専用機はブリュッセルに退避した

エリザベス女王が亡くなってまもなくこういう話があった。

バスで移動、自家用機は自粛を 女王国葬控え各国に要請―英 (JIJI.COM)

葬儀に参列する人の地位や人数は国によりけりである。

ただ、できるだけプライベート機を使わずにロンドンに入るようにとか、

会場入りはバスで乗り合わせてとか、なかなか要人輸送としては異様な面もある。


とはいえ、確かにイギリスともなれば、深い関係のある国は多いわけである。

そんな中で一斉にプライベート機で押し寄せれば、駐機場がパンクすると。

駐機場のパンクを避けるために他の空港に退避してもらうという考えもあるが、

それだって短時間に集中すると対応しきれないという問題もあろうと。

このため定期便の利用を推奨することは一理あると思った。

結局は定期便で移動するのが最もスムーズというのはそうかもしれない。


その上で日本はどうなのだろう?

今回は皇室とイギリス王室の関係を考慮して、天皇・皇后の参列となった。

となると、通常は政府専用機での移動となるが、果たしてどうなるか?

定期便の利用というのもあるかもしれないと思ったが、結局は政府専用機での移動となった。

政府専用機は普段は千歳基地にいるので、まず東京の羽田空港に呼び寄せる。

そうしてカナダ上空を経由して、ロンドン郊外のスタンステッド空港に到着。

この空港はロンドン中心部から48km離れており若干遠いが、距離だけ見れば東京~成田空港(60km)より近いぐらい。

Ryanairが多くを占めており、LCC専門空港のような面もある。

まもなく専用機は離陸し、ベルギーのブリュッセルへ向かった。ここで待機と。

帰りはこの逆でブリュッセルからスタンステッドに行き、カザフスタン上空を経て羽田空港へ、千歳基地へ戻っておしまいと。


ブリュッセルに向かったのは空港の混雑対策として要請を受けたものかとおもったが、

他に専用機で乗り入れた国ではこういう対応はなかったようである。

すなわち要人を輸送した機材はそのままスタンステッド空港に留まっていたと。

もっとも要人輸送にあたっては予備機が追っかけることが一般的であり、

日本の政府専用機は80-1111号機と80-1112号機の2機がセットで運用されている。

上に書いたのは実際に関係者を乗せて飛んだ80-1111号機の話である。

予備機の80-1112号機はスタンステッド空港を経ずにブリュッセルへ向かい、

帰りはブリュッセルから離陸し、羽田空港も経ずに、千歳に帰っている。

なので人のやりくりの都合とか、あるいは機体整備に好都合とか、

そういう運航上の都合で80-1111号機もブリュッセルに駐機となったのかもしれない。


というわけで、多少都心から遠い空港が割りあてられたものの、

それ以外はそこまで問題はなかったのかなと思う。

それで済んだのは要請を受けて定期便でのロンドン入りを選んだ各国関係者のおかげかもしれない。


会場入りがバスに乗り合わせとなるのはほぼ例外はなかったようだが、

アメリカ大統領とイスラエル大統領はその限りでは無かったそう。

おそらく客観的に見て敵が多いということでこうなったのではないか。

それ以外の各国王族、各国首脳はバスで会場入りをしたそう。

専用車での来場が認められたのがよかったかというと、必ずしもそうではなかったようで……

「米大統領 国葬で14列目のワケ」「日本の天皇の姿も」… 米英メディア報じる (Yahoo!ニュース)

なんとアメリカのバイデン大統領は道路渋滞の影響もあって遅刻してしまったらしい。


というわけでイギリス王室あるいは政府関係者が大変な苦労をしたことはよくわかる話だった。

多くの国から参列者があったわけだけど、やはり優先順序というものはあって、

最優先がイギリス国王が国家元首である国々、イギリスやカナダなどの関係者でしょう。

これはもう間違いなくて、やはりここが最優先で参列できなければ困ると。

それに次いで、旧イギリス領の国々とか、王室同士の関係が深い国々とか、

もしかすると日本も皇室との関係は考慮されたかも知れない。


ただ、基本的には独立国同士は対等な関係であるべきですから、各国できるだけ均等になるように配慮しているのだとは思いますけどね。

専用機でのロンドン入りを認めるにあたっては、郊外の空港を使わせ、定期便でのロンドン入りに不都合とならないようにしたわけだし、

専用車での来場を認めたのは、客観的に見て警護が難しい人に限ったということである。

かなり注意深く考えられたものだったのではないか。