神戸空港にエアバスの巨大貨物機ベルーガSTが飛来した。
神戸にエアバス「ベルーガ」到着 シロイルカ2度目の大型ヘリ輸送 (Aviation Wire)
目的はヘリコプターの輸送のため。この中にヘリコプターが2機入っている。
神戸空港にやってきたのは エアバスヘリコプターズ の事業所があるため。
このため大型貨物機はしばしば神戸空港に飛来しているという。
地方管理空港である神戸空港の意外な一面である。
ただ、この飛行機、神戸に来る前に関西空港に一旦立ち寄っているのだ。
わずかな距離を飛び直して神戸に到着するという面倒なことをしている。
なぜこんなことになっているのか?
おそらくは通関のためだろうと言われている。
神戸空港は国際線が乗り入れる想定がない空港ですから。
輸出入ということについて言えば、日本の港は開港と不開港に分けられる。
開港には京浜港・阪神港などが列挙されている。
空港については開港ではなく税関空港という呼び方をするが意味は同じ。
近畿圏では関西空港が唯一の税関空港である。
外国貿易船は開港に入出港するのが原則である。外国貿易機も税関空港を離着陸するのが原則である。
しかし、不開港出入許可を取れば外国貿易船(機)が入出港(離着陸)することはできる。
ただ、直接不開港に向かうと、出入国・検疫・税関といったものが揃わない。
このような事情もあり、不開港で荷扱いをする船は開港に寄って手続きするのが一般的だという。
船の場合は開港にしばらく停泊して海上で手続きをしてしまえばよい話。
ただ、飛行機は一度着陸が必要なのが難点である。
外国と往来する飛行機が不開港の空港を絶対に使えないのかというと、
そんなことはなくて神戸空港にもプライベート機が飛来することはある。
事前に関係機関との調整が必要だが、出張対応も可能である。
ただ、簡易な手続きで済む手荷物の通関とは事情も違うのだろう。
神戸空港は空港としては不開港だが、海港としては開港である阪神港神戸区の一部である。
なので神戸空港に外国貿易船が発着することは可能で、
実際、液体水素国際輸送の実験が神戸空港島で行われているという。
水素サプライチェーン構築実証事業(海外から液体にした水素を船で運ぶ実証) (神戸市)
なのに外国貿易機の発着は通常認められていないのが神戸空港である。
空港内に保税蔵置場を設けて、そこで通関手続きをすればできそうな気もするけど、
ヘリコプターの輸送なんてそこまで頻度はないんだし、関空で飛行機に乗せた状態で通関手続きをする方が楽なのかも。
(船に乗せた状態で通関手続きを行うことを「本船扱い」といい、ばら積み船や巨大貨物などで活用されているという)
ところでなんで神戸空港にエアバスヘリコプターの事業所があるんでしょうね?
そもそも神戸空港は神戸市の手で土地造成・空港整備が行われた空港である。
空港の整備費は土地の売却で賄うという話だった。
ただ、開港時にはレンタカー店の土地が売れた程度だった。
全体としてだだ余りの神戸空港の土地だが、そこに目を付けたのがユーロコプターだった。
ユーロコプターは後に社名変更してエアバスヘリコプターズとなっている。
空港なのでヘリコプターの離着陸に適しているのは言うまでもないし、
元々伊丹空港に拠点があったので近隣での移転・拡張なのもよかったのだろう。
(川崎重工業と提携関係にあるのもこの立地の背景かもしれない)
日本の民間・官公庁向けヘリコプターの半分以上はエアバスヘリコプターが占めているという。
神戸空港はまさに日本のヘリコプターの整備・修理・訓練の重要拠点である。
なお、神戸空港は新しいターミナルビルの整備計画が動き始めていて、
その中では国際線対応の設備を整備する予定である。
関西・伊丹・神戸の3空港の経営は関西エアポートグループに統合されている。
3空港の分業を考える中で神戸空港への国際線就航という話が出てきたようだ。
どのような国際線が就航するのか? まだ見通せない部分もあるけど。
しかし、こうして国際定期便が就航すれば税関空港になる可能性が高い。
そうするとヘリコプターを積んだ大型貨物機が神戸空港に直行する日も来るのかも知れない。