日本がノーベル賞の舞台なのは珍しくない

毎年なんやかんやと話題となるノーベル賞、

自然科学分野では日本人の受賞も多く、今年は日本出身の真鍋淑郎さんが地球温暖化をシミュレーションで解明した業績で物理学賞を受賞したことが大きく報じられた。

日本で博士の学位を取るも、アメリカに渡り研究に打ち込み、現在はアメリカ国籍取得、

だから今は日本人ではないが、元日本人ではある。


このことを嬉々として報道するのは日本の恥ではないかというような人がいる。

というのも、日本で学位まで取るも、日本国内に活躍の場がなく、アメリカに頭脳流出させてしまったという失策の象徴ではないかと。

そういう観点もあるのかもしれないが、それはそれとして喜ばしいことではないかと思う。

もしも真鍋さんが日本出身でなくても、おそらくこのニュースは大きく報じられただろうから。


この気象のコンピュータシミュレーションというのは、わりと一般の人にも知られている。

真鍋さんはアメリカに拠点を置いて研究していた期間が長いが、日本で研究していた期間もある。

1997年~2001年の4年間で、地球シミュレータの立ち上げに関わっていたらしい。

【アーカイブ】温暖化研究、第一人者失う 真鍋博士が米に「帰国」 (朝日新聞デジタル)

1997年に日本に渡るときには、アメリカから頭脳流出と嘆かれたが、結局戻ったという話。

地球シミュレータを使った研究を率いるのは向いていないというそういう決断だったようだ。

この地球シミュレータは台風など気象予測というところで一般の人々の身近なところで活躍している。

真鍋さんが日本の研究者かアメリカの研究者かということは置いておいても、

日本の研究者がこの分野での貢献として大きいことは明らかであろうと。

ノーベル賞の受賞者は最大でも3人、でもそこには多くの研究者が関わっているわけである。

だから、ノーベル物理学賞の受賞テーマに関連して報じられたのは必然ではないか。


一方で真鍋さんがアメリカで研究していた期間は長く、アメリカでの研究仲間も多いのは確かで、

アメリカに長く住む人はサクッと帰化してしまうのは珍しくないので、

そうして考えれば間違えなくアメリカの研究者が受賞したということである。

でも研究者っていうのはそういう人たちだから、というのはもうわかっているでしょう。


というのもその逆もあり得る話で、実際にあったのである。

今年のノーベル化学賞は有機触媒の研究で2人が受賞したのだが、

そのうちドイツのベンジャミン・リストさんは北海道大学で研究活動をしている。

ノーベル化学賞 ドイツとアメリカの研究者2人 有機触媒の研究 (NHK)

わりと日本でも熱心に研究されている分野らしい。

実際、2010年と2001年に日本人を含む研究者数人が触媒の研究でノーベル化学賞を受賞しており、

この分野での日本の研究者の貢献は認められているとみてよいだろう。


大学に金がないとか、博士になっても食えないとか、研究活動においての課題はいろいろ言われるが、

こうして自然科学への興味が大衆に広がっているのはよいことなんじゃないかと思う。

自然科学分野のノーベル賞受賞者をけっこうな頻度で輩出しているという動機はあるが、

受賞者に名を連ねることができなくても、関連する日本での研究や応用の取り組みが紹介されたりするし、

ノーベル賞に限らず、自然科学での大きな業績は一般に大きく報じられることは多い。

ABC予想の証明論文、ついに出版 8年半かけ数学誌に (朝日新聞デジタル)

京都大学の望月新一さんが数学の難問「ABC予想」を証明したという論文が正式に掲載されたという話である。

けっこうニュースになってましたよね。数学者の間でも難しすぎて理解できないって話はあるけど。


なによりノーベル賞を受賞するような研究というのは、世界にとっての大きな成果であるとも言える。

本当はそれだけで話題になってもいいはずなんだけどね。

実際に日本人の受賞が珍しくないがゆえに注目を浴びすぎているとも言えるが、

表面的に日本人が受賞しましたというところに留まらない報道はされていると言えるのではないでしょうか。