異例づくめの天皇賞(春)

昨日、阪神競馬場で天皇賞(春)が行われた。

3200mという超長距離のGIだが、今年は例年とは違うところがいろいろ。


まずわかりやすいのは京都競馬場が工事のため、阪神競馬場での開催になったこと。

京都競馬場の工事は去年12月に始まり、2023年3月まで続く予定。

実はこの工期も菊花賞(11月)と天皇賞(春)(5月)という名物レースにできるだけかからないように考えられたもので、

2年半ほどにわかる工事でありながら、両レースそれぞれ2回を代替するだけで済む。

代替先はいずれも阪神競馬場ですね。(来年分は未確定だけど、ほぼ間違えないでしょう)


阪神競馬場の3200mコースは今年が実質初使用である。

(過去にも阪神競馬場で3200mのレースはあったが、その頃とは大きくコースが変わっているため)

予行演習として2月に松籟ステークス(3勝クラス)が行われたが、実はそこには大きな意味があって……

阪神競馬場【公式】 / 阪神の外→内コースで行われる初めての3,200m。仮柵の移動の様子を動画で撮影してきました!―― (Twitter)

実は1周目と2周目でコースの切替が必要なんですよね。

阪神競馬場リニューアルコースを徹底解剖! (JRA)

2006年に阪神競馬場は外回りコースが新設され、これにより距離のバリエーションが増えた。

また、もともと桜花賞が行われる1600mはスタートから最初のカーブが近く、外枠不利という欠点があったが、

外回りコースを使うことで、最初の直線を長く取れるようになった。

で、3200mで切替を要する理由もだいたいそんなところで、最初の直線を長く取って、3200mを作る方法として考えられたものらしい。

改修以前の3200mのスタート地点は1600mよりカーブに近いですから、これも改修効果かな。


もう1つの注目ポイントだと思ってたのが、牝馬が3頭参戦してきたこと。

去年も話題にしたんだが、最近の日本競馬は芝GIでは牝馬(メスの馬)が強すぎる。

牝馬が強いか牡馬が弱いか

ただ、そんな中で3200mの天皇賞(春)はそもそも挑戦する牝馬が少ないことでも知られていた。

去年は1頭挑戦していた(これは後で紹介する)けど、これすらも異例と言われたほどである。

しかし、今年は17頭中3頭が牝馬、しかもうち2頭はけっこうな有力馬ということで、ファンも悩んだわけである。

なにしろ天皇賞(春)の牝馬優勝は1953年(レダ)が唯一、掲示板入りすら1965年が最後だというのだから。


それでも軽視できなかったのは、おととし・去年と2連覇したフィエールマンが引退し、

当時の上位馬で今回も挑戦するのは4着のユーキャンスマイルぐらい。前哨戦の阪神大賞典2着だから軽視はできないが。

昨年の菊花賞優勝馬のコントレイルも出走せず(宝塚記念よりはこっちの方が勝ち目はあるのでは?とも言われてたが)、

それなら2着馬のアリストテレスと期待されたが、前哨戦の阪神大賞典で7着に撃沈した。

それならおととしの菊花賞優勝馬、ワールドプレミアが大本命かと思ったが、

ジャパンカップ6着・有馬記念5着、そして前哨戦の日経賞で3着と、強そうだが少し冴えない結果が続いている。

一方でその日経賞の優勝馬のウインマリリン、昨年のオークス2着の実績もあるが、この馬が牝馬ながら参戦。

さらに同2着のカレンブーケドールも牝馬ながら参戦、重賞勝ちはないが、2着7回(うち3回はGI)という実績で、

最近3走はワールドプレミアと同じレースを使い、4着・5着(同着)・2着ですから、ワールドプレミアよりは強そう。

いずれも問題は3200mという距離である。(日経賞は2500m、両馬ともこれより長い距離のレースは出たことがない)


あともう1頭の牝馬というのは、メロディーレーンで、去年唯一参戦した牝馬ですね。

他の馬が500kg前後である中、340kgほどという超軽量馬で、2600m以上の長距離戦に賭けてるという事情があり、

去年は2勝クラスからの格上挑戦、今年も3勝クラスからの格上挑戦になった。

(ちなみに弟のタイトルホルダーは今年の弥生賞優勝・皐月賞2着という立派な結果を出している。470kgなので別に軽くはない)

今年はすごい有力馬がいるわけでもないし、ワンチャン狙いで挑戦する馬が多くなるかなと思ったんだが、

フタを開けてみれば、フルゲート18頭に17頭登録、うち3頭は3勝クラスということで、格上挑戦でも全頭出ることができた。

メロディーレーンは菊花賞5着の実績はあるけど、去年が11着であることを考えれば厳しいかなというのが大方の見方だっただろう。


かくして異例づくめの天皇賞(春)、馬券的には面白そうと挑戦した人も例年より多かったかも知れない。

結果はワールドプレミアが優勝、やはり菊花賞馬は強かった。

カレンブーケドールもいい走りをして、一時は先頭に抜け出して、これは勝てるかと思ったんだが、

ワールドプレミアと、2着になったディープボンド(前哨戦の阪神大賞典の優勝馬)に抜かれて3着。

やはり勝った馬は強かったのだが、まさか3200mでここまで立派な走りをするとは。(単勝・複勝にぎってた僕も半信半疑だった)

ウインマリリンも5着ということで、牝馬が掲示板に2頭入るというのは、ここまで書いてきたように異例のことである。


勝てなかったのは残念なんですが、カレンブーケドールにとっては最善の選択だったと言えそう。

というのも、彼女の実力が発揮できるであろう芝2200m以上の重賞レースというのは、

日経賞より後だと、天皇賞(春)(GI・3200m)、目黒記念(GII・2500m)、宝塚記念(GI・2200m)ぐらいしかない。

距離的には目黒記念はよさそうなのだが、このレースには大きな難点があって、それはハンデ戦ということ。

カレンブーケドールは重賞勝ちこそないが、これまで強い馬相手に好走を続けてきたので、重いハンデを背負わされる可能性が高かった。

ハンデがわかるのは1週間前ですから、酷量なら天皇賞へというわけにもいかないんですよね。

3200mで撃沈する可能性もあったが、定量戦で相手関係から見てチャンスはあるということでの挑戦だったのだろう。


ただ、最近は長距離で活躍する牝馬も多いよね。

有馬記念(GI・2500m)なんていうのもかつては牝馬には厳しいと言われてたらしいけど、

2019年(リスグラシュー)・2020年(クロノジェネシス)と牝馬が2年連続で勝ってるし、去年は2着のサラキアも牝馬だったし。

カレンブーケドールの3着を見て、今後は3000m以上でもこういう挑戦も増えるのかも知れない。

今年は混戦模様という事情はありましたけどね。


あと、今回の天皇賞(春)が異例だったのは、2月から12週連続のロングラン開催の最終週だったこと。

このスケジュールが発表されたときには「阪神の芝はボロボロ」と言われたが、意外にもそこまでのことはなかった。

手入れに気遣っていたのはあるんだろうけど、いやはや。

ここから阪神競馬場は6週間の休みに入る。この間に芝を元気にして、その休み明けには宝塚記念が待っている。

例年なら梅雨時とあって有力馬が回避しがちと言われる宝塚記念ですが、今年は有力馬が多く参戦を検討しているという。

昨年覇者でドバイシーマクラシック2着のクロノジェネシスはもちろん、

大阪杯の上位からレイパパレ(優勝)、モズベッロ(2着・昨年の宝塚記念3着)、コントレイル(3着)、

香港のクイーンエリザベス2世カップから、デアリングタクト(3着)、キセキ(4着)、状態次第では同レース優勝のラヴズオンリーユーも、

天皇賞(春)で3着のカレンブーケドールも次は宝塚記念を検討しているとのこと。

まさか宝塚記念がこんなレースになるとはなぁ。(上半期のチャンピオン決定戦という意図通りではあるのだが)