日本の年末といえば賭け事というほどに年末は賭け事の話題が多い。
それでどれぐらい売れてるのか気になって調べてみた。
日本には競馬・競輪・競艇・オートレースと公営競技があり、
それぞれのチャンピオン決定戦が年末に多く行われている。
いずれも年末の大一番ということだが、比較するとどんなもんなのか。
なかなか横並びでの比較が難しいところはあるが、全国レベルのチャンピオン決定戦とその開催場の1日の売上を調べてみた。
ただ、オートレースはここに出てくるのより1桁ぐらい小さいので省略する。
- 競馬(JRA)
- 12/24 阪神カップ(GII) 56.0億円 阪神1日売上147.8億円
- 12/24 中山大障害(J・GI) 23.9億円 中山1日売上188.7億円
- 12/25 有馬記念(GI) 521.6億円 中山1日売上655.4億円
- 12/28 ホープフルステークス(GI) 164.4億円 中山1日売上253.7億円
- 競馬(地方)
- 12/29 東京大賞典(GI) 62.7億円 大井1日売上103.0億円
- 12/30 東京シンデレラマイル 9.4億円 大井1日売上33.2億円
- 12/31 東京2歳優駿牝馬(地方全国交流) 9.2億円 大井1日売上34.7億円
- 競艇
- グランプリ(賞金王決定戦) (SG) 大村 6日計259.7億円
- 12/13 31.1億円, 12/14 31.3億円, 12/15 39.8億円, 12/16 37.5億円, 12/17 44.4億円
- 12/18 グランプリ優勝戦39.6億円 1日売上85.6億円
- クイーンズクライマックス(プレミアムGI) 住之江 6日計194.3億円
- 12/26 21.7億円, 12/27 21.3億円, 12/28 26.0億円, 12/29 30.1億円, 12/30 34.8億円
- 12/31 クライマックス優勝戦25.6億円 1日売上60.4億円
- 競輪
- 12/28 ヤンググランプリ(GII)7.8億円 平塚1日売上20.0億円
- 12/29 ガールズグランプリ(FII)7.8億円 平塚1日売上23.7億円
- 12/30 KEIRINグランプリ(GP) 62.5億円 平塚1日売上87.3億円
- KEIRINグランプリシリーズ 3日計131.3億円
全国レベルのチャンピオン決定戦とは書いたけど、東京シンデレラマイルは南関東のローカル重賞ですね。
東京大賞典と東京2歳優駿牝馬に挟まれて、注目度は高いから入れとくかと。
(東京2歳優駿牝馬は地方所属馬のみだがダートの2歳牝馬チャンピオン決定戦はこれしかない)
やはり有馬記念の売上は別格で、これだけは馬券を買うという人はけっこういるよう。
ただ、JRAがすごいのはその3日後のホープフルステークスも100億円以上売れることだよね。
さすがに前日の阪神カップと中山大障害は少し買い控え? 1日2重賞だとこんなもんかね。
(阪神カップはG2だが、定量戦で香港に行かないマイル以下の実力馬が揃うためスーパーG2とも言われる)
29日の東京大賞典は地方開催ではあるが、ダートの大一番ということで注目度が高まっている。
地方競馬でもっとも馬券を売るレースは東京大賞典というのが通例である。
日当たりでも東京大賞典の日の大井が一番多いみたいですね。
競馬と他の競技を比較するのに考えないといけないのは、
他の競技は複数日にまたがるトーナメント制だったりで、レースあたりというより開催当たりの売上に着目することが多いことである。
それで比較しやすくするために競馬は重賞レースとその1日の売上を並べて書いた。
日当たりの売上で見れば、JRAは別格で、それに次いで東京大賞典デーの大井というのは明確である。
で、競艇については年末の大一番はグランプリである。
正式名称は賞金王決定戦なのだが、専らグランプリと呼ばれているようである。
(仕組み上、優勝者が賞金王になれるとは限らないのも背景にあるのかな)
年末の大一番とは言うが、最近は最後から2つ目の日曜日が最終日になるようだからまだ少しある。
グランプリは賞金上位18名が参加するが、グランプリシリーズという賞金19~48位の選手が参加するトーナメントが同時開催される。
この2つはともに競艇のレースで最高格付けのSGに位置づけられている。
それぞれ1~5日に予選があって、最終日に優勝戦と順位決定戦があると。
この仕組みからか6日間の売上に着目されることが多いようだが、
グランプリ優勝戦がメインに違いないので、その数字も抽出したがそこまで目立たない。
ボートにとって真に年末なのはクイーンズクライマックスである。
賞金上位の女子レーサーによるトーナメントで、プレミアムGIに格付けされている。
プレミアムGIってのがわかりにくいが、全国発売するGIの意味だそう。
競艇のGIはローカル色が強いものもあるが、女子限定なのでSGではないが、SGに準ずる全国レベルのチャンピオン決定戦ですよってことらしい。
年末とあって注目度は高く、グランプリ以外のSGより売上は多いそう。
こちらもクイーンズクライマックスと並行して、クイーンズクライマックスシリーズが開催されていて、こちらはGIII格付けとのこと。
競輪については年末の大一番はKEIRINグランプリである。
さっき競馬と他は単純に比較できないねと書いたけど、
KEIRINグランプリに限れば、選出された9人が1走限りで競うものだから1レースの比較でもよい。
ちなみにKEIRINグランプリの優勝賞金は1億2380万円で、世界最高賞金の自転車レースである。
次点はツール・ド・フランスで優勝賞金は70万euro(約9800万円)である。
約2000mのトラック競技とほぼ1ヶ月にわたるロードレースを比較してどうするという話はあるが。
とはいえ1レースだけで終わるわけはなく、3日開催で各11レースある。
1日目最終はデビュー2年以内の選手によるチャンピオン決定戦、ヤンググランプリ、
2日目最終はガールズケイリンのチャンピオン決定戦、ガールズグランプリである。
さらに各日1~10Rは寺内大吉記念杯(FI)というS級選手によるトーナメントで構成される。
3日間で4人の優勝者が出るという仕組みなんですね。
以前はKEIRINグランプリはJRA以外ではもっとも売上の多いレースだった。
しかし、地方競馬への注目が高まったことで、昨年に東京大賞典が追い抜いた。
今年も僅差ながら東京大賞典の方が売上が多くなっている。
1日あたりでみれば東京大賞典デーの大井が圧勝ですからね。
競艇はレースあたり、日あたりとみても突出したところを見いだすのは難しいが、ダラダラ売上が積み上がっているようだ。
あと最後に年末と言えば忘れてはいけないのが年末ジャンボ宝くじ、
2021年実績で1078億円の売上、控除率を考えれば有馬記念もびっくりの売上である。
それで賞金も出さんでいいわけだから。スポーツとしての楽しさもないが。
そんなこんなで人々は年末にしこたま賭けるのだった。
最後に余談として競輪の格付けのことについて。
今回、競輪の格付けを見て、ガールズグランプリの格付けがFIIというもっとも低い格付けであることに不思議に思った。
来年からは男子のKEIRINグランプリと同じGP格付けになるそうだが……
なぜ今までFII格付けだったのかというと、これは定義上の問題である。
競輪は男子選手と女子選手のレースは完全に別になっている。(当たり前だが)
男子選手は大きくS級・A級に分かれているが、女子選手は全員がL級1班である。
その上で競輪のレース格付けと出走選手のクラス分けには下記の関係がある。
- グレードレース(GP,GI,GII,GIII) : S級選手のみ出走
- FI : S級と他のクラスの選手が出走(レースはクラスごとに編成)
- FII : S級以外の選手が出走
これはS級選手はグレードレースがFI、A級選手はFIかFIIに出走するということを表すとともに、
女子選手(L級)はグレードレースに出走できず、女子選手だけのレースはFIIとなることも表している。
このためグレードレースの日程内でガールズケイリンが行われる場合は、
その部分だけFII格付けのレースとして扱われるそう。
例えば、競輪祭(GI)の1~3日目に行われる、ガールズグランプリトライアル(FII)のように。
このためガールズケイリンのチャンピオン決定戦までFII格付けになっていたわけ。
定義の問題であって、もともと重要レースとは位置づけられてるんですがね。
来年からはガールズケイリンにもGP,GI格付けが規定されてわかりやすくなる。