駅弁はBentoだよ

こんなニュースを見て思いだしたことがあった。

「鶏めし」駅弁、パリに出店へ 駅弁の文化がないフランスで挑戦 (朝日新聞)

秋田県の大館駅前にある弁当屋、花善がパリのリヨン駅に弁当屋を半年間出すという話。

列車旅に弁当というのはフランスでは全く根付いていないが、挑戦する価値はあるだろうということである。


で、この店名が”EKIBEN ToriMeshi Bento”いうんだそう。

Torimeshiは同社の看板メニューの鶏めしのこと。

EKIBENは言うまでもなく駅弁だし、Bentoは言うまでもなく弁当である。

いろいろ考えた結果こうなったんだろうなと思った。


このニュースを見て思いだしたことというのは、JR東海の売店の取扱商品を掲げているところに、

「駅弁 Ekiben」という記載があったことで、これは果たして外国人に理解できるのかな? と思ったのである。

とはいえ、この駅弁に相当するローマ字表記をどうするかというのは、これは突き詰めると難しい。


多分、一番的確で伝わりやすいのは Bento だと思う。

というのも、日本の弁当というのは、いろいろな形で世界に知られており、案外これが通じるという。

便當局呼ばわりされるわけ

これは台湾における日本由来の外来語としての「便當」の話を主に書いている。

アメリカやヨーロッパでも日本式の弁当が渡っており、Bentoと呼ばれているらしい。

もしBentoという言葉で伝わるなら、それは日本式の弁当そのものなので、もっとも誤解がないわけである。


「弁当 Bento」という看板は比較的わかりやすいが、

一方で日本国内の事情を言えば「駅弁」というブランドを使いたい事情もある。

駅で売る弁当だから駅弁ということで日本語がわかる人なら理解できますよね。

しかしEkibenと言われても、駅で売るBento”いう意味は理解できるのだろうか?

だから僕は「駅弁 Bento」という表記がもっともよいのではと思ったが、これはこれで漢字とローマ字の対応関係がおかしいと言われそうだし。

これは「駅弁 Ekiben(Bento)」ですか? でもこれはこれで理解の妨げになるかな。


まだ、駅弁は “Eki” と “Bento” を合成して “Ekiben” というのはローマ字で見ても理解しやすい。

ただ、日本語ではくっつけると音が変わる言葉がけっこう多く、これは日本語を知らない人には難しい。

その難しさにローマ字表記では妥協した一例が、株式会社のローマ字表記 “Kabushiki Kaisha”、略して”K.K.”だろう。

単純にローマ字表記にすれば “Kabushiki gaisya” となりそうだが、これでは会社(Kaisha)との関係性がわかりにくい。

そのためか日本語では「かぶしきがいしゃ」なのに、ローマ字表記では「Kabushiki Kaisha」とするのが慣例となっている。

日本でも「味の素KK」のような表記を見ることがありますよね。(調味料「味の素」と社名を明確に言い分けるために使われることがある)

もっとも、味の素株式会社 の英語表記は “Ajinomoto Co., Inc.”なんですけどね。

英語表記でK.K.を使っていた会社として有名だったのが ボーダフォン株式会社(現在のソフトバンク)で”Vodafone K.K.”という表記だった。

この表記で日本法人であることを表していて、日本の法制度における株式会社(K.K.)であることを強調していたわけですね。


話を戻して、駅弁のローマ字表記というのは案外難しいのである。

駅弁を英語表記にすれば “Railway Mealbox”みたいな感じになるのかも知れないが、

日本式の弁当があえてBentoとして外国語でも定着している実情からすれば、それは適切ではないのだろう。

かといって、日本語の駅弁をそのままローマ字表記にすると、これは駅で売る弁当というのは理解されにくいだろうと。

日本語を外国語に訳する難しさと、外国人に日本語を理解させる難しさが交錯しているんじゃないか。