議会と市長が対立するもんではない

こんなニュースを見て、読み進めるともっとすさまじい事例もあった。

メガ銀出身の市長、「居眠り議員は要らない」と半減条例を提案へ…対立エスカレート (読売新聞)

安芸高田市で市議会の議員定数を16人から半減して8人にするという条例案を提出しようとしているという話。

市議会の定数が8人は異様に少ない気はするが……

議員定数10人未満の町村はわりとあるけど、議員のなり手が少ないほど人口が少ないことが多いように思え、さすがにそこまでではないだろうと思う。

まぁこの条例案が可決される可能性はほぼないと思うが。


本質的な話はそこではなく、市長と議会の対立が長期化していることですね。

この記事では「民間出身の首長と議会が対立し、行政が混乱する事態は各地である」と記載されている。

市町村長といえば、元都道府県議会議員とか元市町村議会議員とか、あるいは元市町村職員とか、そういうのが多い印象である。

これらの人たちは行政と議会の関係をよく知っている。

もちろん市町村長と議会で意見が食い違うこと自体は起きるんだけど、

そもそも直接選挙で選ばれた市町村長に議会が異を唱えるのは限定的だし、

その上で議会で否決されるような議案はそれなりの理由があると、

一旦引いた上で再提案するか考えるようなことが多い印象である。

選挙の公約だとしても、議会に否決されたので――と有権者に説明しやすい面もある。


まだ、安芸高田市の場合は政策が空転するぐらいで済んでいるが、

山梨県忍野村では21、22年度一般会計当初予算案を可決できず、建設会社出身の天野多喜雄村長がいずれも議会の議決を経ず、専決処分する事態となった。

そんなことある? って。

専決処分というのは地方公共団体の長が議会の議決によらずに条例や予算を制定することをいう。

2タイプあって、1つはあらかじめ議会から委任された事項の専決処分。

もう1つは、議会での議決が間に合わない場合に行われる専決処分。

通常は議会が閉会している期間に災害対応などで行われることが多いのだが、

忍野村では当初予算案を議会が可決しないという理由で、専決処分をしたのだという。

議会だよりを見ると議会では予算案の一部を修正したりというやりとりをしているようだが、当初予算案の議決を迫ったという状況らしい。

ちょっと詳しく読めてないですけどね。異常事態には違いないのですが。


専決処分が認められている背景には市町村長・都道府県知事は住民からの直接選出であることがある。

一方で本来は議会で決めるべきことを専決処分で決めることには慎重であるべきという話はあり、

東京都知事が新型コロナウイルスの条例・予算を専決処分で大量に決定したことに、

議会の一部会派が議会の臨時会を開いて決めるようにと申し入れたことがある。

コロナ対策に専決処分次々 6会派「臨時議会で審議を」 (朝日新聞デジタル)

確かに予算などの裏付けがない状態で休業要請の協力金を出すわけにもいかないし、

国の定めた要綱に従って協力金など出しているだけという面もあり、

議会が否決するような話ではないのだが、議論する場がないことは問題であろうと。

こういう事態も念頭に通年議会を導入しているところもあるが。

議会が開かれていないところから召集するには長の関与が必要である。

それに対して、通年議会の場合、休会中も議会の判断で議会を再開できる。

緊急時にも積極的に議会が関与しようという意思である。


議会の実効性を疑うところはいろいろあると思うのだが、

ただ、市町村長・都道府県知事の暴走を食い止める面では一定の効果があるとは思っている。

このような対立に対して議会が横暴であるという感想を持つことがないとは言えないが、

しかし議会は多人数で構成される機関ですから。

議会としての決定はそれなりに分がある主張だと思う。


ちなみに冒頭で出てきた安芸高田市の市長ですが、

この人が市長に選出された背景には、2019年の参議院選挙前に広島県で行われた買収事件で前市長が辞職したことがあるそう。

汚職事件の反動がこのような形で表れたのは、それはそれで苦しい話である。


これは政治家とは全く違う話ですけど。

『給食停止』は回避できなかったのか…毎朝おかず作りに頭を悩ます保護者だけでなく”業者”も市の対応に憤懣 「貧困・いじめ問題」への懸念も (MBS)

東大阪市で給食の配送を行う業者が車両を用意できなかった問題が報じられた。

(先月23日に全ての小学校での給食が再開されている)

なぜ実績の無い業者に発注することになったのかというと、

前の業者は去年、四條畷市の官製談合事件で入札の参加停止となり、新しい業者が配送業務を落札しました。

すなわち前の業者と契約を続けるわけにはいかなかったのである。

それで新しい業者を選んだら専用車の確保に想定以上に難航した。

そこで前に契約していた業者から車両を借りられないかと交渉したが拒否。

結果、契約が履行されないという理由で新しく契約した業者とも契約解除された。

現在は給食調理を委託している業者に配送まで対応してもらっているらしい。

ルールを守らない人・業者に退場を迫った結果、こういう被害を受けるのは苦しい話である。