昨日、持株会の話を書いたけど、そういえば書いてなかったなと思った話が。
先日の関西滞在時に親元に厄介になり、母からこんな相談を受けた。
会社でつみたてNISAと思ったら、そうではないものに投資していて、評価額が下がっているがどうなのか。
○○信託銀行のやることだから心配はしてなかったが。
といういかにも危なそうな相談を受けたので資料を見てみた。
それで見せてもらったら、債券の投資信託が1銘柄あった。
債券とは予想外だったが、確かに最近は金利がガンガン上がっているから債券の評価額が下がるのは仕方ないことである。
ただ、値下がりしたと言っても数%の話であり、そこまで大きくないこと。
この先、金利が上がるとさらに損失がかさむ可能性があること、
債券ではここから大きく跳ね上がることは考えにくいことから、もう売却したらと。
母も売却の方向で考えていたようなので、後押しになったようだ。
金利が下がれば債券の価格は上がり、金利が上がれば債券の価格は下がるというのは、
理屈としてはとても単純な話なのだが、それを知らない人もけっこういる。
実は僕も20歳になって投資を始めたときには知らなかったのである。
ただ、当時はガンガン金利が下がる時期で、そのときに学んだわけである。
その後、国内株式への投資に軸足を移していったわけだが、
これも小さな成功と失敗があって、現在は割安で、できれば株主優待の恩恵のある株を保有するという形になっている。
投資というのもいろいろなやり方があるので、何が正しいとも言えないが、
株式とか債券という古典的なものが理解しやすくていいと思いますね。
専ら国内株式に投資しているのも、為替の考慮が不要で入りやすかったのがある。
外国為替の仕組みも今にしてみれば理解できないほど難しくはないが……
ただ、全体として、古典的な投資がリスクと利益のバランスに優れているとは言えるんじゃないかと思う。
この相談を受けたとき、僕が一番心配したのは、金融機関は無知につけ込んで割に合わない商品を売りつけているのではないかということである。
仕組み債、販売停止相次ぐ 「売るかやめるか」迫った金融庁 (朝日新聞デジタル)
仕組み債というのはデリバティブを組み込んだ債券である。
このBlogでも過去にこんな形で紹介している。
単純に言えば、株価や為替の変動リスクを押しつけるための債券である。
このことを指して「爆弾入り」と書いたんですね。
リスクが高い商品だが、そのリスクを正しく理解して投資できるかが問題である。
この点に問題があり、金融庁の指導を受けて販売を取りやめるところが増えているという。
こういう問題は仕組み債に限った話ではなく、外貨建て保険とかでも起きている。
上のようなことが起きる要因でもあるが、金融機関にとって手数料収入は重要である。
手数料が高い商品を売りたいがために複雑な商品を売りつける傾向があると言われている。
母からの相談を受けて、まず心配したのがそこである。
すなわち大手の信託銀行が得られる利益に見合わないほどコストが割高な商品を売りつけていたという可能性である。
例えば、国内株式に投資するとしても、
- ニッセイJPX日経400インデックスファンド: 信託報酬 年0.2145% 購入時手数料なし
- MAHM株式インデックスファンド225: 信託報酬 年0.55% 購入時手数料2.2%
1.は僕がつみたてNISAで買っている投資信託で、2.はみずほ銀行の窓口で唯一買える、国内株式のインデックス型投資信託だね。
調べてびっくりしたんだけど、みずほ銀行の窓口で買えるつみたてNISA対象の国内株式の投資信託って1つもないんですよね。
インターネットで買えるものはいくつかあるんですけどね。
つみたてNISAは手数料が一定以下であることが要件なので、それでは窓口のコストに見合わないという判断なのだと思う。
1.と2.の信託報酬の差は0.33ポイント、2.は購入時に2.2%目減りする。
信託報酬というのは純資産全体から儲かってても儲かってなくても差し引かれるものである。
わずかな差が年月を重ねるごとに大きくなるというもので、
100万円投資して、年間のリターンが5%として、5年後どうなるかというと、
1.だと126.6万円、2.だと122.2万円、という計算になるはず。
5年間で得られる利益は16%も違うんですね。わずかな差が大きな差である。
ただ、この商品は銀行の窓口で取り扱っている商品の中ではよい方だと思う。
銀行の窓口にはもっと割に合わない投資信託がゴロゴロ転がっていると言う。
そういうのにダマされずに低コストで稼げる投資信託を見つけられるかがポイントである。
つみたてNISA対象の投資信託はこの点で厳選されたものと考えて良い。
しかし、そういう低コストな商品はインターネット取引じゃないと見つけられないかもね。
というわけで、投資にはいろいろな罠があるのである。
ただ、リスクと利益のバランスに優れた投資方法というのはいくつかあって、
その中で自分の目的にあったものを選んで、それをマネしてやってみるというのはよいことではある。
でも、金融機関はそういう優れた投資方法を教えてくれるとは限らないですから。