コレクションを展示しない大阪中之島美術館

朝のニュースで「フェルメール代表作『真珠の耳飾りの少女』14年ぶり来日公開へ」というのがあって、

どうも所蔵しているマウリッツハイス美術館が1ヶ月ほど休館になるうちだけ貸してくれたみたいで、

大阪中之島美術館で1ヶ月ほど展示されると言うことだそう。


大盛況、というか1点の作品を前で見たい人でこんなに混んでるんかと。

それで驚いたのはこの展覧会、なんと12点の作品しか展示されていないのである。

うち、フェルメール作の作品が2点、これが目玉なのはわかるのですが。

すべてマウリッツハイス美術館から借りた作品なのはわかりやすいけど。


それで思い出したのだけど、多くの博物館では特別展のチケットを持っていると、そのまま平常展も見られることが多い。

ところが大阪中之島美術館にはそれは当てはまらない。なぜならば平常展がないからである。

大阪中之島美術館は4階・5階で別々の展覧会が開催できる。

いろいろなテーマを扱える点ではよいが、必ずしもコレクションを活用できているとは言えない。


もちろん美術館の注力分野に沿った展覧会であれば、館蔵品も多く展示することになり、

例えば昨年12月~今年3月の「拡大するシュルレアリスム」はデザインという点で注力分野である。

あるいは昨年9月~11月の「小出楢重 新しき油絵」では、

それに引き続き「異邦人のパリ」というコレクション特集展示が組まれている。(単独では観覧できない)

同時代の西洋画はコレクションにもいろいろあるので一緒に見て欲しいと。

ただ、そういう展覧会が常に行われているわけではない。

特に今はもう1つの展覧会が「スイス絵画の異才 カール・ヴァルザー」である。


じゃあコレクションは何も活用できていないのかというとそうでもなくて、

それがお隣の国立国際美術館である。

いずれも現代美術をテーマとしていることもあり、お互いのコレクションを融通する仕組みがある。

コレクション展の中には「大阪中之島美術館蔵」となっている作品がある。

隣り合わせで同じ注力分野の美術館が並ぶとそういうこともできる……

というのは変だし、他の分野のコレクションでは使えない手である。


お目当ての作品があって博物館に行くのもよいことだけど、

いろいろな作品を横並びで見られるのもよいことではないかと思う。

オランダの西洋画を見たら、大阪に伝来した西洋画も見るかとか、

そういうことができると視野が広がるのではないかと思う。

そういうことをできるようにしている一例が奈良国立博物館で、

正倉院展など新館を全て使っても、仏像館(本館)の彫刻コレクションは見られるようにしている。

実際、正倉院展の後に訪れる人も多く、平時よりだいぶ人が多い。

まぁ仏像館はこの9月から改修のために長期休館になるんですけどね。

(それでも青銅器館の無料公開の中で仏像の展示は行われるそうだが)


混雑も含めていろいろ考えた結果がわずか12点の展覧会なんだろうけどね。

美術館の注力分野とも必ずしも一致しないわけで、無理に付け足しても蛇足ではあり、

そこで思い出すのが、なぜか東京国立博物館で行われた「マルセル・デュシャンと日本美術」ですよね。

この特別展はちょっと損な気はする

フィラデルフィア美術館との博物館同士の付き合いにより開催されたが、

東博の注力分野とはまるで違うところに、東博の所蔵品をこじつけのように並べていて、

せっかくここでやるならという思いもあったんだろうが、ちょっと変だったよねと。


もっともこういう話は大阪中之島美術館がコレクションを持っているからこそ思うことであり、

東京の国立新美術館はコレクションを持っていないからそういうことを考える余地もない。

国立新美術館は英語名称が “The National Art Center, Tokyo” でMuseumと付いていない。

なぜかというと、元々は美術団体の公募展を行うための箱として考えられていたためである。

その傍ら、他の美術館から作品を借りて企画展をできるような体制も作られたので、

コレクションがない以外は他の国立美術館と同じような体制があるんですけどね。

展覧会情報の収集を中心とした研究活動も行われているわけだし。

それよりは大阪中之島美術館はコレクションを活用した展覧会をできる点ではよいし、

そういうチャンスは常に考えていることも確かである。