イオンと100円ショップ

ちょっと話題になっていたんですが、イオンがキャンドゥを子会社化する方向で動いているそうで。

株式会社キャンドゥ株式に対する公開買付けの開始に関するお知らせ (イオン)

どうも、創業家の保有する株式の多くを買い取るというところが背景にあるようだ。

その上で株式上場は継続できる範囲で株式を買い付けるということである。

イオンは多くの地場スーパーを傘下に収めているが、このような経緯でイオンの子会社になったものは多く、

また、その中には上場会社であったものも多く、その経緯からイオンは多くの上場子会社を持っている。


というわけでイオングループ入りの背景としては、事業承継の意味合いもあるんだと思う。

もっとも経営陣は続投の方向ではあるのだけど。

もともとイオンの本業であるGMSというのは、最近は売り場面積を持て余しがちで、

そんな中で100円ショップをテナントに入れるというのはよくみられることだった。

とはいえ、イオンに入居している100円ショップとしてキャンドゥは目立って多いわけでもない。

東京都のイオンを調べたが(東京都全体でもイオン店舗数は高々知れている)、

東雲・西新井・河辺・多摩平の森・東久留米・日の出 がダイソー、

品川シーサイド・板橋がセリア、南砂・板橋前野町・むさし村山がキャンドゥといった具合。

イオン以外の経営するショッピングセンターに入居している店(有明ガーデンなど)は別として、

だいたい100円ショップはあって、ない店だと大型電器店が入居していたり、それもないようなところは少ない。


では、イオン店内に入居している100円ショップはキャンドゥになるのかというと、

すでに他のチェーンが入っているところは変わらないだろうし、

今後もダイソーやセリアがイオンのショッピングセンターに入居することはあるんじゃないか。

もちろんキャンドゥが入居する店は増えるだろうけどね。

どちらかというと狙いは現在100円ショップが入居していないスーパーなどであろう。


キャンドゥの最近オープンした店舗を見ると、ツルハドラッグ内の店舗がずらりとあるが、

これはツルハドラッグが戦略的に導入を進めているものらしい。

調べてみるとイオングループの食品スーパーでもキャンドゥが入居している店はしばしばある。

運営形態の詳細は定かではないところはあるが、公開買付の資料にはこんな記載がある。

そして、対象者(キャンドゥ)は、持続的な成長と企業価値向上の実現に向けて、FC(注5)・委託(注6)といった直営店以外の店舗形態での商業施設以外への出店拡大、他価格帯商品(注7)の開発・拡充、これまで十分な対応ができていなかったシステム投資・物流投資の実行に伴う店舗オペレーションの生産性改善を通じた収益性の向上に取り組んでいるとのことです。

(注5)対象者が加盟店様に対して商品の卸売を行い、加盟店様が店舗運営・管理を行う店舗形態をいいます。

(注6)委託先様が売場提供とレジ作業のみを行い、対象者が店舗運営・管理を行う店舗形態をいいます。

(注7)100円以外の、200円・300円・400円・500円の価格帯商材をいいます。

従来、専ら食品を販売していたスーパーの中にキャンドゥコーナーを設置するというケースが今後増えるんじゃないかと思う。

もちろん食品スーパーでも雑貨類の取扱は多少あるが、取り扱う商品は限られる。

そんな中でキャンドゥのような100円ショップの商品は手っ取り早い充実法である。

というわけで、どちらかというと「こんなところにキャンドゥ!?」という形でイオン子会社化が現れるのでは無いか。


今回は創業家からの株式購入がメインといっても、上場会社である以上は公開買付の手続きを踏む必要があり、

なおかつ、今回は創業家以外が保有する株式も多少購入して持分の51%以上を取得する必要がある。

また、創業家の資産管理会社の持分は、資産管理会社の持分を買い取ることで行うため、

公開買付のプロセスはかなり複雑である。


創業家から株式を買い取るといっても、それ以外の株主の不利益にならない買い方をする必要がある。

それでよく行われるのが、現在の株価よりも安い価格で公開買付をするというもので、

大量の株を保有する人が経営権を手放す以外の目的で、その公開買付に応募する理由は乏しいので、

結果として他の株主の不利益とならない形で大株主から株式を買い取れるというのがある。

しかし、今回は創業家から発表前の株価より高い価格で買い取るわけである。

しかも、キャンドゥ自体の上場は維持する必要がある。

上場が維持されなければ、継続保有することを選んだ株主への不利益になるからである。


で、具体的にはこんな方法らしい。

  1. 第1回公開買付では1株2700円でキャンドゥ株式の37.18%を上限に買付
  2. 第2回公開買付では1株2300円で上限なく買付
  3. ケイコーポレーション(キャンドゥ株式の13.82%を保有する資産管理会社)の株式を、キャンドゥ株1株2300円相当で購入
  4. もしもキャンドゥが上場廃止基準に抵触しそうなら、立会外分売などでキャンドゥ株式を売却する

1.の公開買付では37.13%以上の応募があった場合は、按分して買取が行われる。

ケイコーポレーション保有分は3.で実質的にイオンに売却されるので、

残る86.18%のうち、34%(発行総数の29.67%)が創業家保有である。

ということはケイコーポレーション以外の全株主が1.の買付に申し込んだとすると、

創業家は発行総数の12.6%相当の株式をここで売却することができる。

そこで売却できずに残った分のうち、社長の城戸一弥氏が継続保有する10%程度を除いた分は2.の公開買付に応募するとみられる。

ここには他の株主も応募することが出来る。そして上限はないから申し込んだ分は買い取られる。

この買い取り価格と同じ額で3.の取引を行うなら、他の株主の不利益にはならないという理屈である。

1.と3.が成立すると、イオンはキャンドゥの持分の51%を取得することができる。

2.の買付状況次第では上場廃止基準に抵触しかねないが、そうなれば4.にあるように放出して対応できるというわけである。

それもできなければ、少数株主から株式を買い取って完全子会社化をするとあるけど、おそらくそうはならないでしょう。


わりと珍しい子会社化のプロセスではないかなと思う。

まぁイオンがキャンドゥを子会社化できることは確実性が高いと思うのだが、

上場を継続するという前提があるので、そこが複雑である。