生ごみとプラスチック以外でRDF

以前、シュレッダーくず について石炭の代替燃料、RPFとして利用されることがあると書いた。

シュレッダーくずの使い方

このときに一般ごみを原料にして作ったRDFについてこう書いた。

市町村レベルではRDFを製造すれば、焼却・埋立なしにごみ処理が完結し、

そのRDFは燃料として発電などに利用できて価値を生む。

そのようなシナリオだったが、RDFは品質が安定せず、

塩素分を含むためダイオキシン類の生成を防ぐ必要があるなど課題も多い。

RDFを燃料として使う施設はこれらの条件に対応しなければならなかった。

この結果、RDFは価値を生むどころか、高いコストをかけて燃焼させねばならず、縮小していったという。

ところが近年、RDFを導入した地域があるらしい。

北海道倶知安町周辺の羊蹄山麓地域である。2015年導入らしい。


同地域の焼却施設の老朽化にともなって今後のごみ処理の検討を行ったのだが、

人口35000人程度の地域で高性能な焼却炉を備えるのは難しいと。

一方で製紙工場などで石炭代替燃料のニーズがあることもわかった。

このことから羊蹄山麓地域では焼却施設を廃止する代わり、RDF製造設備を設けることとなった。

とはいえ、これにはいくつかの前提条件がある。


この方法が採用できた最大のポイントは同地域では生ごみの堆肥化を行っていたこと。

農業が盛んな地域のため堆肥のニーズがあるようだ。

住民にも堆肥化を想定した生ごみ分別回収は定着しているようである。

生ごみを原料にRDFを作ると、含水率が高いので乾燥にエネルギーを要し、

できたRDFは塩素分が高く、条件によっては貯蔵中に発酵が進み事故の原因となる。

ゴミ固形化燃料(RDF)貯蔵槽の火災・爆発 (失敗事例データベース)

有機物の発酵が起点となり貯蔵槽で火災・爆発を起こしたという事故である。

RDFの品質管理の難しさが現れた事故の1つである。

なお、同施設は事故後に運転を再開したものの2019年に稼働終了している。


もう1つ、RDFの塩素分の原因となるのがプラスチックである。

プラスチックも種類によるが塩化ビニル類が問題である。

このため羊蹄山麓地域ではプラスチック類は もやせるごみ には入れないことになっている。

容器包装はプラスチック製容器包装として回収し日本包装リサイクル協会に引き渡し、

それ以外のプラスチックは もやせないごみ として回収している。

(容器包装以外のプラスチックも協会に委託してリサイクルする計画はあるようだが、現状はこうなっている)

ただ、もやせないごみ=埋立処分というわけではない。

破砕して金属類はリサイクルへ、可燃物は焼却処理に回している。

これらを取り除いた不燃物は埋立処分に回っている。

令和4年度 倶知安町一般廃棄物処理実施計画 (pdf)


もやせるごみ の中で衛生ごみはRDF化せずに焼却処分となる。

また、もやせるごみ はRDF化の前に手作業での選別がある。

ここでプラスチック・生ごみなどあれば除去されることとなる。

結果して、もやせるごみ の中の衛生ごみ・RDF化不適物、もやせないごみ の可燃物 は委託先での焼却処分に回っているとみられる。

(RDF不適物の扱いが委託先で埋立と表記されてたりするが、焼却だと思う)

プラスチックをRDF化から除外したこともあり、RDFを導入しても従来型の焼却処分は必要となる。


生ごみもプラスチックもRDFに出来ないのでは大したことないのでは?

もやせるごみ(衛生ごみ含む)・生ごみ と もやせないごみの可燃部分、

倶知安町でのごみ排出量のうち これらの合計が3029tとなっている。

多くの市町村での焼却処分の対象は上記の範囲だと思う。

このうち堆肥化に回るのが 1182t(39%)、RDF化に回るのが 741t(24%)となっている。

残りは委託先で処分ということで、おそらくは焼却処分、これが37%と。


というわけで全体としてRDFになる可燃物はこんなものである。

一番効いているのは生ごみの分別回収というのが実情なんですね。

それ以外の4割がRDF、残りは焼却処分というとさほどではないなとなる。

しかしながら、確かに回収後の手作業での選別を含めて、

この方法で分別された材料から作られたRDFの品質は十分高いとみられる。

雑多なごみを焼却しても熱利用はできるが、効率がよくないと言われている。

一方で高品質なRDFは石炭相当の熱効率で利用することが出来る。

RDF製造で乾燥などのエネルギは必要だが、それを考えても高効率である。

従来石炭を使っていた製紙工場でRDFを使えば、省資源に直接的に寄与する。


ただ、この方法はいろいろ難しいなと思う。

まず、生ごみの堆肥化というのは堆肥の出口があるのが前提である。

そこはなんとかしても、生ごみの分別回収が難しい。

堆肥化に適した生ごみだけを集めるには住民の協力がなければならない。

また、生ごみと他の燃やすごみを分別回収するコストも課題である。

ごみ処理の費用の多くを占めるのが回収である。

生ごみ と 燃やすごみ はいずれも高頻度で回収しなければならない。

分別数が増えた分、回収頻度を下げるというのは難しいのではないか。


十分な環境対策がなされた焼却炉で焼却処分する場合、

生ごみもプラスチックも紙ごみ も全て焼却して、衛生的に減容できる。

焼却灰はセメントなど建設資材としてのリサイクルが可能である。

埋立処分を行う土地の確保も難しい中ではとてもありがたいことである。

ただ、最大の欠点は焼却炉のコストが高いことである。

処理規模の小さな地域では困難という話は確かにある。


そういう地域ではRDFはやっぱり効果的なのではないかという話があり、

それを実践したのが羊蹄山麓地域である。

効果はあるが、委託先での焼却処分がなければ成り立たないとも言える。

可燃物を一切合切RDF化すると、それを利用するのは専用施設でなければならず、

それでは結局はごみ焼却施設とほとんど同じものになってしまう。

RDFに適しない物を別処分に回すことで、専用施設が不要になり、

なおかつRDF利用による省資源化が実現できたことは評価できるのだが……


やはり日本のごみ処理は焼却処分が本線なのかなという感じはしますね。

汚泥や生ごみのメタン発酵というのは導入されている地域もあるけれど、

発酵して残ったものを堆肥化するか埋立するか焼却するかという話で、

堆肥化できれば一番よいが、日本では行き先が限られてしまう。

埋立は日本では埋立地の確保が難しい、となれば焼却が確実となる。

焼却っていうなら最初から焼却すれば手間がかからないじゃないかと。

しかし処理規模が小さい場合はこのあたりの考えも変わってくる。

そういう条件が合う地域だったということですね。