昼にBSを見ていたら音声がブツブツ切れたり、映像が乱れたり。
真っ黒になってしまったこともあった。しばらくしてなおったけど。
これは自宅にアンテナを設けてBSを見ているひとはよく知っていると思うのだが、
降雨減衰といわれるもので、雨が降るとBSの電波が弱くなるんですね。
これは衛星からの電波を受信している限りはCATVでも発生するのだが、
CATVの場合は複数の受信点を切り替えることで影響を軽減している。
ただ、切り替えにタイムラグがあって、全く影響なしとはならないことが多い。
さらにCATV会社の営業エリア内に数箇所あっても、全滅ということもありうる。
うちの場合、BSはフレッツテレビ経由で受信している。
この場合、スカパーJSATが都道府県単位で複数設けた受信点で受信している。
具体的にどれぐらい分散させているのかわからないけど。
おそらく今回は受信側の問題だと思うが、実は送信側でも降雨減衰というのがある。
もしそれが起きてしまうとBSの全受信者に影響が出るので大問題である。
BSのアップリンク局ってどこにあるかご存じですか?
実は主局があるのは東京・渋谷のNHK放送センターなんですよね。
他の民放もここに集められて静止軌道上の人工衛星に向けて送っている。
とはいえ、ここ1箇所だと降雨時に送信できなくなるので、
もう1つ、久喜市にあるNHKのAMラジオ送信所にもアップリンク局がある。
2つともNHKの施設内にあるのは歴史的な経緯もあるのだろう。
これぐらい離して2箇所のアップリンク局があれば、同時にダメになることはない……
と思っていたのだが、同時にやられることもあったので、対策として2015年に君津市に元々あった放送衛星管制所に3つ目のアップリンク局が設けられた。
ところで、NHKは東京の放送センターが機能しなくなったときのために、
大阪放送局と福岡放送局にBSを含む全国向けの放送を代替できる備えがある。
このため、NHK大阪放送局と福岡放送局にはBSのアップリンク局があることが知られている。
ただ、あくまでも東京の放送センターが機能しないときのためのものである。
ゆえに平時には関東圏の3つのアップリンク局で対応する必要があると。
NHK以外の局の都合もありますからね。
一方、BS放送と似たようなものとしてCS放送があるが、
こちらも同じように衛星からの電波を受信すると降雨減衰の影響があるが、
実は多くのCATV局ではHOGシステムと言って、CS放送局からは光ファイバーで映像を受信している。
ここに「新システムの伝送方式でさらに高品質に」と書いてあるけど。
このためCSについては天候の影響を受けることがないわけである。
光ファイバーでの伝送が適しないため、衛星経由でCS放送を受信するCATV局もあるとは思うが、少数派といってもよいと思う。
本質的に降雨減衰の影響を受けない方法は無いのか?
そもそも降雨減衰の影響を受けやすいのは周波数が高いから。
BS放送あるいはCS放送の特色として多チャンネルで高画質というのがあるけど、
それは帯域を広く取れる周波数帯を使っているからこそのこと。
そのため、高画質・多チャンネルと降雨減衰の回避は両立しないわけである。
もっとも2.6GHz帯というのも世界にはあって、日本でも行われていた時期はあった。
それこそが「モバHO!」である。制度上は衛星放送によるラジオだったらしい。
実際には簡易動画という位置づけでテレビ放送もあったが画質は低かったはず。
というわけで降雨の影響を受けない場所を選んで使うというのが答えになると。
もっともCS放送だとCATV局の多くには光ファイバーで伝送されているなら、
BS放送も同じようにCATV局には光ファイバーで伝送すればよいのでは?
と思うのだが、権利上の問題で衛星からの電波を受信する必要があるらしい。
同じような話は地上波のテレビにも言えることである。
地上波の場合、極端な長距離受信をしなければ天候の影響はないだろうけど。