三角関数の公式を思い出すオイラー

三角関数というと非常に大切な道具です。
不思議な話で中学生の時には使わなかったのに、高専に入って1年経つまでになれてしまった不思議な道具。
昔は1:2:√3とか言ってたけど、今は無意識にcos(π/3)=1/2とか出てくるものです。
やっぱり物理とかやっていると多かれ少なかれこうなるものです。
ただ、専門科目で三角関数をガリガリ計算することも多いので余計にですね。
数学の教員曰く、三角関数言えば電気だという。まぁそれぐらいのものです。


三角関数の計算は結構めんどくさいんですね。
当然と言えば当然ですがsin(α+β)=sinα+sinβとはなりません。
じゃあどうするんだといえば加法定理を使いまして、sin(α+β)=sinαcosβ+cosαsinβとなるわけです。
「咲いたコスモスコスモス咲いた」とかいう訳分からん覚え方ありますけどね。
cos(α+β)=cosαcosβ-sinαsinβとかいうのもあります。よく使う。
マヌケなことにこれを唱えながら三角関数をいじっている人がいるわけだから。
それはフレミングの左手の法則とかもそうですけどね。あれも大概だな。


加法定理だけならいいのですが、他にもいろいろ公式があります。
まず倍角の公式。cos(2α)=cos(α+α)=cos2α-sin2α…で終わらないから困る。
まぁこれだけで終わってればそんなに使い道はないと思うんですけどね。
実際にはsin2θ+cos22=1という関係を変形して、
cos2α=1-2sin2α=2cos2α-1なんてして使われます。
ただ倍角の公式として使うことはそうも多くなくて、cos2θ=(cos2α+1)/2として使われることがある。
なんとこれを使えば2乗を消せるんですね。というわけで積分で使ったりする。
これ結構便利なんですけど、この公式を覚えるのはとんでもない手間。
というわけで毎度加法定理からこの式を作るというマヌケなことをしている。
そんな人は結構多い。というぐらい使う公式は多い。
それとこれも積分関係で使うのですが、cosαcosβ=( cos(α+β) + cos(α-β) )/2という公式。
これは積和の公式とか呼ばれています。
実は三角関数同士の積は三角関数の和にできるんです。積分で使ったりする。
ただこれはcosαcosβ、sinαsinβ、sinαcosβの3パターンがある。しかも結構めんどくさい。
しかも加法定理から生成しようとすると結構めんどくさい。
出来ないことはないですけど。けどめんどくさいことには違いない。
というわけで公式集からコピペするのが常ですね。しょうがない。


ところでオイラーの公式という有名な公式がある。
e=cosθ+j sinθ
あ、虚数単位にjを使ってしもた。まぁいいですよね。数学の世界ではjじゃなくてiなので読み替えて。
結構いろんなところで使われて居るみたいです。
この公式を使えば加法定理を忘れても思い出せるというのは有名な話です。
ej(α+β)=e×eと変形できるから、
=(cosα+j sinα)(cosβ+j sinβ)=cosαcosβ-sinαsinβ+j(cosαsinβ+sinαcosβ)
ej(α+β)=cos(α+β)+j sin(α+β)となるはずなので実部と虚部を比較すれば、
cos(α+β)=cosαcosβ-sinαsinβ、sin(α+β)=cosαsinβ+sinαcosβとなるとわかると。
しかし加法定理を忘れるような人はちょっと問題がある気がする。


このオイラーの公式を使えば、2乗を倍角の公式を使って外す件も無理なく思い出せることが分かった。
というのはcosθ=(e+e-jθ)/2、sinθ=(e-e-jθ)/j2という風に書けるんですね。
まぁすぐに気付くと思いますけど。
それで(e+e-jθ)/2を2乗すると、
(ej2θ+2+e-j2θ)/4=(1+ (ej2θ+e-j2θ)/2 )/2 = (1-cos2θ)/2とわかりますねと。
なるほどうまいことできていると。
あと、積を和に直す件も、同様にやってやりますと、
(e+e-jα)/2 × (e+e-jβ)/2
=( ej(α+β) + ej(α-β) + ej(-α+β) + ej(-α-β) )/4
=( ej(α+β) + e-j(α+β) )/4 + ( ej(α-β) + e-j(α-β) )/4 = ( cos(α+β) + cos(α-β) )/2
という風に少々めんどくさいものの、導き出すことは不可能じゃないよう気にはなってきましたね。


ということを通信工学の授業でやってた複素数をガリガリする話の中で思いついた。
このオイラーの公式というやつは本当に働き者です。
それで実際に試してみればまぁまぁ簡単に変形できますねと。
加法定理だけを使って思い出すのは大変なのでアイデアだけ持って行きましょう。
そうすればどんなひどい積分でも大丈夫だと思う。
こんな変形積分ぐらいでしか使わないし。まぁそれは言い過ぎかも知れないけど。