声を上げた人が悪いのか?

先日、富士急ハイランドにいった話を書いたが、実は名物アトラクションが停止していたらしい。

そのアトラクションの名前は「ド・ドドンパ」である。

停止していた原因は、乗客の何人かが首の骨の骨折が明らかになったことから。

こういう案件が4人続いたことから、山梨県に報告して、運行停止に至ったとのことである。

山梨県からはそこまで放置したとはどういうことだと問題視されたのだが……


そんな「ド・ドドンパ」についてのニュースでこんな話があった。

ド・ドドンパ負傷者に対する中傷 山梨知事「許さない」 (朝日新聞デジタル)

骨折が判明したことを告白した人がインターネット上で暴言を浴びているという話で、詳しい話が見つかった。

「さっさ死ねよクソ女!!」富士急ド・ドドンパで骨折した女性(21)が大炎上! 彼女が明かした「ホントの症状」と「“クビ曲げ”自撮り画像の理由」 (文春オンライン)

富士急ハイランドから帰宅して首周りが痛いのが続いていたが、特に医者にかからずいたのだが、

報道を受けて医者にかかったら頸椎骨折が明らかになったということで、こういう例は多いんだと思う。

首を痛めることは日常生活でも多い一方で、それが骨折まで至るのはそうそうないわけだから疑えないでしょう。

富士急ハイランドが把握できていたのは4件だが、実際はもっとあったと。

それを告白したところ、いろいろと非難を浴びることになってしまったと。それにしてもひどい暴言だと思うが。


どうして首の骨が折れたのか。

要因の1つとして言われているのが不適切な乗車姿勢ということである。

非常に加速度の強い遊具なので、頭を後ろにぴったり付けて、正面を見て乗車することが求められているが、

それに反して首が違う向きを向いていると、高い加速度により首の骨が圧迫され骨折に至ることもあるだろうと。

富士急ハイランドでは、正しい乗車姿勢で乗車するように再三にわたり案内しているようで、

それに従わないがためにケガをしたのではないかという話はあり、それがゆえに非難を浴びている面もある。

富士急ハイランドが骨折の報告を受けても、問題視しなかったのは不適切な乗車姿勢によるものという判断があったからとしている。


とはいえ、本当にそれだけで片付けてよいのかという指摘はある。

発車前に横のものに気を取られた、乗っているときにマスクがずれてしまったなど、首を動かしてしまうことは考えられる。そのような不適切な姿勢で強いGがかかると首を痛めるということはありえます

(富士急ド・ドドンパ以外にも!全国遊園地で27件発生 高速化の影で重大事故のリスク増〈dot.〉 (Yahoo!ニュース))

そういう不意に動いてしまったときにケガを防げないというのはどうなんだという話である。

もっとも遊具というのは、小さな逸脱が事故につながることは大なり小なりあるものではある。

ただ、「ド・ドドンパ」の事故は件数が多いという話だし、骨折というのは大ごとである。


さすがにこうしてケガを告白した人に直に暴言を浴びせるような人はそうそういないが、

こうしてケガを報告する人のせいでド・ドドンパの再開が遅れるようでは困るというような発言はわりと見る。

こういうことを言う人は、乗車姿勢についての指示を守らなかった乗客がこうしてことを荒立てて、

それにより自分を含むファンがド・ドドンパに乗ることが出来ない状況に陥れているという主張なんだと思う。

こういうことでケガを告白する人を恨んでいる人はいて、それが先の暴言につながっているということだろうと思う。


こういうことが公然と行われているのがワクチン、とりわけHPVワクチン接種後の有害事象についてのことである。

2010年頃から公費助成、後に定期予防接種として、接種が行われたが、

接種後に疼痛などの症状が起きたという話が合ったが、検査しても診断が付かず

医師も詐病扱いするわ、診断が付かない以上治療にアクセス出来ないなど、いろいろ問題があったそうである。

そんなこともあって社会問題化して、2013年に積極的な接種勧奨の停止をするに至る。

しかしながら、そのような症状の原因は判明していないし、またワクチンとの因果関係を示すものも見つかっていない。

公的な資料では「接種との因果関係を疑う根拠に乏しい」などといった記載がある。

現在も定期予防接種だし、リーフレットを配布するなど、希望する人は接種を受けられることを告知しているが、接種率は低い。


ここで公然と非難されているのが報道機関である。

接種勧奨の停止に陥れて、HPVワクチン接種が行き届かないがために、子宮頸がんで命を失う人を増やしたのは、

そのような因果関係もはっきりしない極めて稀な事象に声を上げた人々の声を大きく報道して社会問題化させた報道機関の責任じゃないかと。

確かにかなり稀な事象ではあって、救済制度の対象になったのが10万人に8.7人、

この中には過敏症などワクチン接種で一般的に知られた症状もあるし、因果関係は怪しいが認定されているものもある。

と考えると10万人に数人、年50万人が接種を受けるとすると10人前後ぐらいか。それが理由で死んだという報告はないはず。

子宮頸がんで年間2900人ぐらい死んでることを考えれば、ワクチンで数割減らせれば、そっちの方がはるかに利益が大きいという算数は成り立つ。

そう考えれば、こういうのは、ことを荒立てずに接種を進めた方が社会にとっての利益が大きいという考えは成り立つ。


最近はこういう少数の大きな声が社会に害悪を与えているという非難を聞くことも増えたような気がする。

ド・ドドンパの件は遊園地の楽しみを奪い、HPVワクチンの件は子宮頸がんで人々の命を奪っていると。

一方でHPVワクチンの件は、社会問題化したことで、疼痛などの症状についていろいろな知識が蓄積された。

大規模な調査により、ワクチン接種とも無関係に発生する症状でもあることが判明したり、

診察方法の確立、治療によりある程度の改善効果があることなどがわかってきた。これはよい側面である。


ワクチンと無関係に発生するということは、ワクチンとの因果関係を否定する見解にもつながっている。

それがゆえにどれぐらいの頻度でこのような症状が発生するかという情報提供には至らないわけである。

なぜならば、公にはワクチンとの因果関係はないということになっているから。

別の話だけど、アストラゼネカ製の新型コロナウイルスワクチンで血栓症が問題となった。

しかしこれはワクチンとの因果関係、10~25万人に1件という発生頻度、治療法などが判明しており、説明を受けて接種を判断できる。

でも、HPVワクチンで問題となっている疼痛などはそういう言及はないですからね。

強いて言えば、救済制度の対象になった人数や、疼痛などの診察体制があることに言及があるぐらい。

因果関係はないという建前が人々の理解を難しくしてるんじゃないかと思うのは僕だけかな?

「重い疼痛が続くのはせいぜい10万人に数人のものです」という言及があれば、より理解しやすいと思うのだが。


それはさておき、ニュースを正しく理解するには、やはりいろいろ考える力が必要であるが、

残念ながら、それを広く大衆に求めるのは無理があると言うのは、昨今の社会を見てもわかる通りである。

それは新型コロナウイルス対策のことである。

自分に都合のいい情報だけ切り取ったかの行動をする人はいろいろ報じられている通りである。

ことに新型コロナウイルス関係はなんとでも言える面はあるのだが、その中には不適切な理解を生むものもある。

どこまでが発信者、どこからは受け手側の責任なのだろうか? 正直よくわからない。