで、

FANZAではクレジットカードはJCBとDinersのみの取扱になっている。

FANZAブックス・同人以外ではVISAも利用できるらしい。

(このためVISAでDMMポイントの購入をしてFANZAブックスの購入は可能)

一方でMastercardはFANZAのみならずDMM.comも取扱停止になっている。

DLsiteもクレジットカードはJCBのみの取扱となっている。

こうなるとポイント購入のような迂回手段もとりにくい。


正直なところよくわからないところはある。

てっきり実写もののほうが厳しいかと思ったのだが、FANZAを見る限りそうじゃないんだよな。

確かにBOOK☆WALKERでR-18と言えば多くは漫画だろう。

一部グラビアもあるかもしれないが、割合として多いものではないだろう。

一体どういうポリシーなのかよくわかりませんが。


日本の法令ということで言えば「性行為映像制作物」いわゆるアダルトビデオについての規制である。

これ自体は違法でもないが、制作にあたり様々な制約が付くことになった。

また、「性的影像記録」の提供についても罰則規定が出来た。

主に盗撮を想定したものだが、「特定の者以外の者が閲覧しないとの誤信させ」撮影したものも含まれる。

あと、これは今さらではあるが「児童ポルノ」は提供行為などが禁止されている。

それぞれ法律を見てみると定義としては似ている面もけっこうある。

これらの規定が設けられたのは、これらのコンテンツが流通することが性被害の温床となっていたということだろう。

性行為映像制作物は全面禁止ではないが、状況の改善がみられないと全面禁止もあり得る話なのだろう。

いずれにせよ実写もののアダルトコンテンツの取扱は注意が必要である。


日本の法令のことを言えば「わいせつ物」という提供が一切禁止されるものもあるんですけどね。

これの解釈によっては上のような問題も吹き飛ぶぐらい範囲が広い。

漫画や小説すら対象になりうるが、実際には慣例上わいせつ物とみなさないラインがある。

このためそんなに問題になっていないということらしい。


BOOK☆WALKERにとってみれば重要度が低いところではあるが、

それだけに一般的な漫画や小説への影響はなんとても避けなければならないのはある。

コインを介して実質クレジットカード決済できるじゃないかなんて言われてはいけないと。

総合電子書籍ストアとしての意義はなんとか保てたかなという感じかね。

のぞみ号に自由席が必要な理由

昨日、最後にちらっと のぞみ号 の話を書いて思いだしたのだが、

来年春からのぞみ号の自由席が3両→2両に減ることになった。

その分、指定席が増えて指定席を取りやすくなるということである。


のぞみ号と自由席としては最繁忙期の全席指定化が思い起こされる。

全席指定だが自由席特急券で立席可

自由席待ちの人でホームが混雑するなどの問題があり、全席指定化に踏み切ったと。

ひかり号・こだま号はこれまで通り自由席を設定し、

のぞみ号に立席で乗車する場合は自由席特急券を利用するということになった。

このときは6歳以下の幼児を含むグループでの利用がだいぶ高くなるということを紹介している。


自由席縮小の先に待っているのは自由席全廃ではないかという話なのだが、

そうなると困ると言っていたのが近距離での新幹線利用である。

特に 東京・品川~新横浜 と 博多~小倉 である。

在来線では移動が不便な新横浜、あるいは往来が盛んな福岡・北九州間の移動に活用されている。

これらの駅はのぞみ号全停車ということで、のぞみ号が東海道・山陽新幹線の多くを占めることからすれば、

これらの駅間を移動するのに使われている列車の多くはのぞみ号である。

その のぞみ号 から自由席がなくなるということは、本数激減に等しいという話である。


近距離でも指定席を取ればよいのでは? と思った人もいるかもしれない。

確かに在来線特急では近距離でも指定席利用が基本になりつつある。

ただ、この区間はそうもいかない事情があって、それが特定特急券である。

新幹線では隣接駅間の自由席利用に特別に安い料金を設定している。

東京~新横浜は指定席だと2500円(ひかり・こだまは2290円)に対し、自由席(特定)は870円、

博多~小倉は指定席だと2610円(ひかり・さくら・こだまは2290円)に対し、自由席(特定)は990円となる。

のぞみ号だと2.6倍以上の差が付くんですよね。そりゃ使えんわ。


この2区間はわりとすぐ思いつく話なのだが、実はそれだけではないと。

それが山陽新幹線で行われている のぞみ号の選択停車である。

隣接駅の特定料金の対象になる区間はほとんどないのだが、

姫路~岡山、岡山~福山、広島~徳山、新山口~小倉、

といったところはのぞみ号指定席だと2610円、自由席は1760円となる。

2倍以上の差ではないのだが、1.5倍近い差がある。

時間帯や区間によるが、のぞみ号を逃すと1時間に1本のこだま号となる区間も多い。


実際のところ、全席指定化には踏み切らないのではないかと思う。

最繁忙期ののぞみ号も全席指定といいつつ、自由席特急券での立席乗車は認めている。

最繁忙期にはどうせ座れないのだということで正当化できている。

それ以外の時期はなかなかそういう説明はできないだろう。

なので自由席減でしばらくは様子見をしたいということではないか。


一方で長距離利用の指定席ニーズが高まっていることは事実。

これはチケットレス化で従来より指定席の予約が容易になっていることがある。

歴史をたどれば のぞみ号は新設当初は全席指定だったのだが、

本数が大幅に増えて、列車を指定して乗るのは難しいだろうと自由席が設定された経緯がある。

それが本数が多くても、サクッと指定席を取ってしまうのが普通になったわけである。

(近鉄特急は昔からそうだったので、特に違和感はないけど)


全席指定化には踏み切らないのではないかとみているところだが、

もし東海道新幹線の主要な区間で全席指定化をするとしても、

少なくとも 東京~新横浜、小倉~博多だけの自由席車を設定する必要はあるだろう。

新横浜→東京、小倉→博多については次は終点なので、

自由席特急券でも普通車指定席の空席を利用できるという指示をするだけでよく、

逆方向についてもシステム上で指定席を押さえておいて「小倉までは○号車の空席に着席できます」と指示する方法でもよい。

あるいは山陽新幹線は指定席を埋めきるほどは乗らないだろうと、

山陽新幹線区間には自由席車を設定するなんて方法は考えられる。


在来線特急は自由席だと検札省略できない問題があったけど、

新幹線は駅に新幹線特急券を確認する改札があるから別に問題ないんですよね。

で、こだま号などの各停タイプの新幹線はローカルな利用が多いのも確かで、

元々かなり自由席の割合が多くなっていたのはある。

最近は旅行商品・割引商品で指定席を埋めることが増えているのと、

乗換のこだま号区間でも指定席を取ることが増えているので、こだま号の指定席も増える流れはある。

ただ、特定料金のこともあるので、こちらは激増とはならないと思うが。

千鳥停車の使い道

「千鳥停車」というのが話題になっていた。

来年2月からの阪急神戸線のことらしい。


千鳥停車も明確な定義があるわけではないが……

一般的には複数の種別の列車が運行される場合、

上位の種別が停車する駅は、それより下位の種別も停車することが一般的である。

ところが、種別Aが停車してBが通過する駅、Bが停車してAが通過する駅がともに存在するケースがある。

このような場合、種別Aと種別B、どちらか上位か判然としないわけである。

とはいえ、こういうのは時間帯により使い分けるためであることも多い。

休日・昼間は乗換客の多い駅に停車し、ラッシュ時は通勤客の多い駅に停車する一方で乗換駅を通過するなど。

阪急電車だと京都線の特急と通勤特急がこの関係である。


ただ、路線によっては上記のような関係にある種別を同時に走らせることがある。

このような運行形態を千鳥停車と呼ぶのが一般的である。

千鳥のように種別Aと種別Bで交互に客を拾っていくからだろう。

千鳥停車といえば阪神電車と言われることがある。

確かに阪神電車は終日に渡って千鳥停車が行われている。

特急(直通特急)と快速急行の関係がそうなんですよね。(以下は平日朝以外の停車駅)

  • 特急・直通特急: 梅田・尼崎・甲子園・西宮・芦屋・魚崎・御影・三宮……
  • 快速急行: …… 尼崎・武庫川・甲子園・今津・西宮・魚崎・三宮

これだけ見るとどっちが格上なのかさっぱりわからないけど。

これにはやむを得ない理由があって、芦屋・御影には近鉄の8両編成が停車できないのである。

阪神電車に8両編成がやってくる

平日朝以外の尼崎~西宮では急行の停車駅と同じなので、基本的には急行と同格である。


どちらかというと阪神の千鳥停車としては「区間特急」がよく知られている。

朝ラッシュ時の梅田行きのみの運転だが、端的に言えば変な種別である。

  • 直通特急: ……三宮・御影・魚崎・芦屋・西宮・尼崎・梅田
  • 快速急行: 三宮・魚崎・芦屋・西宮甲子園・尼崎……
  • 区間特急: 御影・魚崎~芦屋~香櫨園の各駅・今津・甲子園・尼崎・野田・梅田

区間特急は魚崎~甲子園で通過するのはわずか2駅でほぼ各停なのだが、

その通過する1駅が特急・快速急行停車駅の中で強調した西宮駅なのである。

西宮駅の利用者は特急が利用できるので区間特急はあえて通過している。

一方でこの時間帯の特急は甲子園を通過する。区間特急はその穴埋めの役割を担っている。

西宮と甲子園で相補的な停車駅になっているわけである。


阪神と並んで千鳥停車で有名なのが西武池袋線らしい。

昼間は快速急行・急行・快速・準急・各停とこれらは整然と順序が決まる。

ところが朝ラッシュ時になると通勤準急と通勤急行という変則的な停車駅の種別が入り、

  • 石神井公園は通勤準急は通過、それ以外の一般列車は停車
  • 大泉学園・保谷は快速・急行は通過、通勤急行・通勤準急・準急は停車
  • ひばりヶ丘は通勤急行は通過、それ以外の一般列車は停車

この4駅は利用者の多い駅が団子になっているので、分散を図ったとみられる。

ただ、地下鉄直通は他の時間帯同様の種別であるなど、どれぐらい効果的なのかという疑問はある。

阪神ほどわかりやすいものではないってことだ。


阪急神戸線で千鳥停車と言われたのは、区間急行あらため快速が塚口通過になることを指している。

2025年2月22日(土)初発より阪急神戸線・宝塚線でダイヤ改正を実施します (阪急電鉄)

そもそも朝に10両編成で走っている通勤特急を8両化することが起点となっている。

8両編成になると新開地発着にできるので、神鉄・山陽からの乗換に便利と。

しかし、単純に減車すると西宮北口~梅田の混雑が大変になってしまう。

そこで朝ラッシュ時は通勤急行あらため快速は通勤特急に抜かれないようにする。

こうすることで快速と通勤特急で分散を図ることができると。

このために通勤特急・準急(今津線直通)が停車する塚口を通過することにしたと。

そもそも通勤急行は急行に利用者の多い武庫之荘を追加したものである。

両方停車するのではなく、塚口と武庫之荘のどちらかに停車するようにしたと。

夕方については特急を準特急という新種別に改め、塚口・六甲停車にする。

塚口と武庫之荘を準特急と快速で分担するという形になる。


千鳥停車は列車の混雑を分散させるという意味もあるが、

列車の停車駅の数を揃えて、追い越しを発生しにくくするという効果もある。

阪神の朝ラッシュ時の特急・快速急行・区間特急は芦屋~尼崎の途中停車駅が1駅・2駅・4駅と差が少ない。

阪急の 通勤特急・準特急・快速も西宮北口~十三で1駅停車という点では共通する。

こうなると追い越ししなくてもよくなるので混雑が分散できると。


わかりにくいのは難点なので、時間帯を絞っての実施になっていることが多いが、

よく考えて見れば時刻表を見て乗るような特急ではわりと一般的ですよね。

山陽新幹線の のぞみ号は姫路・福山・徳山・新山口から1~2駅選んで停車する。

これにより特定の列車が遅いとなることを防ぎながら、東京・名古屋まで直通で利用できるようにしている。

こういうのは選択停車って言われることが多いけど、考え方は同じだな。

講師って聞かなくなったな

大学の教員の区分として「講師」というのがある。

これの英語表記として”Junior Associate Professor”を使っている大学があるが、

あまり一般的な表記ではないのでは? という疑問を言っている人がいた。


そもそも、講師ってのが最近はあまり聞かないような……

常勤教員の階級としては 教授・准教授・助教で収まっているケースも多いようである。

このようなことになった背景としては2007年に助教という区分ができたことがある。


学校教育法の定義を見てみると、

  • 教授は、専攻分野について、教育上、研究上又は実務上の特に優れた知識、能力及び実績を有する者であつて、学生を教授し、その研究を指導し、又は研究に従事する。
  • 准教授は、専攻分野について、教育上、研究上又は実務上の優れた知識、能力及び実績を有する者であつて、学生を教授し、その研究を指導し、又は研究に従事する。
  • 助教は、専攻分野について、教育上、研究上又は実務上の知識及び能力を有する者であつて、学生を教授し、その研究を指導し、又は研究に従事する。
  • 助手は、その所属する組織における教育研究の円滑な実施に必要な業務に従事する。
  • 講師は、教授又は准教授に準ずる職務に従事する。

2007年以前は、教授・助教授・助手・講師の4つが定義されていた。

助教授の定義は「助教授は、教授の職務を助ける」だった。

これを上記の定義に改めたわけだが、見てわかる通り 教授・准教授・助教 の定義はほぼ同じである。(下線部分が共通の文言)

さらに言えば、講師は「教授又は准教授に準ずる」なのでこれも同じ。

明確に違うのは「学生を教授し、その研究を指導し」という文言のない助手のみである。

2007年以前は実態としてこのような役割を持つ助手もいたのだが、

助教という役職が定義され、そちらに移行したという経緯がある。


すなわち、2007年以前は助手という階級があんまりだったので、

助教授に準じて教育・研究に従事する人に講師という階級を与える必要があったが、

2007年以降は准教授に準じて教育・研究に従事する人は助教でよいとなったと。

教授・准教授・助教という区分はアメリカの大学を参考にしたようで、英語表記もそれにならって、

教授はProfessor、准教授はAssociate Professor、助教はAssistant Professorとなる。


学校教育法の文言としては教授・准教授・助教・講師の定義はあまり差がないが、

大学設置基準ではそれぞれの職位に求められる資格があり、ここには差がある。

多くの場合は学位が重要だが、それぞれこのように定義されている。

  • 教授: 博士の学位をを有し、研究上の業績を有する者
  • 准教授: 修士の学位または専門職学位を有するもの
  • 助教: 修士の学位、6年制の学士の学位、専門職学位を有するもの
  • 講師: 教授または准教授になることができる者

教授は博士の学位が基本的に必須だが、それ以外は修士でもよいと。

なお、教授の条件を満たしていれば准教授以下の条件も満たす。

今どきは助教で採用される人もほぼ博士の学位持ってますけどね。


准教授と助教はあまり差はないが、助教は医学・歯学・獣医学・臨床薬学の6年制の学士でも許容という点では異なる。

これらの専攻分野では修士というのが存在せず、大学院は博士のみである。

ゆえにこれらの専攻分野にとっては准教授・講師も基本的に博士の学位が必要となる。

もっとも助教としての経歴があれば、准教授・講師への任用は可能である。


高専については講師の資格として「教授または准教授になることができる者」の他に、

高等学校(中等教育学校の後期課程を含む。)において教諭の経歴のある者で、かつ、高等専門学校における教育を担当するにふさわしい教育上の能力を有すると認められる者

というのが書かれている。高校の教諭の経歴があれば講師に任用できると。

これは高校年代の学生が在籍する高専に特有の規定かもしれない。

高校の教諭には専修免許状か一種免許状が必要で、それぞれ修士・学士の学位が必要である。

ということは修士の学位を持たない高校教諭は高専では教授・准教授・助教のいずれも満たさない可能性がある。

しかし、この規定があることで講師にはなることができる。

一般教科ではこれで講師に任用されている人がいるかもしれない。


冒頭の話に戻ると、講師というのは常勤教員としてはもはや一般的ではないが、

准教授に準ずる階級として存在することは問題ない。

教授・准教授・助教はアメリカの大学を参考に決めたので英語表記は堅いのだが、

講師の英語表記ってどうするのよ? という問題はけっこうあったらしい。

従来はLecturerという表記をする大学も多かったようである。

ただ、これでは准教授に準じて教育・研究に従事する意義が伝わりにくい。

それなら准教授と同じ Associate Professor でいいじゃないかと。

これが一番シンプルな解決策である。

でも、英語表記では准教授と区別が付かなくなるのは気になるなと、

その結果として ”Junior Associate Professor” という表記を使っている大学もあるという話のようだ。


気になって出身の高専の教員紹介を調べてみた。

パラパラめくっていると、博士と修士ばかりのようである。

一般教科だと学士もいるんじゃないかと思ったけど、なかなかないようだな。

高校教諭としての実績で講師になることはできるものの、

本来、助教や准教授の資格のある修士を優先したいのはそうだろう。

教授なのに学位が修士という人もいて、これは准教授としての実績で任用されているのではないかと。

専門学科の教員とかほとんど博士だと思っていたが、修士もちらほらいるんだな。

とはいえ修士も准教授レベルなら問題ないわけである。

講師という階級自体は存在するようだが、早々に准教授に昇格するようで、

講師として在籍している人の数はごく少ない。確かにそんな記憶があるな。

char型は符号ありでよかったか

以前のマイコンで使っていたソースコードを移植して、

コンパイラのWarningを調べていたら符号なしの数値と負数の比較をしていると出てくる。

なんでそんなことになってるんだ? と調べて判明したのはchar型の取扱だった。


移植後のコンパイラでは char型を符号無しとして扱う設定がされていた。

そんな設定した覚えないのだが……と確認したら、標準設定がそれだった。

で、元々のマイコンのコンパイラはchar型は符号ありだったそうで、

ここが食い違いの原因だったらしい。


Cで単にintとかlongとか書けば符号ありなのだが、

charというのは符号の有無は環境依存だと定義されている。

このため符号ありと明示するには signed char、符号なしと明示するには unssigned char と書くべきとなっている。

それぞれ int8_t, uint8_t と書いた方が意図は明確かもしれない。


なぜこういうルールなのかというので調べるとこんなのが見つかった。

char の符号が処理系定義な理由 (Zenn)

‘a’のような文字リテラルはchar型で負数ではないと規定されていて、

ASCIIコードの範囲であれば0~127なので符号付きの1byte型でも、符号無しの1byte型でも問題ない。

文字を表すという観点で言えば、0~255が表現できる符号無し型の方が有利である。

とはいえ、char型は文字の表現だけではなく1byteの数値表現にも使うことができる。

その観点では単にintと書けば符号ありになるのと同様、charも符号ありの方がよいという考えもある。


環境ごとにどちらが標準かというのはだいたい決まっているらしく、

確かに基本的にcharはunsignedと規定されていた。

旧来のマイコンは基本的にcharはsignedと規定されていたのだろう。

(少なくともコンパイラはそう解釈していたことは裏が取れている)

ゆえに流用コードをビルドするには signedと設定した方がよいようだ。


標準が符号なしというのは今まで気づいてなかったのだが、

char型が符号ありかなしか一意に決まらないということは知っていて、

Warningが出てる場所を少し調べたらすぐ見当は付きましたね。

くれぐれもご注意を。

往復乗車券がなくなる

かなり驚いたのだが、JR各社で往復乗車券と連続乗車券の発売が終了になる。

往復乗車券及び連続乗車券の発売終了について (JR西日本)

もっとも帰りの切符を同時に購入するということ自体は今後も可能とみられ、

その場合は片道乗車券2枚を購入することとなる。


ただ、往復乗車券と片道乗車券2枚はいくつかの差がある。

600km超に適用される往復割引が適用されないことはもっともわかりやすい差異である。

とはいえ、これは600km超乗らなければ関係ないこと。

そうでない場合でも差異があり、それは有効期限である。

往復ともに片道乗車券の倍の有効期限となる。

100km以内あるいは近郊区間完結の乗車券の有効期限は1日(途中下車不可)だが、

往復にすると往復ともに有効期限が2日となる。途中下車不可なのは変わらないが。


このルールはJRに限らず往復乗車券としては一般的なルールなのだが、

これと違うルールを持っている会社があって、それが近鉄である。

近鉄の往復乗車券は往路は1日、復路は2日と決まっている。

近鉄は途中下車制度を廃止していることも考えれば、実用上の差異はないといってもよい。

少なくとも往路は出発日に使い始め、当日中に使い終わるはずだからである。

復路は往路と当日に使うか、翌日に使うかの選択肢がありますよと。


途中下車制度のない近鉄にとってはそれで済む話なのだが、

JRなど途中下車制度のある会社にとってはそうとも言えない話で、

例えば、大阪~倉敷は片道だと有効期限2日の区間だが、

これを往復にすると往復とも4日間有効となる。

金曜に大阪を出て、姫路で1泊、岡山で1泊、日曜朝に倉敷に到着し1泊、月曜中に大阪に戻ってくるというのは、

大阪→倉敷で見れば3日かかるので片道乗車券なら期限が切れるが、

大阪→倉敷→大阪で見れば4日に収まっているので往復乗車券は成立すると。

大阪→倉敷を途中下車して3日もかけることに合理性があるかはさておき。


もう1つ廃止になる連続乗車券についてはこれいらんなとは思う。

典型例の1つが往復でルートが違う場合。

金沢~千葉を往路は長野経由と復路は米原経由とすると、往復乗車券にはならない。

ついでに東京~千葉あたりが往復で重なるから片道乗車券にもならない。

このような場合は往復まとめて連続乗車券とすることもできる。

もう1つが折り返し乗車になる場合。東京→京都→大津は折り返し乗車になるから片道乗車券は出ない。

このような場合は東京→京都→大津の連続乗車券とすることもできる。


でも、どちらも連続乗車券でなければならない理由はないと思う。

特に割引もあるわけではないので、片道乗車券2枚に分ければよい。

東京→京都→大津のような乗り方はごく一般的な使い方だと思うが、

東京都区内→京都市内のきっぷを持って、山科~大津の乗り越し運賃を払っているのではないか。

こちらも有効期限の計算は2つの片道乗車券の合計になる点が異なる。

金沢~千葉は長野経由が4日・米原経由が5日なので全部9日有効、

東京→京都→大津は東京→京都が4日、京都→大津が1日で全部が5日有効となる。

だからどうしたという話だけど。


往復乗車券の制度廃止はこれがチケットレス化の妨げになっているからという指摘があった。

EX予約では新幹線だけで600km超になる区間で往復割引タイプの商品を出しているが、

在来線とあわせて使う場合など、乗車券で往復割引が適用できる範囲とは必ずしも一致しない。

この600kmというのがけっこう微妙なラインなんですよね。


その上、往復乗車券・連続乗車券には有効期限など特殊なルールがあるが、

これを片道乗車券2枚にしても実用上の差異は少ない。

購入時に往復の出発日をそれぞれ指定しないといけないぐらいか。

片道2枚の方が区間変更などの対応もしやすいので、それでいいよねと。


それにしてもJRから往復乗車券がなくなるのは衝撃的だな。

と思ったけど、普通回数券ももはやなくなってしまったからなぁ。

(通信制の通学回数券は残っているが)

これも割引があるがためにチケットレス化の妨げになっていたのは確かだが……

バラ売りなど好ましくない使われ方もされていたわけだし。

一方でICカード非導入区間では有用性はあったと思うところもある。

大半がICカード非導入のJR四国では「6枚回数券」という独自商品は生き残ってるわけだしな。


近鉄の往復乗車券の話を書いたが、近鉄こそ往復きっぷは全然売れてないと思う。

近鉄は券売機で往復は出せないはずで、買えるとすれば窓口だけ。

昔は必ず窓口できっぷを買う駅もあったが、無人駅化で券売機のない駅になってしまった。

JRだと今でも窓口できっぷを買う駅は地域によっては残ってるかな?

そういう駅で「○○まで往復で」なんて買い求める人はいるかもしれない。

あと、JRだと近距離券売機でも往復きっぷが出せるのは案外あるんだよね。

今後も窓口では帰りのきっぷを同時に買うことはできるだろうけど、

近距離券売機ではそうもいかないでしょうから。

でも、そもそも近距離券売機できっぷを買う機会が激減しているというね。

成田空港国内線はどこにいる

成田空港といえば国際線が多くを占めるが、昔に比べると国内線の便数も増えた。

というのはほとんどがLCCによるものなのだが。

ジェットスタージャパンとPeach(旧バニラエア)によるところが大きい。


今まで何度か成田空港の国内線は使ったことがあるが、

第3ターミナルビルT3)開業後の春秋航空日本(Spring Japan)とジェットスターである。

T3はサテライト棟が国内線用になっている。

ここからエプロンルーフでの徒歩搭乗かバス搭乗ということになる。

成田空港の国内線専用に整備されたスポットというのはここぐらいである。


Peachはバニラエア統合後に一時T3を使っていた時期もあったのだが、

2020年に再び第1ターミナルビル(T1)に戻っている。

鉄道駅からのアクセスに難があるT3よりT1を使いたいということだったらしい。

T1の国内線というのは南ウイング、第5サテライトの一角に置かれている。

駅から直結とはいえ、改札口からはなかなか遠そうだ。

国際線55・56・57A番ゲートの真下あたりに国内線のゲートがあって、

これらのボーディングブリッジ経由で搭乗するか、バス搭乗するか。

意外とPeachはボーディングブリッジを使う便も多いらしい。


なお、T1の国内線施設というのはANAと共用である。

ANA自身の国内線は1日3往復で15時台到着・17時台出発に固まっている。

アメリカ線との乗り継ぎに便利にするとそうなってしまうのか。

で、この時間帯は国際線が忙しいのでバス搭乗になる便が多いようだ。

あと、もう1つ特徴的なのがラウンジで、これは国際線到着フロアに「ANA ARRIVAL LOUNGE」という名前で存在している。

その名前の通り、国際線到着客向けのラウンジなのだが、

一般エリアに設けられた国内線出発ラウンジという位置づけでもある。

利用実態としてはANA国内線出発客のほとんどは国際線到着客なので妥当ではあるのだが。


T1, T3とくれば、第2ターミナル(T2)にも国内線はあるのだが、

現在、これを使っているのはJALだけで、1日わずか3便となっている。

JALは成田空港発着の国内線の多くをジェットスターに委ねることになった。

このためジェットスター国内線にはJAL, カンタス他の便名が付与されている。

それでもJALに残るのは大阪(伊丹)が2往復、中部が1往復に限られている。

その割にはゲート数は多く、A,B,C,D,E,F,G,H,I,N,P,R,Sとある。

A~Hはバスゲート、I~Sは64, 66, 67A, 67B, 68番ゲートのボーディングブリッジに接続されているとのこと。

(このほか、到着のみボーディングブリッジが利用できるパターンもあるよう)


なんでこんなに多いんだ? と思うのだけど、いろいろ事情があったらしい。

成田空港~その役割と現状~ 2018年度 (成田国際空港)

「第2章 成田空港の施設」にこれまでの整備の経緯が様々書かれている。

1992年のT2開業後、JALとANAはともにT2を利用していた時期がある。

2002年にT2に国内線でもボーディングブリッジが使える施設が作られた。

これ以前は国内線は必ずバス搭乗になってたんですね。

ジェットスタージャパンも羽田空港の国際線も今ほどはない時代、

JALもANAもT2発着の国内線を今よりはだいぶ多く飛ばしていた。

その後、アライアンス別にターミナルを使い分けることとなり、

2006年に現在のT1の国内線施設ができ、ANAはこちらに移転した。

2011年にスカイマーク、2012年にジェットスタージャパンとエアアジアジャパン(→バニラエア)が就航、

いずれもT2を利用したので、一時的な増床も含め、国内線の拡張が図られた。

ただ、スカイマークは2014年に撤退、2015年にT3が開業して、一気に縮小。

JALの1日3往復にしても、国際線が忙しくてバス搭乗になることが多いようだ。


成田空港の国内線だが、トキエアが佐渡~成田を開設したいと言っている。

使用予定のATR42-600はまもなく日本に来るのではないか。

本当はATR42-600Sという短距離離陸性能の高い機材も買う予定だったが、

こちらは先日、開発中止が報じられている。

通常のATR42では佐渡空港の890m滑走路では乗客数の制限など必要とみられる。

(一方で佐渡空港では2000m滑走路の新設に向けた用地取得が動いている)

実現すれば成田空港に乗り入れる便では最小となるが、どこに発着するのか。

直接搭乗できるという点ではT3がよさそうな気もするけど、

やはりバス搭乗前提でT1かT2なのだろうか。なんとも言えませんが。

いずれにせよまだ時間はかかる話であろう。