1日券で京都を北から東へ

昨日、バス・地下鉄1日券を仕入れておいた。1100円なり。

かつての京都観光1日乗車券(1200円)を思い出すような値段だが、

当時に比べると格段に使いやすくなったエリアもある。

ということで昨晩、購入時にもらったバス路線図を開いて作戦を考えていた。


とにかく行くところが多いので早めに宿を出る。

宿は烏丸御池で、東西線で2駅、二条駅にやってきた。

ここから乗るのはJRバス、これにバス・地下鉄1日券で乗れるんですね。

2021年、市バス・JRバスの京都市内均一区間が栂ノ尾まで拡大された。

これにより京都市バスの最高額運賃区間を含んでいた8系統が均一系統になった。

また、高雄折り返しだった8系統も栂ノ尾まで延長されることになった。

もともと市バス8系統は京都観光1日乗車券の時代から全区間が利用できたが、

均一区間拡大に合わせ、バス1日券を含む市バスのフリー乗車券がJRバスで利用できるようになった。

これにより高雄方面への観光が大変便利になったわけである。


当初は太秦天神川駅から8系統も考えたが、少し早く出て二条駅からJRバスの方が少し目的地への到着が早くなると考えたのでこちらで。

立命館大学を経て、仁和寺の前を通り(このあたりもJRバスが使えると便利)、周山街道の山道に入っていくわけだが、前にバスがおるなぁ。

市バス? と思って時刻表を調べると当初、天神川から乗ろうと思ってたバスだった。

どうも乗っていたバスが渋滞にはまるうちに、別ルートを走る市バスが先に行ってしまったらしい。

結局、この作戦は裏目に出たらしい。大損はしてないけど。


終点、栂ノ尾で降りると最初の目的地、高山寺の目の前である。

高山寺は8:30開門なので、このギリギリ後ろを攻めたわけである。

高山寺というと、鳥獣人物戯画が伝来したことで知られ、グッズはそればかり。

とはいえ、それは拝観にとってはどうという話ではない。

このあたり紅葉の名所であり、秋にはその景色目当てでの拝観者が多いのだと思う。

確かになかなかの絶景である。逆に言えば、それ以外は古い住宅建築というぐらいしか発見はないのだが。

その割には拝観料800円というのもどうなのかなと思わんこともない。

境内にはコンクリート造の古めかしい倉庫があるが、ここにいろいろな寺宝が保管されていると。高山寺の価値としてはここが一番大きいのかも。

あと、日本最古の茶園というのが境内にある。茶畑にしてはずいぶんワイルドだなと思ったけど。

中国からやってきた茶がまずここで育てられ、そこから各地へ広がっていった起点となるところである。


さて、ここから次は神護寺へ行こうとしたが、距離もさることながら歩道もなく怖いということで、少しだけバスに乗る。

ちょうど市バスが来たのでこれで高雄下車、ここから下がって上がって神護寺へ。

金堂にたどり着くと「中に入って拝観していただけますから、説明しますので」といい、

誘導されたのは内陣の中どころか、仏像の目の前だった。さすがに驚いた。

本尊の薬師如来立像だが、これだけは古いのだが、建物は何度も焼けて、

それでもなんとか運び出して、野ざらしの時期もあったが乗り越えてきたという話だった。

秋には大勢の人が来るが、この時期はよっぽど暇という感じの話しぶりだった。


さて、また下がって上がってバス停へ、今度はJRバスで山を下る。

そして立命館大学で下車して、バス停降りてすぐの堂本印象美術館へ。

ここはバスとかでよく名前を聞くから気になってたんだが、バス・地下鉄1日券の優待施設ということもありやってきた。

堂本印象というのは日本画家というのでよいと思うが、美術館の見た目から不思議である。

館内の紹介でも書かれていたのだが、ヨーロッパに滞在していた時期もあり、

ヨーロッパ的な題材や抽象表現など、日本画家という枠で見ると戸惑うところはある。

(日本画というのは手法のことなので、題材が日本的ではないのはわりとある)

もちろん寺社の障壁画など一般的にイメージする日本画の仕事も多かったのだが、キリスト教の教会の仕事もしているのはそういうことだろう。

この美術館も自分の作品を展示する美術館を自分でデザインしたという。

(現在は京都府の施設だが、これは後に美術館・コレクションが京都府に寄贈されたため)


ここから歩いてもよかったがすぐバスが来たので少し乗って北野天満宮へ。

この時期の関西行きを選んだ理由の1つが梅の時期だったからである。

先にお参りして、絵馬掛所の前を通ったらすさまじい数の絵馬があった。

この時期は受験シーズンだから、一番絵馬の数が集まる時期じゃないか。

そして梅苑へ向かう。1200円ってお菓子付きとはいえこんなもんだっけ?

と後で調べたら2020年にも来てたようで、そのときは1000円だったらしい。

元々そんなもんかという感じはあるけど、そういうところで稼いでおきたいということかね。

木によってはまだ蕾が固い感じもあるが、概ね見頃といってもよいでしょう。

いい陽気だったのですっかり春だなぁと思いながら過ごしていた。


昼食を食べて北野白梅町から西大路通を下り、西大路御池で東西線へ。

そしてやってきたのは岡崎公園、京都国立近代美術館である。

「開館60周年記念」と冠した割に「甲斐荘楠音の全貌」というネタではそう特別な気もしないが。

どうもこの方、画家なのだが、人物画を多く描いていたことから映画の時代考証、衣装といったところで活躍の場を移していった人だという。

そのため後半の展示の多くはデザインを手がけた衣装がずらりという感じ。

どうも最近、東映京都撮影所で衣装が発見されたことがきっかけになっているらしい。

こういうネタに連動してかコレクション展でも、画家がデザインを手がけた工芸作品が並んでいた。


東山二条から東山七条までバスというのはあまりによく使うルートだが、

これでハシゴしてやってきたのは京都国立博物館である。

平常展のために作ったはずの平成知新館なのに、明治古都館(耐震性能が不足)が休館中のため、特別展会場として使われる時期の方が長い。

そんな中で特別展の間を縫ってひな祭りの特集展示を含む平常展が行われる、

ということでそこも狙ってこの時期にしたのだが……

なんと3階と1階半分の展示室が展示準備のため閉鎖されているのではないか。

3階の陶磁の展示室が閉鎖というのは、本当に焼き物の展示がないということで、それではこの博物館の魅力も半減ぐらいありそうだが。

次の特別展の準備期間も一部使って平常展をねじ込んだいう努力でもあるが、

展示室閉鎖でも観覧料700円は変わりませんからね。(奈良博プレミアムカードを見せてるから払ってないけど)

1階の彫刻は寄託品特集ということで、その中には高山寺と神護寺の寄託品もあった。


ということで当初想定していた目的地は時間内に全て回れた。

この時点で16時頃で、それならとまたバスに乗り東福寺で下車。

とはいえ東福寺はもう閉門の時間なので、境内を通り過ぎるだけで、

そのまま下ってたどり着いたのは伏見稲荷大社である。

伏見稲荷ってのも久しぶりの気がする。この時間でも大賑わいだった。

日本人にも人気だが、外国人観光客の人気が高いとは聞いていて、実際だいぶ多そうだった。

あんまり上までは行かなかったけど、これはこれでいいところだなと。


ただ、バス・地下鉄1日券で伏見稲荷ってのはあんまりよくないんですよね。

バスで伏見稲荷には来られなくもないが、南5系統というのが1時間2本程度と少なく、京都駅との往来も時間がかかる。

そもそも稲荷大社前のバス停だって、京阪の駅より少し遠いのだから、普通に考えれば市バスで来るところではない。

が、フリーきっぷの都合でこれを選ぶ人は多いのだ。特に外国人客が多い。

歩道も狭いので、バス停の前のビルの敷地を借りてバス待ちスペースにしてた。

バス・地下鉄1日券を持っているなら、逆に竹田駅まで乗って地下鉄で市内へ向かうのも選択肢になる。

特に今回は宿が烏丸御池なので、どのみち地下鉄には乗るのである。

今回は京都駅行きのバスがすぐ来るので、素直にそれで行くことにしたが。


というわけで1100円の元は取らないと、あれこれ詰め込みつつも、

見たいものはちゃんと見られたということで、これで満足という感じ。

寺社などで全国旅行支援のクーポンが使えるとよかったのだが、

どこもさっぱりで、府立の堂本印象美術館すら使えないのはどうなのかと。

GoToトラベルのクーポンのように1000円単位だと1人では結局使えないのはあるが、今のクーポンならそういう問題もないし。

こういう明らかな観光施設こそ導入して欲しいのだが、現実はそうならんと。

幸い、昼食を食べた店で使えたこともあり、明日の朝食を買ったらちょうどよくなくなった。


京都国立博物館は間に合わなければ明日に回すことも考えていたが、

間に合ったので明日は阪急で大阪に直行して、昼には去る予定。

(新幹線は往復とも京都発着なので、大阪~京都は在来線での移動になる)

なかなか慌ただしいんですよね。そういうところを狙ったのはあるんだが。

帰ったら帰ったでやることはいろいろあるし、その次の日は勤務日だし。

これは連日休暇が気が引けたからというのはあるんだが。