先日、両親と話していたときに「その服はイトーヨーカドーで買ってるのか」と聞かれて「イオンだよ。ちょっと遠いけどね」と答えた。
イトーヨーカドーには普段からよく買い物に行っているがほぼ食品のみ。
時々、台所まわりを中心に日用品を買うことはあるが、衣料品を買うのは稀である。
そんなイトーヨーカドーについてこんなニュースがあった。
イトーヨーカ堂、3大都市圏軸に集約へ 「他社への事業承継も協議」 (朝日新聞デジタル)
イトーヨーカドーについて、衣料品売場の自社経営をやめる方向は示されていたが、
店舗網について首都圏・関西・中京に集約し、食品スーパーを経営するヨークとの合併を考えているということだが……
関西・中京圏の店舗を残すつもりがあることにびっくりなのですが。
イトーヨーカドーの店舗、125店舗中93店舗が関東圏に集中している。
店舗整理が進む中で関東のローカルチェーンという色が濃くなってきた。
合併を考えているヨークの103店舗はすべて関東圏である。
関東以外で比較的あるのが東北の9店舗。
これらの一部はグループ会社のヨークベニマルの展開エリアとも重なる。
別の記事を見ると、東北の店舗はヨークベニマルへの移管も考えていると。
なので必ずしも東北から撤退とも言えないようである。
これに対して大阪・兵庫で7店舗、愛知・岐阜・静岡で7店舗はだいぶ少ない。
店舗整理の結果、この店舗数になったという事情はあるのだけど、
こんな小規模な店舗網を続けていきたいというのがよくわからない。
そこで気になって調べたところこういう記事が見つかった。
ヨーカ堂、中京・関西圏で存続へ 東北で店舗承継も―井阪セブン&アイ社長 (JIJI.COM)
「中京、関西地方で利益が出ている店舗は残したい」ということらしい。
果たしてその考えでよいのだろうか?
西武・そごう の百貨店事業が立ちゆかなくなった原因もこの発想があったのではないか?
西武・そごう には 西武池袋本店 という全国屈指の売上を叩き出す店舗もある。
これがゆえに百貨店事業を手放すという発想にならなかったのだろう。
さすがにこのままではまずいと思ったのか、2017年に関西2店舗をH2Oリテイリングに譲渡している。(後に阪急百貨店に)
ただ、これ以上に百貨店として残るべき店に出来たことはあまりなくて、
最終的に株主にせっつかれて全店舗一括でフォートレス・ヨドバシ連合に売却することになったが、最終合意の目処は立っていない。
不採算店舗だからって簡単には閉店できないのはそうなんでしょうけど。
百貨店もそうだし、スーパーもそうなんだと思う。
関西・中京圏で一定の利益が出ている店舗は残しておくのも、面倒を避けたいからというのはあるのかも。
衣食住が全て揃うGMSという商売を畳む動きは他でも見られる。
というか、全国レベルでGMSに力を入れるのはイオンとPPIH(MEGAドン・キホーテ、アピタ)の2系列だけで、
あとは中国・四国・九州で イズミ(ゆめタウン) が目立つぐらいかも。
西友も緩やかに衣料品売場を減らし、食品への特化を進めてきた。
まだ衣料品を扱う店舗は残っているが、専門店に転換して衣料品売場をなくす店が少しずつ増えてきていることは確か。
関西でも イズミヤ が関西スーパーとの経営統合も絡み、非食品部門を分社化している。
(現時点では双方H2Oグループ内にある状況だが)
そしてイトーヨーカドーもおそらく西友と同じような道をたどるのだろう。
コンビニが高収益がゆえに、それ以外の事業に株主に突かれている面はあるが、
それにしても7&iが 西武・そごう と イトーヨーカドーに対して効果的な策を打てなかったのはどうなんだろうなと。
追い込まれて 西武・そごうは売却、イトーヨーカドーは衣料品から撤退と決めた。
この決定には理由はあると思うが、どうにも疑わしいものである。
イトーヨーカドーの関西・中京圏の店舗を残したいと聞いてその疑念は強まった。
西武・そごう については売却すれば7&iとしては手離れするのだが、
売却後の方針に懸念もあり最終合意に至らない状況が続いている。
というわけで、イトーヨーカドーはどうなるのかなとは思いますね。
かつてはよく比較されたイオンとの違いを考えて見ると、
イオンは自力でGMSの諸課題を打開していったが、7&iはそれができていないのだと思う。
何もやってこなかったとは思わないけど、現実に大したことはできていない。
そういうのが長く続くほどにイトーヨーカドーが見劣りするようになってきた。
だから衣料品・住関係は遠くてもイオンに買いに行くんだって話ですよね。