風俗営業ですらない

ニュースをパラパラ見てたら驚くべきことを知った。

かんなみ新地は戦後間もない1950年ごろ、遊郭として始まった。58年の売春防止法施行により遊郭は廃止されたが、一部の店は「飲食店」の名目のまま風俗サービスを提供し続けていた。

(【「かんなみ新地」尼崎市が土地取得へ】「飛田新地とは対照的…」尼崎の色街“かんなみ新地”で70年続いた「警察の黙認」が終わった“ウラの事情”《遊郭が一斉閉店》 (文春オンライン))

ちょっと前に尼崎市の「かんなみ新地」が一斉閉店に追い込まれたニュースがありましたが、

あそこにあったのは、制度上はスナックのような一般の飲食店だったということ。

他の資料も確認したがそれで正しいらしい。そんなところで実質的に売春が行われていたという。


そもそも日本には売春防止法があり、おおっぴらに売春宿の経営はできない。

しかし、売春以外の正当な名目があって、異性を仲介する商売はある。

その一部では実質的には売春が行われているが、そこに店は関与していないという体を取ることで売春防止法の規制を逃れることができることが知られている。

本当にそれで違法性を逃れうるかというと、難しいところはあるのだが……


ここには多種多様な方法があり、その1つが「ちょんの間」というもので、

大阪市の飛田新地で行われているのが有名で、かんなみ新地もこれに類似する。

飛田新地では「料亭」と呼ばれているが、風俗営業の1号営業として許可を得ている。

これは「客の接待をして客に遊興又は飲食させる営業」である。

これにより従業員に「接待」させることは正当な業務として認められる。

その接待とは実質的に売春と言われているが、その内容には店は立ち入らない。


しかし、かんなみ新地の場合は立地から風俗営業を行うこと自体ができない。

風俗営業というのは立地面での規制が厳しいのが課題である。

そのため生まれた業態の1つが「スナック」とか「ガールズバー」と言われている。

カウンター越しの接客であれば「接待」には該当しないのではないかということである。

ちょっと怪しいところもあるのだが、客と同席する接待とは異なることも確か。

しかし、かんなみ新地では、それを飛び越えて「接待」が行われていた、しかもその内容は実質的に売春となれば大問題である。

また、風俗営業に課せられる規制を受けないことから、周辺地域の環境にも影響を及ぼしていた。

しかし、それが摘発されるまでにはだいぶ時間を要したというのが実情ということ。


というわけで、無茶苦茶なことをやっていたのが かんなみ新地 だが、

実は東京都でも、なんら許可を取らずに実質的に売春が行われている店舗があるという。

というかさっきのニュースから芋づる的に発見したんだけど。

「隣の部屋からあの声やパンパンという音が」摘発された秋葉原のリフレ店で働いていた女性キャストが語る衝撃的な内情 (文春オンライン)

秋葉原などで見られる「リフレ」というものなのだが……なんだそれ。

マッサージ店みたいなもんですね。東京都条例における定義ではこうなっている。

(なぜこれが条例で定義されているかは後で書く)

店舗を設け、当該店舗において専ら異性の客に接触し、又は接触させる役務を提供する営業

他の法令にかからない限り「リフレ」は特別な届出なく営業できる。

このリフレにおける施術(?)内容の中には「裏オプ」という、客とキャストの直接交渉によって決まるメニューを持つ場合がある。これが問題である。


特別な許可を得ずに営業するリフレでは売春以前に性的なサービス自体が表向きは存在してはならない。

しかし、「裏オプ」という形で、売春を含む性的なサービスが提供されている店があるという。

ここで摘発された店もそういう店で「裏オプ」を提供しないキャストはいないという噂だった。

というのも――

「エース秋葉原」では、30分コースのお客さんが1人ついて500円、60分でも1000円しかもらえず交通費も支給されない。待ち時間も時給は発生せず、店側もキャスト側も“裏オプ”ありきのシステムなのだ。当然A子さんも収入のほどんとは“裏オプ”によるものだったという。

さすがにこれでは真っ当な「リフレ」とは言いがたい。

しかも、その裏オプというのは大概において売春である。

この実態よりこの店は売春場所の提供とみなされ、売春防止法で摘発されたという。


さっき「リフレ」の業務内容が東京都条例で定義されていたのを不思議に思った人もいるかもしれない。

2017年に「JKビジネス」を規制する条例「特定異性接客営業等の規制に関する条例」が制定された。

JKビジネスについて必要な規制を行う「特定異性接客営業等の規制に関する条例」 (警視庁)

当時は「JKリフレ」「JKお散歩」などという18歳以下が従事する店が多く見られた。

風俗営業であれば18歳未満の人は従事できなせんから、そうでないことが前提である。

しかしその実態は風俗営業に近く、18歳未満による売春の温床にもなっていた。

犯罪行為に巻き込まれるものも多かったという。

そこで2017年に制定された条例ではそこで高校生を連想させるような看板を掲げ「リフレ」「お散歩」などのサービスを提供する店を対象として、

18歳未満が従事できないなど部分的に風俗営業と同等の規制をかけることにした。

これが東京都条例でリフレについて規定されている理由である。

ちなみに「散歩」は下記の通り規定されている。

専ら異性の客に同伴する役務を提供する営業


この条例の目的には、風俗営業の許可を取らないことのメリットをつぶす目的もあったと思う。

(本条例は風俗営業の許可を取っている業者には適用されない)

事実、リフレの中には性風俗特殊営業の許可を取っているものもあるという。

しかし、風俗営業をするには立地面での制約が厳しい。

先の条例は高校生を連想させるものが規制対象のため、そこを逃れた形で続いている店はあるという。

その中には売春の温床となっているものもあるという。

売春場所の提供という形なのか、店外での「お散歩」という形なのか。実態を知るのはより困難化している。


全般的に言えることだが、風俗営業の許可を取るのはいろいろ制約が多い。

まず立地が難しい。そして18歳未満は従事できず営業時間の制限もある。

立地の難しさは無店舗型にすることで逃れることが可能な場合もあるが。

このような問題を打開するためか「パパ活」に代表される個人間取引への移行というのもあるらしいが、

これは店などの後ろ盾がないということでもあり、危険性が高いという側面もある。

厳しい法規制の行き着くところは、そういうところだったりする。


とはいえ、かんなみ新地にしても、無許可で性的サービスを提供するリフレにしても、

無許可で堂々と看板を掲げる店が排除されることは一定程度意味があるんだろうなと。

そこから実態の解明が難しく危険な個人間取引などに移行する人はいるかもしれないが、

それは困難なのでやめて真っ当に暮らそうという考える人も少なくないはず。