ダート競馬での大快挙

今日は早起きしてアメリカのブリーダーズカップ(BC)を観戦。

ラヴズオンリーユーの出走するBCフィリー&メアターフが5:59発走だからね。

BCターフに回った有力牝馬もいることから、日本では1番人気に推された。当地でも人気だったらしい。

結果は見事優勝だった。

デルマー競馬場はコンパクトな競馬場で、芝も香港や日本の札幌競馬場に似ているということで、

地方開催のダートグレード競走で驚異的な成績を残してきた川田騎手と香港のクイーンエリザベス2世カップで優勝し、札幌記念2着のラヴズオンリーユーのコンビは強かった。

こうしてラヴズオンリーユーは日本調教馬初のBC制覇、そして3つの国(日本・香港・アメリカ)でG1優勝した初めての日本調教馬となった。


これだけでも大快挙だったのだが、牝馬限定ダート戦のBCディスタフに出たマルシュロレーヌ、

アメリカの有力牝馬相手に僅差ながらに優勝を果たした。

これは日本調教馬で初めての海外ダートG1制覇である。

その海外がドバイやサウジアラビア(来年からサウジカップがG1になる)ではなく、ダート競馬の本場、アメリカになると思ってた人はなかなかいないのでは?

なお、これらはヴィクトワールピサがオールウェザー(人工馬場)で行われた2011年のドバイワールドカップで優勝したことをダートの結果と数えない場合の話である。(JRAの記録では便宜上ダートになっている)


日本での馬券発売はなかったが、当地では最低人気の単勝51倍だったという。

日本のファンはワンチャンあるかもねと思ったかも知れないし、

矢作調教師も勝利インタビューで「なんでそんなにバカにされてるのか不思議でした」と語ったほどだという。

日本の競馬ファンは彼女の戦績を見て、牝馬限定のダート重賞4勝していて、

近日中に日本国内に適したレースがなく、アメリカ遠征を決断したことはわかっただろう。

でも、日本では東京大賞典以外の地方開催のダートグレード競走は国際的にはリステッドレース扱いである。

このためリステッド4勝、重賞での戦績は平安ステークス(GIII)の3着までの馬にしか見えない。

さすがにこれでは買えないだろうなと思う。

日本のダート競馬に深い興味を持っているアメリカの競馬ファンなんてそうそうおらんでしょ。


ちなみにこのレース、グリーンチャンネルでは生中継ではなかった。

放送時間中のレースではあり、できるだけ早くVTRで報じたいという配慮はあったが、あくまでも録画。

おそらくは日本国内での馬券発売がないので、契約上、生中継はできなかったのだろう。

JRA海外馬券売上の一部は当地の主催者に支払われるが、それはテレビ中継の対価という名目であることも多いという。

海外競馬中継で馬券発売対象外のレースも生中継するケースもあるが、BCはダメだったらしい。

補欠システムのため日が変わって深夜1時発売開始、早朝発走というので馬券売れるのかと心配してたが(cf. ブリーダーズカップの馬券は売れるか)

対象の3レースは4.2億円・4.5億円・5.5億円と海外馬券としては悪くない数字。

一番売れたのが日本からの遠征馬のいないBCターフってのがなんとも言えないが、発走時間の問題でしょうね。


こうして見ると日本国内のダートレースに格付けが伴わないのが課題だなと。

ただ、レースレーティングを見ると現実的に難しいんですよね。

日本には牝馬限定ダートのG1級レースはJBCレディスクラシック(JpnI)しかない。

しかし、GIはおろかGII取得にも少し足りないし、持ち回り制と考えると国際的な格付け取得は難しい。

(アジアでは持ち回り制のレースの格付けルールがなく、それも困難な理由である)

レディスプレリュード(マルシュロレーヌが昨年優勝)、エンプレス杯(マルシュロレーヌが本年優勝)は、

日本国内ではJpnIIの格付けがあるが、レーティングを見る限りG3級であり、なかなか厳しい。

大井・川崎ともに国際競走の実績はあるので、国際的な格付け取得は可能かもしれないが、

マルシュロレーヌの大快挙を考えても、エンプレス杯の国際GII取得は困難でしょう。

札幌記念がGIじゃないのは国際交流にとって残念だとか書いたけど(cf. スーパーGIIは偉大な前哨戦?)

ダートはレーティングが足りなくてどうにも身動きが取れないのが本当に悔しい。


それにしてもラヴズオンリーユーもマルシュロレーヌもタイミングがよかった。

BCは持ち回り制であって、競馬場によって輸送もコースもだいぶ違うわけである。

デルマー競馬場は日本からの輸送も比較的よく、芝も日本に近いものだった。

しかし、毎年そういうわけではない。ここにピタリとハマる馬がいたのは幸運だった。

あと、もう1つの課題としては、BCの種牡馬登録・産駒登録である

BCはアメリカでは高額賞金のレースとして知られるが、その原資は生産者から巻き上げた登録料である。

本来は種付料に応じた種牡馬登録料を支払った種牡馬の子が、当歳(0歳)に産駒登録料を納めることで挑戦可能なレースであり、

これにあてはまらない馬は、父親の種牡馬登録がない場合20万USドル、ある場合でも10万USドルの現役馬登録料が必要である。

これはBCチャレンジ指定競走の優勝馬でも例外ではない。

しかし、これでは外国からの遠征馬が期待できないと、北アメリカ以外の種牡馬には特例があり、

種牡馬登録料が割引された上で、産駒登録料を納めずとも自動登録されることとなっている。

ラヴズオンリーユーの父、ディープインパクトも、マルシュロレーヌの父、オルフェーヴルも、

ともにこの制度の対象となる種牡馬であり、このため高額の現役馬登録料は不要だった。

しかし、日本の馬でもこれにあてはまらない馬は少なくなく、実際それでBC挑戦を断念した馬も過去にはいるという。

あとは単純に登録料と遠征費ですね。これはそれぞれ数百万円という話だが。

3~4着内ぐらいに入らないと元取れないんじゃないかな。かなり厳しいと思う。


余談ですが、メインレースのBCクラシックの優勝馬はKnicks Goだったんですけど、

この馬って韓国馬事会がアメリカで所有している馬なんですよね。

アメリカ生まれ、アメリカ育ちなので馬自体はあまり韓国とは関係ないのだけど。

日本馬が2勝したBCで、馬主が韓国の競馬統括団体の馬が優勝するのでアジア色は強かった。

引退後は韓国で種牡馬となるのだと思ったが、アメリカのチャンピオンホースとあってはそうもいかず、

しばらくはアメリカで種牡馬生活を送ることとなったそうだ。アメリカ競馬界への奉公ですかね。

とはいえ、韓国へ渡る計画はあるらしく、これが韓国競馬の発展につながればいいですね。