インドネシアから帰国したいので

インドネシアから特別便で駐在員が帰国というニュースがあって、

インドネシアが新型コロナウイルスで惨事なのは今に始まったことではないのではと調べると……

入院できず車中死続出 インドネシアで医療崩壊―コロナ感染爆発、政権批判拡大 (JIJI.COM)

まぁインドネシアはもともと患者数の報告がいい加減だという話はあったけど、

今まで1日1万人程度までで推移していたのが、6月から7月にかけて急増、直近では1日5万人を超えるほどになっているという。

検出率が向上した結果なんてことはなくて、検査の陽性率が30%程度とかいう状況だから、むしろ見逃しも相当に多いはず。

死者数で見ても1日800~1000人程度の報告が続いているという。

インドネシアは人口2.7億人と世界でも人口が多い国ではあるが、それを考慮しても感染者数・死者数とも多く、大変深刻な状況になっている。

在留日本人でも直近半月ほどで9人死亡との報もあり、駐在員の日本への退避を考えている企業も多いようだ。


しかし、ここで困った問題があって、それが厚生労働省検疫所の用意している隔離施設が足りないということである。

インドネシアから退避の邦人向け特別便を検討 企業や団体の保証必要 (朝日新聞デジタル)

現在、一部の出発地では検疫所の用意した隔離施設に規定日数(出発地により異なる)滞在して、検査を受ける必要がある。

そもそも出発地によらず、公共交通を使わず自宅・宿泊施設に行き、14日間待機することが求められているところだが、

出発前の検査、入国時の抗原定量検査をやってもすり抜けが起きるし、14日間の待機もなかなか完全とはいかない。

そこで出発地のリスクによって、検疫所の用意した施設に入り隔離の確実性を高め、時間をあけて検査することですり抜けを減らそうと。

なお、14日間の待機のために宿泊施設を使う場合の費用は自己負担だが、検疫所が用意した施設に入る間は食事代含め公費負担だそう。

選択肢があるかないかというところなんでしょうね。


で、この検疫所の用意している隔離施設が逼迫してるんだそうで。

世界各地で感染状況が悪化する中で対象地域や滞在日数が増加する傾向にあり、

インドネシアはまさにそうで、なんと10日間の隔離と入国後3・6・10日目の検査が要求されている。

いろいろ指定されている地域はあるけど、インドネシアほど交流が深くて制限の厳しい地域はないと思う。

3日間の隔離が要求される地域はタイ、フィリピンなど多数ありますけど。


このため航空会社に到着する乗客数を制限するように要請しているのだが、

この結果としてインドネシアから出国できなくても席が確保できないという問題が発生しており、

そこで企業が隔離施設の確保を行うことを条件として、枠外での到着を認めているということである。

なお、現在はオリンピック関係者も多く日本に到着しているが、これも制限の枠外とのこと。

これはオリンピックのルールによって待機・行動制限が課せられるからだろう。

いずれにせよ、隔離施設さえなんとかできるのなら、インドネシアから日本への退避は認めようということである。


これらの対策の目的は感染性・重症化リスクの高い変異株の流入スピードを抑えることが目的であろう。

結局はいろいろ穴はあるんですけど、人道上の理由もあるので完全にふさぐというのは難しい。

各自14日間の待機を行うことは対策の主なところではあるが、より強い対策として検疫所による隔離も併用しているということですね。

そうはいっても時間稼ぎにしかならないですけどね。

果たして対策に見合った効果が得られるのかというのはあるんだけどね。


インドネシアがこのような急激な悪化をしているのはウイルスの変異の影響と考えられている。

機関によって言い方は違うんだけど、東京都では変異を起こした遺伝子の場所を使って集計結果を示している。

東京iCDCにおける変異株スクリーニング検査について (東京都)

今年3~5月の感染拡大はN501Yの変異を持つウイルスによってもたらされ、直近でも6割程度はそう。

これはアルファ株(B.1.1.7系統)やガンマ株(P.1系統)などが持っている特徴とされている。

一方で最近6~7月の感染再拡大にはL452Rの変異を持つウイルスも寄与しており、直近では3割程度がそうだという。

これはデルタ株(B.1.617.2系統)などが持っている特徴で、これはインドネシアでの感染急拡大もそうだとされている。


これでも日本は高齢者へのワクチン接種がある程度進み、それで高齢者施設や医療機関での集団感染は少なくなったという。

(もちろん感染対策の強化など、ワクチン以外の対策も進んだことは要因としてあると思うが)

それでも、40~50代の重症患者の増加が問題であり、東京都では緊急事態宣言が出たし、

隣接地域はまん延防止等重点措置の枠組みで対策強化を進めているところである。

高齢者の重症化を防げることで、時間稼ぎはできたと思うのだが、厳しい制限を要することに変わりは無い。

このことから(高齢者へのワクチン接種を優先したことを含めて)ワクチンに失望した人は多いかも知れない。


でも、これはだいぶワクチンに助けられていると認識するべきだと思う。

インドネシアを見てもわかるが、対策を強化しても感染急拡大で大惨事ということも起きえたわけである。

この時点で50代まで行き渡ってればよかったけど、なかなかそれは難しい話である。

この先、できるだけ早く高年齢の人に行き渡るようにしていただきたいところである。

とはいえ、どれだけ接種しても時間稼ぎにしかならないような感じもする。


それにしてもインドネシアは大変だよなぁ。

以前も紹介したけど、インドネシアは大半がムスリムですから、亡くなれば土葬を行うことになる。

その土葬墓地が不足し、急拡大している状況だという。

ジャワ島は日本の本州をはるかに凌ぐ高い人口密度であり、住民の理解はあると思うが(なにしろムスリムばかりだから)、土地の確保は大変なんじゃないか。

土地の確保さえなんとかなれば掘るだけで済むというのは、もしかしたら火葬より有利なのかもしれないけど。