重点措置は不十分だが緊急事態宣言で十分か?

昨日、帰宅して休暇にもかかわらずリモートアクセスで会社にアクセスしたのは、

緊急事態宣言が出るということでなにかあるかということを確認するためだったが、

弁当販売が休みになることはわかったが、週明けの出勤予定のことには特に連絡がなく。

(もともと出勤者は絞るようにと言われていたのだから、変わらなくても不思議はないのだが)

とりあえず昼食は持って行かないといけないらしい。しゃあないなぁ。


そんなこんなで案の定、東京都では緊急事態宣言が出たのだった。

遅いぐらいだと思いましたがね。

この決断の背景には2つのことがあって、1つは東京都からの原則酒類提供停止の要請。

都、重点措置でも「酒提供の停止、原則化を」 国に要望 (朝日新聞デジタル)

都道府県はまん延防止等重点措置の場合、酒類の提供停止を要請することができる。

これは東京都の判断で可能であるものの、周辺地域と不整合があると「越境飲み」の問題が生じる。

実は南関東の4都県でも微妙にルールが違い、これが混乱を起こしているという背景もあったようだ。

これ自体は緊急事態宣言を提案したわけではないが、東京都で酒類提供停止を徹底するには緊急事態宣言が必要であろうと。

もう1つは専門家から緊急事態宣言の提案があったこと。

4度目の宣言、ためらった政府 専門家が突きつけたノー (朝日新聞デジタル)

実は5月に緊急事態宣言の対象区域に北海道・岡山県・広島県を加えたわけだが、

当初はまん延防止等重点措置で提案したら、分科会から拒否された結果、緊急事態宣言になったという話がある。

緊急事態宣言、追加へ 北海道・岡山・広島 分科会が当初案了承せず、政府一転 (朝日新聞デジタル)

東京都は明らかにステージ4に再到達していたわけだし、この状態で緊急事態宣言を出さないのは無理があると政府も認めたということである。

ワクチンで重症化が防げることに期待した人もいたらしいが、50代を中心に重症患者が増えている実情もある。


かくして、緊急事態宣言からまん延防止等重点措置への切り替え時に言っていたとおり、

東京都がステージ4の状態にあるということで、オリンピックは無観客での開催となることになった。

(南関東以外はその限りではないが、北海道・福島県は無観客化、茨城県は学校団体のみを提案して反映されている)

こういう口実を作るための緊急事態宣言解除だったのではないかと思っていたのだが、

無観客化に消極的な大臣が多かったらしいことが伝わっており、本当にステージ4を脱した状態を維持できると思っていたのだろうか?

本当に観客を入れるつもりなら、開幕まではステージ3以下という体裁をなんとしても作るべきだったわけで、

そのための手段を失わせる緊急事態宣言解除というのが信じられない判断だが。

同時進行的に多くの競技が行われ単一の会場の動員数は関係なく、全国広域から観客が集まることから無観客にしたという説明は、

専門家からの提言そのものであり、最初からこれを受け入れておけば、それですんなり収まったのにと思うよね。


ここまでは予定通りという感じもするが、問題は効果的な対策ができるかどうかである。

というのも、早々にステージ4に到達した要因はどう考えても「緊急事態宣言の」効果が不十分だったことによるからだ。

実は6月に入る頃から酒類提供停止の要請を公然と無視する店が増えていたという話があり、

確かにその概ね2週間後ぐらいから感染者数の報告が増加傾向に転じている。

そもそも緊急事態宣言が出た4月下旬時点では、イベントの無観客化・映画館や大型商業施設の休業要請も出ていたが、

連休明けには無観客化要請が外れ(制度的に十分な補償ができないという背景もあったらしい)、

映画館や商業施設の休業要請が外れて都心部の人出が増えても、感染者の減少傾向は続いた。

蔓延度を決めるのはほとんど酒であるということを証明してしまったわけである。


そうして思い出すのはまん延防止等重点措置下の浦安市にコンサートのために出かけた時のことである。

浦安の円形劇場で雑誌のイベント

このとき「飲食店などに寄らず直帰しましょう」という呼びかけがされていた。

これはいろいろなイベントで行われるようになった呼びかけだと言うが、

この業界にとってみれば、会場内の感染症対策とは無関係に人流を減らすという名目で一律無観客化の要請が出たわけで、

後に振り返ればそこまでやらなくてよかったよねとは思うものの、当時の大阪府の状況の悪さは知っての通りで、

大阪府はもちろん、その周辺や同様に悪化傾向にあった東京都も同じような懸念はあり、対策を出し惜しみできなかった事情もある。

ここから学んだのは、イベントが感染拡大に寄与するということに反論するには、

うちの客は酒盛りしないから感染拡大にはほぼ寄与しないとする必要があり、これはこのような呼びかけにつながったとみられる。

こんなところからもわかるが、飲食業はもはや守ってもらえない業種になってしまったのである。

もちろんこんなことは言いたくないだろうけど、自分たちの身を守るには仕方ないことである。


酒類提供停止というのがほぼ全てとなった緊急事態宣言だが、課題は実効性である。

緊急事態宣言が出ていれば休業命令に従わない店に過料を科すことができ、実際に過料決定も行われたようである。

しかし、過料覚悟で営業する店が一定あることも事実であり、ここの打開策が難しい。

実際のところ、要請に従っている店が大半だと思うが、要請に従わない店が客をかっさらっているのを見て不平を募らせるなど問題が多い。

本来は業界として連帯して対策に取り組んで欲しいところなのだが、実際のところ、そのような気概も乏しい。

「外食崩壊」の危機 酒提供で業界分断化も (日本食糧新聞)

18団体が連帯したところで網羅度はそんなに高いとは思えないが、言うのは規制緩和ばかりでは無理があるだろう。


「感染対策を徹底している店の認証制度による制限緩和」というのはもっともに見えるが、これも難しいと思う。

実はこれの先進事例があって、それが山梨県の「やまなしグリーンゾーン認証」である。

認証に当たっては行政の検査が必要で、逸脱があれば剥奪される。対策費用には県からの補助もあるんだとか。

実は今年3月頃まではかなりうまくいっていて、集団感染を起こすような事例はわずかだったらしい。

ところが今年3月以降はいくつかの集団感染が報告され、要件の見直しが行われたが、すぐには適合できず、

その間に山梨県内での感染状況が悪化するなど、一時期難しい状況になっていた。

より蔓延度が高く、客が酒盛りを求めがちな東京都では、困難なんじゃないか。


営業時間の短縮で収まらなくなった理由は昼飲みであり、まん延防止等重点措置の段階で酒類提供停止をする理由は越境飲みである。

これは飲食業がリスクを正しく認識できず、正しい対策ができなかった結果だろうと。

客の責任もあるが、客を正しく導くのも業界としての責務だろう。

イベントでの直行直帰の呼びかけもそうだし、振り返ればGoToトラベルのときに出た「新しい旅のエチケット」もそうですよね。

非常にリスクが高いにもかかわらず、ここが徹底できていないことは課題が大きい。

この結果、酒類提供停止という平易なルールに落ち着いたわけだが、これを公然と無視する店が多いのが問題である。

飲食業界に期待できないと、酒販業者に国税庁から要請を出したものの、酒の購入自体は迂回手段もある。

協力金が早期にわたるようにという話も、今公然と要請を無視する業者にとってどれぐらい効くか。


というわけで、非常に難しい状況に追い込まれてしまったなと思う。

ワクチンの効果に期待するにも、高齢者に次いで50代を最優先で接種しても3ヶ月ぐらいはかかるだろう。

さらなる変異株の脅威だって現実的な懸念である。

そんな中で酒盛りさえなんとかできれば、他の業種の影響はある程度抑えられる可能性が見えている。

なので、なんとしても酒類提供停止を徹底して欲しいのだが、この実効性が不十分だったので緊急事態宣言に至ったということである。


どうしたらいいんだろうなと思う。

あと、もう1つの課題が地域を越えた感染拡大の懸念がより高まっていることである。

ロック・イン・ジャパン・フェス開催断念 中止要請受け (朝日新聞デジタル)

茨城県ひたちなか市で予定されていた音楽フェスが、地元医師会から受け取った要請を受けて、中止を決断したという話である。

そもそもなんで医師会がこういうことを言ったのかという経緯をたどると、夏の屋外でのフェスということで、

熱中症での搬送も多く、一方で熱中症と新型コロナウイルスが症状が似ていて困るという話がもとよりあった。

こんなこともあって地元医師会に目を付けられてしまい、イベントが地域医療に与える影響を検討して要請を出したとみられる。

この要請は必ずしも中止を迫ったものではないが、主催者の検討の結果、中止に至ったようである。

主催者の説明も悪いのだが、今後も地域医療機関との協力体勢を維持するためには、これが最善という判断だったんじゃないだろうか。


この中で会場外でのリスクについて言及されていたが、酒類提供停止が長引いているだけに、現実的な懸念になってるのかなと思う。

東京から川崎に行った程度の越境で酒盛りは難しい。(もっとも神奈川県は原則提供停止に例外を設ける予定らしいが)

ところが茨城県まで行ってしまえば、それは現状の茨城県の蔓延状況などから飲食店の営業には制限がないはず。

ここで客や関係者が自らを律することができればよいのだが、そこまで行儀はよくないと思ったのだろう。

まぁ実際のところ、蔓延度の低い地域で油断していたら飛び火して集団感染なんていうのは今までなんども起きていて、

これまで類似するイベントで大丈夫だったとしても、変異株に酒類提供停止で対抗したという状況の変化は軽視できない。

このあたりはオリンピックで無観客化など要望した北海道・福島県・茨城県にも通ずるところはあると思う。


とりあえず、この先のオリンピック開幕合わせの4連休からお盆休みにかけて、

人々の警戒を促すという効果は期待してもいいんだと思う。

ただ、それだけで本当に効果があればこんなことにはなっていないわけだし……

緊急事態宣言の出口は見通せなくなったなと思う。今までも課題は多かったがなおさら厳しくなった。

ウイルスの変異の恐ろしさかなぁ。