G7の仲間とG7が仲間にしたい国々

広島でG7サミットが行われていますが、

G7サミットにはG7構成国の首脳だけが集まるのではない。

まず、欧州理事会議長・欧州委員会委員長は必ず参加する。

G7に直接参加しないEU加盟国も構成国に準ずる扱いと考えられる。

そして招待国としてG7を構成しない国の首脳も呼ばれるのも通例で、

今回はオーストラリア、ブラジル、韓国、ベトナムと、G20議長としてのインド、ASEAN議長としてのインドネシア、アフリカ連合議長としてのコモロ、太平洋諸島フォーラム議長としてのクック諸島が呼ばれている。

さらに今日、ウクライナのゼレンスキー大統領が追加でやってきた。


G7の招待国というのは拡大会合への参加のために呼ばれているようだ。

あわせてG7各国との会合をこなすことになる。

G7と招待国の顔ぶれを見るとG20サミットと被るところが多い気がする。

G7拡大会合は食料・保健・気候変動・エネルギーなどG7各国ではいかんともしがたい問題を中心に扱うという。

経済におけるカバレッジを重視したG20とは意図が異なる部分もあるが、

真に世界共通の課題というのはG7では扱いきれないのは同じかもしれない。


G7の構成国の共通点についてIMFはこんなことを言っていたそうである。

最も裕福な自由民主主義国であり、グループは多元主義と代議制政府という共通の価値観に基づいて公式に組織されている

(主要国首脳会議 (Wikipedia))

かつてロシアを加えてG8だったがロシアとは価値観が合わない部分も散見された。

そのロシアが抜けたG7を見てみると、ヨーロッパと北アメリカの大西洋両岸がほとんどで、

日本だけぽつんと1ヶ国アジアにある形になっている。


これがG20になるとだいぶ様相が変わる。

G20は19ヶ国とEUのことなので、G7に12ヶ国加えたものと言える。

ヨーロッパはG8から叩き出されたロシア(アジアにもまたがる)が加わり、

北アメリカはメキシコが加わった程度である。

アジアでは韓国・中国・インドネシア・インド・サウジアラビア・トルコ、

南アメリカではブラジル・アルゼンチン、そして南アフリカ・オーストラリアと。

日本にとって見れば韓国・中国・インドネシア・オーストラリアあたりが加わるとぽつんと1ヶ国という感じはほとんどなくなる。


そういえば韓国とオーストラリアって先進国だよねと。

G7の特徴に当てはまる部分も多く、拡大構想もあったという。

ただ、ほとんどの構成国は拡大に消極的なので実現することはなかったが。

このあたりは連帯できそうな部分も多そうなんですけどね。


ここ最近、急に聞くようになった言葉に「グローバルサウス」がある。

ウクライナ・対中国、連携は 「核なき世界」へ成果なるか G7議長国、問われる手腕 広島サミット (朝日新聞デジタル)

かつては先進国と発展途上国という構図で、先進国を束ねるG7の力は大きかった。

これを大きく変えることになったのが中国を中心とした東アジアの発展なのだと思う。

中国自体は都市と農村の格差もあり発展途上国としての性質もあるが、

香港・マカオの特別行政区は先進国のリストに記載されているぐらいである。

韓国・台湾(中華民国)・シンガポールは先進国に列せられていたり、

マレーシアも先進国には至らないも裕福な国である。

この背景に中国の発展は無関係ではないだろう。日本との関係もありますが。

これらの国々はG7の価値観と合わない部分も散見されるところである。

この他、東ヨーロッパの発展というのも大きな要素だが、

こちらについてはすでにEUを介してG7の連帯に加わっている部分も多い。


で、グローバルサウスというのは、上で書いた経済発展から取り残された、あるいは遅れた国々のことである。

概ね赤道付近より南に集中していることからこのような呼び名がある。

G20の構成国ではインド・ブラジル・南アフリカ・インドネシア・トルコ・アルゼンチン・メキシコ・サウジアラビアなどが該当するかと書かれている。

トルコとかメキシコあたりは先進国にあたらないもそれに近いという認識で、

それならグローバルサウスではないように思うが、含まれると書かれた資料が多い。

まぁあまり明確な定義はないのですが。


最も経済発展から取り残された地域がアフリカですよね。

その中では南アフリカは発展の早かったこともありG20に参加している。

が、国内の経済格差はすさまじく、貧困や感染症など他のアフリカ諸国と共通の問題は多い。

アジアは発展の早い国があった一方、発展が遅れた国もあり、

微妙なところはあるが、インドとインドネシアは遅れたグループになるのだろう。

確かにこの両国、とにかく人口が多く、国単位の経済規模は相当なものだが、

インフラ整備の遅れや経済格差など課題は多いところである。

こういう課題を抱えた国がまだまだアジアには多いということである。

南アメリカも経済規模は大きいが、経済格差がとにかく大きい。

西アジアは紛争が頻発し、民主主義が根付かない国が多く、

G7構成国にとっては苦慮するところが多い地域かもしれない。


アジアで唯一のG7構成国である日本だが、近国に目を向けると、

  1. 民主主義が根付いて裕福な 韓国・オーストラリアなど
  2. それとは異なる価値観で経済発展を遂げた 中国・シンガポール・マレーシアなど
  3. 経済発展するも未熟な点が多い インドネシア・フィリピンなど
  4. 小さな島国ゆえに大国に依存せざるを得ない太平洋諸島の国々

と言った具合に価値観や成熟度という点でも多様性がある。

(オーストラリアは言うほど近所ではない気もするけど)


1.に着目すれば近所にもG7に近しい国はあると言える。

2.に着目すればG7のカバレッジの低さが気になってしまう。

今回の広島でのG7の招待国というのは、3.の国々とG7が連帯していきたいとか、

歴史的にアメリカやオーストラリアと強い結びつきを持って来た4.の国々との関係を中国に奪わせまいという意図がありそう。

そのために日本と1.に挙げた国々がこの地域で存在感を発揮していきたいと。

決してG7はヨーロッパ・北アメリカだけのものではないと。

そういうことなんだろうと思う。


グローバルサウスという言葉も早々死語になりそうな感じはある。

結局、最後まで取り残されるのはアフリカじゃないかということである。

ただ、今はアジアの一部と南アメリカも同じような問題を抱えていて、

なのでこれらの国々の課題も含めて打開していこうということなんでしょう。