日曜にはフランスで凱旋門賞が行われる。
日本からはスルーセブンシーズが参戦、ということで馬券発売が決まっている。
中山牝馬ステークス優勝を受けて登録、宝塚記念2着ということで参戦を決めたという。
今年は日本から有力馬の参戦見込みがなく、JRAでの馬券発売はどうなるかと思ったが、なんとかかんとか。
そんな凱旋門賞だが、もう1頭、日本生まれの馬が参戦するという。
凱旋門賞出走15頭確定ハーツ産駒コンティニュアス追加登録 独ダービー馬ファンタスティック急転参戦 (netkeiba)
それがContinuousで、日本生まれ、アイルランド調教、
そして先日、イギリスのセントレジャーを優勝している。
セントレジャー優勝を受けて高額な追加登録料を払っての参戦である。
日本生まれの馬がイギリスのセントレジャーを勝つってどういう状況だと思うが、
クールモア所有の繁殖牝馬が北海道新冠町のパカパカファームに預けられていたと。
預けられていた目的は日本の種牡馬との交配のためである。
日本では生まれた牧場を生産者と書くが、世界的にはBreederというのは母馬の所有者を指す。
このため当地での認識はクールモア生産馬ということになる。
とはいえ、新冠生まれであることは確かであり、優勝を祝う垂れ幕が町内の施設に張り出されたという。
にいかっぷ観光協会/新冠町のパカパカファーム生産のコンティニュアス号がイギリスのG Iレースであるセントレジャーを優勝しました!―― (Twitter)
セントレジャーといえば、日本の菊花賞のモデルとなったレースである。
どちらも3000m級の3歳限定戦だが、そのようなレースを行う国は限られている。
ヨーロッパではイギリスの本家セントレジャー以外にそのようなレースはないという。
日本では皐月賞・ダービーと勝てば三冠を賭けて菊花賞に来るのは普通だし、
今年は皐月賞優勝馬とダービー優勝馬がそれぞれ二冠を賭けてやってくる。
どちらも揃うのは珍しいが、皐月賞・菊花賞の2冠はわりと発生している。
それに比べるとイギリスのセントレジャーは有力馬は揃わない傾向だという。
歴史あるレースではあるんですけどね。
イギリスのセントレジャー優勝馬は障害用種牡馬になることが多いという。
ハリケーンレーンが引退、障害競走用種牡馬へ 愛ダービーなどG1・3勝&凱旋門賞3着 (日刊スポーツ)
アイリッシュダービー、パリ大賞、セントレジャーとG1 3勝、本家ダービー3着、凱旋門賞3着という成績は大変立派である。
このような馬を障害用種牡馬にするのはヨーロッパでの障害戦の地位の高さを表していると言える。
日本では平地から障害への転向が通常だが、ヨーロッパではデビュー時から別路線という。
長丁場のセントレジャーで勝ったということで種牡馬としての期待はそっちへ向かうと。
これはこれで立派だが、障害戦で走るならデビュー前に去勢されてしまいますからね。
この先、血統がつながる可能性が低いのが難点である。
日本では菊花賞馬が引退後に種牡馬として活躍するケースがけっこうある。
例えば、デアリングタクトやエフフォーリアの父エピファネイア、
皐月賞2着、ダービー2着からの菊花賞優勝、翌年のジャパンカップも優勝している。
イクイノックスやソールオリエンスの父キタサンブラック、
皐月賞3着、ダービー14着からの菊花賞優勝、天皇賞(春)2勝、大阪杯、天皇賞(秋)、ジャパンカップ、有馬記念など計G1 7勝である。
菊花賞だけの一発屋とかだとなかなか苦しいかもしれないが、
「強い馬が勝つ」と言われる菊花賞だけにこのあたり充実した馬が多い。
セントレジャー優勝馬の凱旋門賞への転戦というのは、
なかなか結果が出ていないルートだと言われている。
1970年に三冠を達成したNijinskyが三冠達成後の凱旋門賞で2着に敗れたことから、ニジンスキーの呪いと言われているが。
(ちなみにNijinsky以来、イギリスでは三冠馬は生まれていない)
セントレジャーが3000m級の特殊なレースで、それ以外の戦績は物足りないとなればContinuousの期待値はあまり高くないのかなという気はする。
でも、オブライエン厩舎はContinuousが最もチャンスがあると見ているようですね。
クールモアは日本に繁殖牝馬を送り、日本の血統をヨーロッパに伝えている。
今年のダービー馬、August Rodinも引退後は種牡馬としてヨーロッパにディープインパクトの血を伝えることになるだろう。
Continuousにもそのような期待をしてしまうのだが、
先ほど書いたように障害用種牡馬となればその1代限りであろうと。
今後の戦績次第ですけどね。