新型コロナウイルスについて感染者の報告数はやたらと多いのだが、
重症者数・死者数となると、そこまで目立たない。
東京都では最近1週間、毎日3000人以上の感染者数の報告がある。
しかし現在、人工呼吸器を要する重症患者はわずかに7人である。
この重症患者の数え方が過小という考えもあるし、発症から重症化まで時間差があることは考慮が必要だが、一時は300人近くまで膨れあがった数字である。
まして死者数で言えば、日本全国で最近1ヶ月で58人と出ている。
(この数字は死因が新型コロナウイルス感染症であるということとは必ずしも一致しないので、やや多めに出ているが)
報告数が増えているのは実際に患者が増えているからというのは事実であろう。
東京都での#7119の発熱相談は年末年始は医療機関が休みで一時的に増えたが、
これは年始にはある程度戻ったが、最近1週間は明確に相談数が多い。
また、重症患者数はかなり少ないが、入院患者自体はけっこう多くて、
東京都での入院患者は1629人で、ピーク時で3000人超だったことを思えばけっこうな数字。
もっともその当時よりスムーズに入院できる体制があるからこその数字でもあり、
なかなか単純比較できないが、しかし宿泊療養に2623人いる中で、
入院が必要な程度には症状が出ている人がそれだけいることは軽視できないだろう。
この状況についての評価は難しいなと思う。
東京都の重症患者数の数え方は人工呼吸器が必要な患者数という厳しい基準である。
国に重症患者数として報告する集中治療室に入っている人数だと277人なんですよね。
オミクロン株の症状は重い肺炎として現れることが少ないから、東京都の集計基準では重症者数が少なくなりすぎるのではという指摘は一理あるかも知れない。
しかし、新型コロナウイルスが大変なのは重い肺炎を起こすからであって、
もしこの症状が出にくいのなら、今までよりは軽視できるのでは? とも言えるかも知れない。
しかし、この点については定説はまだ定まっていないように思われる。
なにより、去年の夏以降に苦しめられたデルタ株だって蔓延しているわけだし。
ワクチンの普及が進んだ結果ではないかという見方もあるとは思うが。
発症を防ぐ効果は不十分としても、重症化を防ぐ効果は高いはずだからと。
ちなみに直近の報告だとワクチン接種状況が判明している分で、
ワクチン2回接種済が65%、ワクチン接種無しが34%とか出ている。
ワクチン普及率が全人口に対して78%、12歳以上で86%と考えると、
若干ワクチン接種無しの割合が高い気がするが、しかしこれはワクチンの効果なのか、
ワクチン接種に消極的な層と、感染対策に消極的な層が被るだけなのかはわからない。
それで重症化すると目も当てられないのだが、目立つほどではなさそう。
無症状者への検査をやりまくった結果かな? とは思ったけど、全体にしてはそこまで多くなさそう。
東京都が独自の検査として無症状者対象に行っているもの合計して、
1月第1週で陽性疑い(自動的に感染者数として報告が上がるわけではない)が541件、
日当たりに100人いるかいないか、日当たり3000人とか報告があるのに比べれば大した数字ではないでしょう。
圧倒的に有症状で医療機関で診断されているのだろう。
今後、重症患者・死者数が急増する可能性は否定できないが、
しかしそれならばもう兆候として見えていてもよさそうなもんではあって。
結局のところ、診断される人数ばかり増えると、濃厚接触者がかさむということであり。
濃厚接触者の待機期間短縮など 全国の自治体に通知 厚生労働省 (NHK)
濃厚接触者の自宅待機が14日間というのは過大に過ぎるというのはそうで、
とりあえず10日間でよいのではないかというのは概ね妥当かなと思う。
しかし「エッセンシャルワーカー」は条件付きで7日間に短縮して良いというのは、
これは医療機関が回らなくては困るからという場当たり的な対応という印象もある。
それで痛い目を見ることになっても構わないのかということである。
いずれにせよ感染対策である。
感染者数の増加ペースを抑え、減少に転じさせることができれば、
それは入院患者も重症患者も死者数も濃厚接触者も減らすことにつながる。
ある程度は基本的な対策は行き渡っているとみられるが、なお一層の取り組みが求められる。
東京都などでは病床使用率が一定以上に達したこともあって、まん延防止等重点措置が出るとのことである。
やるべきことはあまり変わらないが、飲食店の営業は制限がかかることになる。
しかしもうすでに客が減っているという話はありますけどね。