ハードワークを強いる人

Twitterを買収したイーロン・マスクさん、買収後まもなく従業員の即日解雇をするというなかなかのスタートだったが、

このとき解雇されなかった従業員にこんな文書が突きつけられたらしい。

実業家のイーロン・マスク氏は買収した米ツイッターの従業員に対し、「高強度で長時間」働くために同社に残ることを望むか、3カ月分の給与を解雇手当として受け取り退職するかをニューヨーク時間17日夜までに決めるよう伝えた。

(激務か退職か、マスク氏がツイッター社員に決断迫る 17日までに (ロイター))

もう本当にその通りの書き方でしたね。


これを見て、そういえば似たような人がいましたねと。

日本電産 関社長の辞任を発表 「業績悪化の責任とる」 (NHK)

Nidec(日本電産)の創業者の永守会長のことである。

年齢のこともあり、後継者への引継ぎは喫緊の課題である。

ただ、これに難航してきたのも有名な話である。

それで日産出身の関さんを後継者として社長に就任させて、

特にNidecとして今後拡大させていきたい車載モーターの事業を中心に注力していたが、

車載事業の業績が不振であるという理由で2年半で解任されてしまったのだという。

全社的な業績はむしろ好調で、車載事業の業績不振も外的要因によるところが大きい。

普通に考えれば、後継者をそういう短期的な理由で解任するのはないと思うが。

なかなかショッキングなニュースで、こんなことやってしまう人の後継者なんて永遠に決まらないと思いましたね。


その永守さんが部下あるいは後継車に求めたものが目標必達のためのハードワークと言われている。

それは永守さんの言葉「すぐやる、必ずやる、できるまでやる」に現れているともいう。

こういうことを言う人にありがちなのだが、本人がとんでもない人なのである。

仕事の休みは元日の午前中だけ、1日16時間働くとかいう話もあったり。

そういうハードワークで目標達成を果たしてきた成功経験がある人なのだ。

関さんもそういう人の後継者になるということで、時間がかかる趣味であるゴルフをやめたという話もある。


ただ、為してもならないことがあるのも現実である。

日本電産、カリスマ経営者が招いた大量退職危機 (東洋経済ONLINE)

Nidec社内では厳しい目標が掲げられている、

目標が高いこと自体はまぁあることかもしれないが、達成が難しいことを考慮しなければならない。

ところが、その目標が達成出来なかったときの叱責が厳しく、たいへんなプレッシャーになっているという。

関さんはこのことが問題であるということで、立て直しを図っていたという。

Nidecを持続可能な会社にしていくためには必要な取り組みだということだと思うが、

永守さんの期待に合わず、かくして関さんは解任に追い込まれたという。

関さんの退任後に永守さんが従業員に語ったところでは「現在の停滞は社員のマンネリや諦めの気持ちに起因」とのこと。

こういう経緯を見ると、本当にこの会社大丈夫かってなりますよね。


冒頭の話に戻って、マスクさんもたいへんなハードワークをする人である。

まぁ「私の仕事は多すぎる」と語るほどらしいから、仕事しすぎであることの自覚はあるだけマシかもしれないが。

マスクさんといえばSpaceXとTeslaの創業者として知られている。

ここでも従業員にハードワークを課していたという話があり、

Twitterで従業員に覚悟を問うたのも、そこには整合的ではあるという。

ただ、リークされた文書の内容があんまりな内容で、こういうのを見るとマスクさんにはドン引きという感想を持つ人も多かろう。


Twitter買収後の即日解雇やハードワークを求める文書の背景には、

これまでTwitter社の従業員の働きがTwitterの価値を高める取り組みに結びついていなかったという事情はあると思う。

なのでTwitterの価値を高める取り組みに注力するべきというのはその通りで、

買収前の従業員数はそれに対しては過大であり、適正化しなければならないのもそう。

ただ、一方でTwitterのサービスの継続性というのも重要である。

そのためのキーマンを失わないために慎重にやるべきことはありそうだが。


ただ、ここは永守さんとは違いそうだなと思ったが、後継者に委ねること自体は積極的なようだ。

マスク氏、テスラCEO後継者候補を特定 取締役が明らかに (ロイター)

Teslaの後継のCEOについては候補が決まったらしいとある。

また、今はTwitterにお熱のマスクさんだけど、ゆくゆくはTwitterでも自らの勤務時間を減らして、後継者に委ねたいという考えがあるよう。

永守さんを見てると、そうはいっても本当にそうなるのかと思うところはあるが、

会社が自分から手離れしていくことはかなり意識しているようだ。

それは当然なんですけどね。

ただ、自分がハードワークしての成功体験がある人にとってはハードルが高いですから。