住民ではない接種対象者

調べごとに関連して東京都港区の新型コロナウイルスワクチン接種に関するページを見たら、不思議な記載が。

接種対象者

12歳から64歳までの区民

※このほか、区内約80か国の大使館関係者が接種対象となります。

(新型コロナウイルス感染症のワクチン接種について(一般接種) (港区))

港区は多くの大使館があることで知られており、それを生かした国際交流も行われているとか。

そんな港区らしい話ではあるものの、そもそも住民であれば日本人・外国人は問わないはずなのに、。

なぜ大使館関係者だけ別書きされているのだろうか?


理由は外国公館の関係者は住民登録をしないからである。

現在、日本に中長期滞在する外国人は住民登録を行うわけだけど、この中長期在留者の定義は下記の通りだそう。

3か月を超える在留資格を有する方(短期滞在・外交・公用の在留資格を除く)

厳密に言うと特別永住者は中長期在留者ではないが、住民登録を行うことは同じなのであまり区別されていない。

短期滞在は例外的に3ヶ月超の在留資格が出ることがあるが、その場合も中長期在留者には該当しない。

(後で出てくるが、現在は各国入国制限のため、短期滞在の在留資格を延長して滞在している外国人が一定いる)

で、それと並んで外交・公用ということで、外国政府関係者も住民登録の対象外なんですね。

おそらくかつての外国人登録制度の趣旨にそぐわないということで対象外になってたのを引きずってるのだと思う。

住民登録できないということは、日本国内での居住を証明する手段がないということになりかねないのだが、

外務省に申し出ると「住居証明書」が発行されるようだ。(cf. 外交官等に対する住居証明書(外務省))


というわけで、外国公館の関係者は、実際に日本に住んでいるが、各市区町村は住民と認識できないのだが、

当然、外国公館の関係者がワクチンを接種できないということは好ましいことではないし、

住民登録がなくても実態として日本に住んでいるならば住民と同様に取り扱うべきであろうと。

そこで、外国公館の所在する市区町村が、外国公館からの申告に応じて関係者の接種券を発行する取り決めになったようで、

東京都港区は区内にいくつもある大使館関係者に接種券を発行する役目を担うこととなったわけである。

発行数としては全国でもダントツに多いんじゃないか。


新型コロナウイルスに限らないけど、予防接種は原則として住民登録をしている市町村で接種する。

しかし、実際には他の市町村での接種も可能である。

まず、医療機関での接種は隣接市町村などの医療機関とも取り決めをしていることが多い。

(接種できる医療機関のリストに平然と隣接市町村の医療機関が記載されていれば、それはそういうことである)

持病の関係で入院先・通院先での接種を希望する場合も、市町村によらず接種が可能である。

また、単身赴任などで家族と離れたところにいる場合は、居所市町村に「住所地外接種届」を提出すれば接種を受けられる。

(子供の予防接種だと、里帰り出産との関係で利用されることが多い制度らしい)

こと新型コロナウイルスのワクチンは広域接種・職域接種とそもそも接種者の住所地をほとんど問わない会場が多いのも実情だが、

住所地以外の市町村の集団接種会場での接種を希望する場合は、届出しないと認識できないので出してくれというのが多いようですね。


ただ、これは日本国内のいずれかの市町村に住民登録されているのが前提の話。

住所地の市町村から何らかの方法で接種券を受け取る必要がある。

単身赴任の場合は家族から転送してもらうのが1つの方法だし、

あるいは市町村に申し出れば、居所に送ってもらうこともできるらしい。

何らかの方法で接種券を受け取って、入院・通院先に提出したり、住所地外接種届をして集団接種会場に持参するなどするわけですね。


では、日本国内のいずれの市町村にも住民登録されていない人はどうするのかという話である。

一体どういうパターンがあるのかというと、こんなところらしい。

  1. 住民登録せず居住している外国人(=在留資格が短期滞在・外交・公用)
  2. 外国に転出した状態で一時帰国した日本人
  3. 日本に住んでいるが住民登録ができていない・抹消された人

1.の外国公館関係者は所在地の市区町村に申告して接種券の発行を受けるわけですね。

それが全てではないかと思ったかも知れないが、現在は帰国困難という理由で短期滞在の在留資格を延長して滞在している人もいる。

このような人も住民登録できないが日本国内に居住実態がある人とみなされる。


これらのケースはいずれも居所の市町村に接種券の発行を依頼することになる。

「接種券再発行申請書」のフォームを各市町村は用意している。

これは主に前住所地で2回のワクチン接種を完了していない転入者が利用するものなのだが、

ここに日本国内で住民登録がなくて接種券の発行を受けられないことを記載すれば、接種券が発行されるらしい。

ただし、そのためには居住実績を何らかの方法で確認しなければならない。

住宅の契約書や消印付きの郵便物などを証拠として提出することになるようだ。


ただ、難しいのがホームレスである。なにしろホームレスっていうからには家もポストもない。

これは支援団体の証言などを元に区域内に居住している実績を示すような形になるのだが、

もう1つの問題は、ワクチン接種にあたっての本人確認手段もない場合が多いこと。

これは接種券とともに接種用の証明書を発行するような形で対応することがあるようだ。

(実態としては本人確認をスキップして接種するということですね)

いずれにせよ、実態として日本国内に居住しているという事実が重要であるということだ。


先日届いた市の広報に書いてあったけど、市内医療機関でのワクチン接種の15%は市民以外にされているそうで。

他市区町村の医療機関で接種を受ける市民もいるわけだから、ある程度はお互い様ではあるんだよね。

ただ、市民以外への接種があまりに多くなると、これはワクチン配分上の不利益につながるのが課題である。

市内には大病院もあって、早期に接種を受けるべき人は住所地によらず打つべきと考えているというような言及はあった。

この市民以外というのは、ほとんどは日本国内の他市町村の住民ということだと思うけど、

細かい事を言えば、外国公館関係者・一時帰国者・ホームレスなんてのもあるわけですね。

あまり知られていないことだとは思いますが、そういうのもあるということです。