先日、こんなニュースを見た。
徳島の国鉄型キハ40・47形が引退へ 次世代型ハイブリッド車両を導入 (徳島新聞)
徳島県といえば全線非電化なので電車ってものがないんですよね。
新旧いろいろなディーゼルカーが走っているが、最古参のキハ40・47形が新車に置き換えるとのこと。
これによりこの形の車両は四国から一掃されるのだと思うが……
実は瀬戸内海を挟んで対岸のJR西日本では国鉄から継承したほぼ全車が現役である。
しかも、四国と違って置き換え計画は具体化していないのである。
DEC700形という電気式ディーゼルカーの試験車を作っているのだが、
量産化についてはまだ発表されておらず、まだまだ現役と読める。
そもそもJR四国はここまでも同型機を順次置き換えを進めてきたのに、
JR西日本はほぼ廃車にせずに今日まで来ているのだからギャップがすごい。
それで調べたところ判明したのは、西日本と四国で大きな違いがあったのである。
それはエンジンである。
実はJR西日本ではJR移行から早い段階でキハ40・47形のエンジンを交換していた。
というのもこの形は車体の重さに対してエンジンが非力という問題があった。
保守性の問題もあり、JR四国以外の各社はエンジン交換を進めていったという。
徳島県内に残るキハ40・47形は当初からのエンジンのまま現存する点で貴重で、
それで先のニュースにこんなことが書かれていたんですね。
40、47形の引退について、鉄道友の会四国支部の井上武支部長(72)=徳島市二軒屋町1=は「製造当時のエンジンで変わらず走っており、特に音が良かったが、昔の車両はメンテナンスに手間がかかるのだろう。時代の流れには逆らえない」と話した。
この形はJR旅客6社すべてが継承しているが、西日本以外は置き換えが進んでいる。
JR東海では全車廃車済み、武豊線の電化(2015年)によって余剰になったディーゼルカーで置き換えたよう。
JR東日本は定期列車からは引退済み、現在は観光列車に残るのみである。
蓄電池車か電気式ディーゼルカーで置き換えられた。
JR北海道については、もうすぐ置き換え完了の見込みである。
こちらも学園都市線の電化(2012年)で余剰となったディーゼルカーである程度置き換えが進み、
最終的にH100形という電気式ディーゼルカーを購入して置き換えている。
JR四国はさっき書いた通りで電気式ディーゼルカー導入で置き換えが完了する。
JR九州では蓄電池車やハイブリッドカーYC1形の導入で置き換えが始まっている。
ただ、西日本ほどではないが車両数が多いので、全て置き換える目処は立っていない。
JR西日本で国鉄から継承したほぼ全車が残っているのは、
エンジン交換などにリニューアル工事が行われたからというのもあるだろうけど、
電化や蓄電池車導入といったプロジェクトがなかったのもあるんだろうかね。
とはいえ、車両数はほぼ変わらずとも、少しずつ追いやられつつあるようだ。
事実、一部は観光列車への改造がなされているわけである。
JR西日本ができてから導入した一般列車用のディーゼルカーは主に3タイプある。
1つがキハ120形、やや小型のディーゼルカーで少しバスっぽい雰囲気もある。
小さい割にハイパワーで、利用者数が少なめの路線で使われている。
1992~1996年で導入され、当時、老朽化していた車両をかなり置き換えたそう。
この車両が使われていた三江線が廃線になり、それで他の路線に活躍の場を移したものもいるよう。
存廃が議論になりそうなローカル線で使われているので、
それ次第でキハ40・47・48形の置き換えの状況も変わってくるかもしれない。
廃線までいかずとも減便で浮いた車両で……というのもありそうな話。
残り2つが山陰で走るキハ121・126形と、姫新線で走るキハ122・127形だね。
これは高速化プロジェクトで購入してもらった車両である。
そのため今後も走る路線は固定されるとみられる。
この高速化プロジェクト以外、幹線用のディーゼルカーを買ってないんですね。
なんてわけで全国的に見ればまだまだキハ40・47・48形の活躍は続くとみられる。
数を減らしても走行距離の少ない観光列車として長く走ることはありそう。
とはいえ、活躍の場が減っていく方向であることは間違えなく、
置き換えが具体化していないと書いたJR西日本もローカル線の状況次第という面はある。
地域によってはあまりに見慣れた車両だろうけど、去るときは早いかも。