西武多摩川線という路線がある。
JR中央線の武蔵境駅から分岐し、西武の路線としては飛び地になっている。
砂利輸送のために作られた路線で、合併により西武鉄道になった経緯がある。
多摩川での砂利採取自体がとうの昔になくなっており、現在は中央線の支線として通勤・通学・レジャーと活用されている。
多摩川線は西武の路線として飛び地だが、大がかりな車両点検は池袋線の車両基地で行われている。
貨物列車として武蔵境駅~新秋津駅を輸送するという方法を取っている。
西武鉄道多摩川線の車両交換、たぶんほとんどの人が見たことないはず…全線開通100周年で動画大公開! (鉄道ホビタス)
1往復で搬入と搬出をやるという方法なんですね。
この都合、一時的に2編成が離脱する期間が発生する。
(これに加え、池袋線内の牽引車として同型1編成が必要になる)
機関車に付けて運ぶためには連結器の交換も必要になる。
ただ、それでも車両自体を運べるならそれが一番効率がいいんでしょうね。
そんな多摩川線では今も古めかしい車両が走っている。
いや、西武新宿線のような幹線でも同じような車両は見ますけどね。
これらは順次置き換えていくという方針なのだが、このことについて西武グループの中期経営計画に気になる記載があるという話が。
サステナ車両※の導入
※無塗装車体、VVVFインバーター制御車両等の他社からの譲受車両を当社独自の呼称として定義
大手の鉄道会社が他社の中古車を導入するというのはあまりない。
車両老朽化に対して手っ取り早い対策が中古車導入という意図だと思うが。
それだけ西武には古い車両がたくさんいるということなんだろうなと。
具体的な話は明らかにはなっていないが、先ほど書いたように多摩川線の車両は揃って古い。
このため「サステナ車両」の導入というのは大いに考えられるところ。
また、中期経営計画の中でJR東日本との鉄道事業での協業への言及もある。
そんな事情から生まれた憶測として、多摩川線の車両をJR東日本でメンテナンス可能な中古車に置き換えるのでは? というものがある。
西武としては飛び地だが、JRにとっては線路のつながった支線とも言える。
JRの仕様に適合した車両ならば、JRの車両基地と自走で移動可能だろうと。
車両輸送の都合で予備車が多く必要になっている問題も解消できる。
そのような都合の合う車両があるのか? というのは気になるところだが、
実はりんかい線の車両に置き換え計画があるんですよね。
りんかい線は大がかりな車両点検をJR東日本に委託していて、
当時JRで導入していた車両をカスタマイズして導入した経緯がある。
近年に制御機器の更新を行っており、まだ十分使える車両とも言える。
JRでも横須賀線の車両置き換えが進んでいたり、それなりに候補はある。
あくまでも憶測ではあるものの、それはそれでいいのかもねと。
西武にとってみれば飛び地の多摩川線はどうやっても効率が悪い。
とはいえ利用者は少なくないし、やめるわけにはいかない路線でもある。
車両の老朽化、車両輸送を伴う整備の手間といった課題を他社の中古車の導入で解決しようというのは理にかなった話である。
大手の鉄道会社が他社の中古車を導入した比較的最近の例というので、
近鉄の子会社、伊賀鉄道・養老鉄道でそれぞれ東急の中古車を導入したのがある。
といっても沿線市町の負担で購入しており、近鉄が買ったとも言えないけど。
(そもそも分社化した時点で近鉄ではないという話はある)
両路線は近鉄の他路線と仕様が異なる。(南大阪線→養老線の転用は可能だが)
このことから他社中古車に目を向けざるを得なかったというところはある。
西武多摩川線もそこに近いかも知れませんけどね。