無国籍はいかにして解消するか

へぇーと思ったんですけど。

無国籍の子ども、2割以上が国籍を得られず 国が初調査 (朝日新聞デジタル)

日本国内に無国籍者がいるのは確かだけど、その実態はよくわかっていなかった。

こういう集計は珍しいんじゃないか。


最近、無国籍の子供の数が増えているらしいのだが、なにか実態として変わる要因があったとも思えず、

おそらくは実情に応じて無国籍を把握するようにしたんじゃないかなぁと。

行政機関はどうやって外国人の国籍を知るかというと、基本はパスポートを見て確認するわけですね。

例外的なケースとして「中華民国」のパスポートを呈示すると、国籍等の欄に「台湾」と記載されるというものがある。

これは日本は「中華民国」を国として認めていないが、台湾の権威ある機関と認めているための取扱である。

原則はこうだが、例外的なケースもあって、それは日本国内で生まれた人ですね。

両親のいずれも日本人でなく、日本で生まれれば外国人として在留資格を取得する必要がある。

ここで国籍国のパスポートを呈示できるとよいのだが、手続きに時間を要する場合もあるのでパスポート提出は必須ではない。

外国人でも適切な在留資格があればパスポートなしで生活することには何も問題ない。(在留カードがあるからね)

このため、パスポート取得が困難など、実質的に無国籍なのに親の国籍などが登録されているケースもあると。

もともとこのような隠れた無国籍が多いという話はあったので、それが無国籍とあぶり出されるのは不思議ではない。


2016~2020年の5年間で出生時点で無国籍として届出があった人のうち305人を抽出して調査したとのこと。

そのうち2021年4月時点でも無国籍のままなのは69人とのことである。

残りは数年のうちに国籍を証明する書類(通常はパスポート)を呈示しているということですね。

全体の76%は国籍を立証する書類の不足が原因、21%は日本国内で国籍取得手続きが完了しないケースだそうで、

これらは潜在的に国籍を取得できる人というわけですね。(とはいえ手続き困難なケースも混ざってそうだが)

残る8人は潜在的に無国籍ということですね。割合としては少ないが一定いるわけだ。


ところで日本では国籍について「国籍唯一の原則」を基本的な考え方としている。

両親のいずれかが日本人の場合は生まれながら日本国籍を取得することになる。

(かつては両親が未婚で父親だけが日本人の場合は国籍取得に制約があったが、2007年に違憲判決が出て解消された)

生まれながらにして重国籍となった場合は22歳までにいずれかの国籍を選択する必要がある。

それ以外のケースで日本国籍を取得する場合は、外国の国籍を持たないか放棄する必要がある。

けっこうここが厳格であって、日本国籍の取得で無国籍を解消しようとすると、どこの国籍も取得できないことの立証に苦労することになる。


無国籍を解消する方法としては、両親ともに無国籍または不明であるという規定にあたるか、帰化による必要がある。

両親ともに無国籍または不明というのは、なかなか厳しい条件ですね。

母親が外国人らしいが失踪して不明というケースで、母親の国籍国で親子関係での国籍取得ができないことが判明すれば、

両親共に不明という理由で日本国籍の取得ができるケースはあるらしいですけど、相当にめんどくさい。

帰化については、生まれながら無国籍の場合は、日本国内に3年住んでいれば、未成年でも帰化することができる。

親の国籍国の規定などから、国籍取得が不可能と判断できれば、この方法で無国籍を解消するのが便利だろう。


ただ、こういう明確に国籍が取得できないとわかるケースはいいんですけど、しかるべき手続きを取れば国籍取得できるだろと言われると困る。

日本と台湾の狭間で「無国籍」を生きた少年 (難民支援協会)

母親が台湾籍、父親は日本人ということで、当初は日本人だったが、後に父親との親子関係がなく2歳で抹消されて、無国籍になってしまった人の話。

とりあえず在留資格は問題はなかったが、パスポートの発行を受けられないことが課題である。

帰化条件の緩和を受けるのは難しいだろうと、就職して成人になって申請をしたが、ここでも相当に苦労したらしい。

結果的には母親との血縁関係により台湾籍を取得してから、これを放棄して日本への帰化をするという手続きを取ったということである。

こういう手続きを要したのは国籍唯一の原則によるものだろう。


世界的に見たときに、国籍について生地主義を基本としている国は少数派ではあり、

日本と同じく血統主義によるのが多いが、だからといって両親のいずれかが当該国籍があれば当然認められるとも限らないんですよね。

日本だってちょっと前までは父親だけが日本人の場合は国籍を取得できないケースがあったわけだし。

そういう穴をできるだけ小さくしたいのですが、国籍については各国の事情がありますからね。

どうしても国籍が取得できないケースで日本で生まれて、その後も日本で暮らしている人には、

できるだけ日本国籍が取得できるように配慮されてはいるのだが、どうしても国籍が取得できないことを立証することが難しい。


その一方で「国籍唯一の原則」というのは世界的に見れば必ずしも厳格に運用されているとは限らないというのがあって、

日本の法律に従って重国籍を解消しようとしても、外国籍を放棄する手続きが不可能だったり、極端に困難なケースがあることは知られている。

生まれながらの重国籍は解消する必要はないと考えている国はけっこう多いらしい。

重国籍により、複数の国の法令が適用される不都合を考えれば重国籍は解消されるべきだが、

一方で、地縁のある国の国籍を失うことの不都合もあるので、重国籍を解消することを強制できない国もまぁあると。


日本では歴史的経緯により朝鮮籍として登録されている人がいるが、これって実質的には無国籍者なんですよね。

朝鮮籍の由来は、朝鮮半島が日本領だった時代、内地在住で朝鮮戸籍に登録されていた人にある。

この人たちは元々日本人だったが、太平洋戦争後に日本が朝鮮半島を放棄したことで、日本人ではないという扱いになった。

ところがこの時点では朝鮮半島には国が成立していなかったので、仮に朝鮮籍として登録しておいたわけですね。

その後にこの地域には2つの国が成立して、日本は大韓民国のみと国交を結んでいる。

これにより韓国の国籍を取得すれば、朝鮮籍は韓国籍に書き換わることとなり、

日本国内でパスポートの発行を受けようとすると、韓国籍になるのがもっとも好都合なので、朝鮮籍のままの人は少数である。

(朝鮮籍の人も大半は韓国実効支配地域にルーツがあるというし、逆に北部にルーツがあっても韓国籍を取得している人はいるはず)

一方で朝鮮籍で困るかというと、パスポートの発行を受けられない以外はそこまで困らなくて、

なぜならば内地在住で日本国籍を失った人とその子孫は特別永住者として、無制限に日本国内に在住できるから。

制度上は外国人だけど、歴史的な経緯から日本人に準ずる扱いを受ける部分は多いわけですよね。


全体的な傾向としては、生まれた時点で国籍が取得できなくても、多くは早い内に国籍取得に向けて動いているとは言える。

ただ、潜在的に国籍があるとしても、実務的な難しさから、国籍取得に時間を要するケースがある。

日本に滞在し続ける分にはそれでも困らないが、パスポートの取得ができないないなどの課題もある。

なにより先延ばしにすると資料や証言を集めにくくなってしまうので、早期解決を進めなければならないだろう。

法務省の調査を信じるならば、生まれた時点で無国籍の人でも9割以上は国籍取得が可能なはずなので、

当地の法令も熟知した行政書士などに早期にアクセス出来るかが課題である。場合によっては費用の援助も必要かも知れませんね。


とはいえ、無国籍の背景には親の在留資格の不備などある場合もあり、それで子が外国人となると、親子もろとも帰国を迫られるケースもある。

それはそれで正しい対応かもしれないが、そういう不利益を考えて、積極的に動けないケースもあるんだと思いますね。

(法務省の調査は在留資格がある人が対象だろうから、親が不法滞在であるがために在留資格を認めるに至らなかった人は母数にも入ってない?)

そうなるとなおさら実態の把握は困難で、無国籍の解消が先延ばしになればなるほど困難さが増してしまう。

そう考えるとこの数字もどのぐらい実態を表しているかという話はあると思いますよ。

強度のある歯の詰め物

先週月曜日、夏休み明けの出勤前に朝食を食べていたらガリッと固いものを噛んだような。

やな予感がして鏡を見てみると、歯の一部が欠けているような。

そういえば、確かここは虫歯だといって治療して、レジンを詰めたところだったような。

あやふやな感じもしたが、それに違いないと歯医者の診察券を持って出勤、

昼休みに電話をして、ちょっと早く帰宅して夕方に歯医者に行くことに。


見てもらったところ、詰めていたレジンの一部が欠けてしまったらしい。

どうも歯のフチにあたる部分が欠けたらしく「ここは難しいからね」とのこと。

というわけで「インレーだな」ということで、金属を詰めることになった。

まぁ奥歯の詰め物としては一般的なわけだし、それはそれでよいと思うのですが、

歯を削り直して、型を取って、仮にゴム系の詰め物をしてもらい、1週間後にまた来てねということに。


しかし、その日のうちに詰め物はほとんど取れてしまった。

これではいけないと翌日、在宅勤務中に離席して歯医者に行くことに。

仮詰めがダメになったり痛んだら来いと言われてたので。こういうとき在宅勤務は助かる。

仮詰めをやりなおしてもらったが、使う材料は別の材料、熱で柔らかくなる材料を詰めてくれて、

多少は丈夫でしょうとのこと。これでちゃんと持ってくれよと。


その仮詰めはなんとか今朝まで持ってくれた。とはいえ、最後の方は仮詰めの一部が崩れたのか口の中が粉っぽくなってたが。

半日休暇を取って歯医者に行って詰めてもらうことに。

2回目の仮詰めをするときに「ちょっと外しにくいけど」なんて言ってたが、そこまで苦労してる感じではなかった。

無事に銀色のインレーが取り付けられて完了と。

「痛むようなことがあれば来なさいよ」とのことで、とりあえず詰め物のやりなおしは終わり。

1週間、仮詰めのことで気が気では無かったが、まぁなんとか一安心か。

金属になって熱が伝わるようになって、冷たいもの熱いものを飲み食いすると少し気になるが、まぁそれはそういうものらしい。


というわけでなんですけど、最初から金属詰めとけよと思うよね。

ただ、いざ金属を詰めるとなれば、それはそれで1週間待たされ、その間の仮詰めにビクビクするはめになる。

どっちもどっちである。少なくとも仮詰めは最初からもうちょっと丈夫なのにして欲しかったが。

仮詰めやりなおしてもらったとき、再診料(自己負担金180円)しか徴収されなかったから、

仮詰めのコストは一般的な治療費に包含されているわけで、どっちでも歯医者の裁量ということなんだと思うが。

そもそも詰め物が難しいところだと認識していたはずなのだから……と。


虫歯を削ったところに詰めるものとしては、大きくはレジンか金属かセラミックかというところなんだろう。

セラミックはいまのところは健康保険適用の素材はないはず。

全体的な傾向としてレジンが選ばれることが増えているようで、耐久性などに課題はあるが、それでもメリットは大きいようだ。

おそらく、最初にレジンを詰めたのも、経験上耐えるだろうという判断があったんじゃないか。

耐久性ということで言えば金属がやはり一番のようですね。

もう欠けないような材料を選ぼうとすれば、それは金属にならざるを得ないということらしい。


ただ、その金属の値段が最近問題になってるらしい。

歯医者で使う金属は大きく、貴金属合金と卑金属合金があるが、詰め物は貴金属合金を使うのが通常のようだ。

この貴金属というのは、歴史的には金と銀の合金が使われていたらしいが、金が高価なのが問題だった。

日本では歯医者も一般に保険診療の対象となっているが(世界的には歯科は公的医療制度で限定的にしかカバーされないことが多いらしい)、

それゆえに治療に使う材料のコストの低減も求められ、その結果、金銀パラジウム合金が主に使われている。

金12%・パラジウム20%・銀50%程度という合金で、主成分は銀なんですね。

金の割合を減らしながら、化学的安定性や強度などが保てる材料ということで選ばれたものらしい。

ところが時代が移り変わり、最近ではパラジウムの価格が高騰し、なんと金より高価になっている。

これは排気ガスの浄化に使う触媒としてのニーズが高いためだと言われている。


それならそれで他の材料に代替出来るかというと、なかなか難しいらしいですね。

貴金属合金という点では、99%が銀という銀合金もあって、パラジウム価格高騰で使われることが増えてるらしいのだが、

強度の面ではかなり劣る材料なので、単純に代替出来るってもんではないらしいですね。

卑金属合金は加工性と化学的安定性が両立できないような話が見え、詰め物の用途では使われないようですね。

歯科領域で卑金属合金が使われるのは、強度が要求される入れ歯の材料のようだ。

というわけで、高価なりには使わなければならない材料のようである。

それが健康保険適応なのはありがたい話ではあるのだけど、医療材料の価格の決め方の問題で、価格の急変に対応しきれていない実情があるよう。

銀歯値上がりの背景に「脱炭素」 原料5年で6倍超に (NIKKEI STYLE)

一時は実勢価格の6割しか請求できない状態に陥ってたとはとんでもない話である。

その分、技術料の取り分が減ってたってことですね。今はちょっと落ち着いてるように見えるが、なんともかんとも。


とりあえず、これで長持ちしてくれればいいんですけどね。

特に気になるところがなくても折に触れて歯医者には行こうと改めて思った。

ちょうどそろそろ行こうと思ってた矢先のトラブルだったんですよね。