それ公正取引委員会なんですか?

iOSアプリでアプリ内から外部サイトでの決済へ誘導することを部分的に認めるという話があったが、

実はこれは日本の公正取引委員会がアップルとやりとりした結果の譲歩だったらしい。

高い「アップル税」めぐり粘り強く調査 公取委、異例の譲歩引き出す (朝日新聞デジタル)

書籍・音楽・映像といったコンテンツの閲覧に利用するリーダーアプリが対象で、

従来からWebサイトで購入した物をアプリで利用することは認めていた。

しかし、アプリから外部サイトでの購入に誘導することは禁止されていたという。


実はここのポリシーはAndroidのGoogle Playと違ったところでもある。

両社に共通するのは、アプリ内でコンテンツ購入に使える決済手段はApp Store・Google Playのみということ。

(ただし、アプリ内での決済でもアプリ内で利用しない物の代金は他の支払手段を利用してよく、通販アプリなどはそれにあたる)

しかしながら、Google Playは外部サイトに誘導すること自体は禁止されていないという。

あと、アプリ外でも利用できるコンテンツはアプリ内で決済するとしてもGoogle Play以外の決済手段を使うことは許容できるように見える。


このポリシーの差が見えている例としてBOOK☆WALKERを紹介する。

僕は普段はWebブラウザで購入手続きをして、Androidアプリで読んでいる。(ブラウザ上で読むこともできる)

操作性が悪いからやらないけど、Androidアプリで購入手続きをすることもできる。

この場合、使える決済手段はWebブラウザでの決済と同じで、クレジットカードやBOOK☆WALKERコインなど使える。

しかし、iOSアプリではアプリ内で購入手続きをする場合はAppleID決済のみとなっている。

iOSアプリの「ストア」と「Webストア」の違いについて (BOOK☆WALKER)

このことについて、BOOK☆WALKERのキャンペーン告知などには下記の表記がたびたびでてくる。

ブラウザからアクセスするWebストア( https://bookwalker.jp/ )は、AppleIDストアよりオトクに本が購入できます。
◆AppleIDストアより価格が安い本が多数
◆コイン(ポイント)アップキャンペーンを多数開催(購入額の半額がキャッシュバックされることも!)
◆コインは、1コイン=1円として支払いに利用OK!

iOSアプリ内ではなくWeb上で購入することを推奨しているわけだね。

でも、これをアプリで決済へ至るフローの中で示すことは禁止されているから、キャンペーン告知などで繰り返し言ってるんですね。


公正取引委員会は決済手段を限定することが私的独占や拘束条件付き取引に該当する可能性があると考えていた。

この点でもAppleは不利で、なぜかというとiOSアプリはApp Storeを使うことが必須だから。

AndroidアプリはGoogle Playを使わないという選択肢も一応は許容されている。

そうするとGoogle Playの決済ポリシーはそもそも適用されないことになる。

(もちろん、そうするとアプリのインストールに不便するので、実際に採用している例は少ない)

特に問題なのは、書籍・音楽・映像といったコンテンツで著作権料などの支払いがあるため、3割とかいわれる手数料は重すぎる。

すでにWebブラウザで決済してから、アプリで利用するというやり方は実態として定着しているが、

手数料回避をよく思わないAppleはアプリ内からの誘導を禁止するなどの対応をしてきた。

これは問題だと排除措置もちらつかせて交渉した結果、Appleが譲歩して、公正取引委員会はこの件では身を引くこととなったという。


一方で引き続きゲームアプリのゲーム内アイテムなどの決済はApp Storeでの決済が義務づけられる。

Google Playでもゲーム内アイテムはPlayで決済することが義務づけられているので同じである。

とはいえ、ゲーム関係の決済手数料で3割程度という水準はMobageとかも同程度だったというし、

少なくとも日本のゲームメーカーには問題視されることはないだろう。


App StoreとGoogle Playは儲けすぎという批判が多いところである。

批判を受けて、両社とも売上高が少ない企業には手数料率を下げるという対応を取ったが、あくまでも限定的な話。

今回のことは必ずしもプラットフォーマーが大きな利益を得ることを否定したものではなく、

アプリとは本質的に関係ないコンテンツに高い手数料を支払わせることを強いることがおかしいというものであろう。

iOSでもApp Storeでの決済を回避出来るって言っても外部ブラウザへの遷移を経るといった面倒な事情もあるが、

それでも実質的な効果はあろうと公正取引委員会は判断したということだろう。