前々から話は出ていたのだが、永住許可の基準の明確化、永住者の在留資格の取消の基準がパブリックコメントに出たそう。
理解できる部分はあるのだが、嫌がらせにしかならない部分もありそう。
特に就労系の在留資格で長く滞在する人にとって永住許可を得ることには大きな意味がある。
就労系の在留資格を持っている本人にとっては職業選択の自由が増えるわけだが、
それ以上に大きいのは家族滞在で在留する家族も永住者となることで、
これにより配偶者や子の職業選択の自由が大幅に増えることになる。
前にも書いたのだが、帰化や永住には生計要件があり、働いていない子だけが帰化や永住することはできない。
しかし、家族揃って帰化や永住許可を得ることはできるので、
親がこのような要件を満たしているかどうかは子供の人生を左右するものではないか。
まず、そもそも永住許可を与えるかどうかという話だが、
生計要件については、日本人世帯の平均収入を上回る水準が継続しているか、
そして将来の年金支給見込みは十分か、不足する場合は十分な資産があるかという要件が増える。
こういう話が出てきたのは日本に渡ってきて老後に困る外国人が多いことが判明したからだろう。
比較的若くて安定した職にあればそんなに困る条件ではないが、
年齢によっては今さらどうにもならないということは考えられる。
国益要件だが、ここはいろいろ書き足されている。
日本への定着という点で、日本語能力、義務教育年代の子を学校に通わせること、日本の制度への理解があることが掲げられている。
日本語能力はB1相当以上ということで日本語能力試験のN3の受験などで立証できそうだ。
日本の小学校~高校に6年以上通っている場合などは改めて要求することはないと書かれている。
あと高度人材外国人についても日本語能力は求めないとある。
このあたりは努力によりなんとでもなりそうな話である。
ただ、厄介な話も書かれていて、それが子の永住許可である。
永住者の子は通常は永住許可が認められ、永住者となることが多い。
これは本人が生計能力などなくても永住許可が出せるためである。
ただ「申請者の属する世帯が、現に公共の負担となっている場合や、そのおそれが現実的である状況」では消極評価をするとある。
今でも親の素行が悪い場合には子の永住許可が出ないことがあるというが、
親が貧乏な場合は、永住者の子でも永住許可が出ないことがあると。
もっともその場合、日本で生まれていることが前提だが「永住者の配偶者等」の在留資格が認められる。
これも日本での活動には制約がないので、問題は期限付きであることか。
じゃあ更新を認めないことが可能なのか? けっこう難しそうですが。
それは永住者の在留資格取消についても言えることである。
入管法に規定する義務を遵守しないこと、故意に公租公課の支払をしないこと、特定の刑罰法令違反により拘禁刑に処せられたこと
の3つの要素のいずれかにあたる場合に永住者の在留資格を取り消せるというものである。
適用対象としてはかなり悪質なケースを想定している。
ただ、このガイドラインを見ていると「職権変更」という言葉がある。
永住者の在留資格を取り消すということは、日本への在留が認められなくなるということだが、
そもそも永住許可が出るような人は日本との地縁が相当ある人である。
このため日本への在留継続を認めざるを得ないケースが大半ではないかと思う。
多くの場合は定住者の在留資格への変更が職権でなされるだろうという記載もある。
なお、永住者の子や配偶者として永住許可が出た人の在留資格は取り消されることはないとある。
永住者の子にとっては「永住者の配偶者等」は永住者の子として生まれれば、その後の親の在留資格は関係ない。
配偶者はそうもいかないが、これも定住者の在留資格を認めることになるだろうとあった。
結局のところなんやかんやと言っても、一度永住許可が出たような外国人や、永住者の子の在留資格は認めざるを得ないんですよね。
そういう人に永住者の在留資格を認めないというのは嫌がらせにしかならないのでは? というのが僕の理解である。
年金の支給見込みが低いので永住許可は出さないということは考えられるが、
現に就労系の在留資格で日本で働く限りは問題はないはず。
退職後は家族もろとも帰国だと言われても、それが現実的かは疑問である。
元は家族滞在だった子や配偶者が他の在留資格や資格外活動許可で働いていることもあるだろう。
永住許可が出ないことで家族の職業選択を縛って日本への定着を遅らせた上に、
結局は定住者の在留資格など認めざるを得ない状況はあるかもしれない。
日本への定住を目指すならば、これらの要件を満たすように努めるようにいう指針としては価値があろうかと思う。
日本語能力、子を学校に通わせること、日本の制度への理解、年金など老後の備え、
こういうのが重要であるというのはとても納得感があるし、
これを実現するためには受け入れ機関の協力も重要である。
でも、それを満たさないからといって追い出せるわけではないと。
確かに在留資格の中には定住を想定していないものというのもあって、
技能実習はその1つで、そのため家族帯同を想定していない。
いつでも追い出せるように定着させないというのも外国人との関係性の1つにはある。
ただ、特に就労系の在留資格で来る外国人は何らか日本での役目があって、
経験を積んだ人をいちいち帰国させてはもったいないわけですよね。
技能実習の話を書いたが、2027年から育成就労という新たな在留資格で代替される。
これは日本で人手不足のある産業分野の働き手を育成することを主な目的としている。
すぐに家族帯同は認めないが、十分な技能や日本語能力が立証されて特定技能2号になれば認められる。
元々日本国内にいる配偶者や日本で生まれた子の在留資格は認められるだろう。(cf. 告示外の特定活動で救われるかも)
そうして日本に必要とされた人の家族の暮らしはやはり重要で、
従来はそこを家族揃って永住許可を受ける方法で解決してきた。
しかし、そのハードルが上がると別の手段を考えないといけない。
1つにおいては日本の高校卒業者の在留資格ですよね。
日本の高校を卒業して就職先が決まると、小学校から日本の学校に通っている場合は定住者の在留資格が認められ、
それ以降からの場合は風俗営業以外での就労が可能な特定活動の在留資格が認められる。
そこから5年働けば(進学した場合はその期間を含む)、定住者の在留資格を認めるとある。
定住者になって一定期間経てば、自力で永住許可を受ける道も開ける。
あと育成就労というのもあるんですよね。
今の技能実習は本国に帰国して能力が発揮できることが前提となっている。
しかし育成就労は主な目的が日本で人手不足の産業分野の働き手を育成すること。
この目的にかなうならばすでに日本国内にいる人でもかまわない。
なので家族滞在で在留する配偶者がこのパスに乗ることもあるのでは? という話もある。
家計全体として老後の懸念がなくなれば、そこから永住許可という道もあるかもしれない。
(家計の収入としてカウントするためには特定技能2号まで進まないといけないけど)
こういうガイドラインが出てきたのも、情勢不安もあるのでしょうけど。
日本の在留資格の基準が厳しいか緩いかは一概には言えないが、
元々は平穏に長く在留していれば永住許可が出る傾向はあって、
国籍にもよるが日本で永住者になっているといろいろ都合がよいと。
そういうところで狙い目という話はあったようである。
そこでより明確な指針をいくつか示したということである。
ただ、この基準を適用して永住許可を出さないとか、在留資格の取消・変更をしたところで、
それで追い出される外国人なんてどれぐらいいるの? と思うんですよね。
そうならないように努力を求めているけど、努力してどうにもならない人もいるわけですからね。